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涙が乾く日

一日の生活はこう。朝、太陽が顔を出す前に目を覚まし、掃除をする。次に、海賊たちが食べる食事の用意。ここはまだコックというものがいる為、私は重い樽を何度も運び、水の用意をしたり、生ゴミを捨てたりする。海賊達が目を覚まし、食事を取る。私は、みんながいなくなった後、パンを一枚と水を飲む。ここのコックは作るのが専門なのか、食器は洗わない。だから、私が洗う。それからまた掃除。その繰り返し。
敵が来た時はもちろん戦う。隠れていていいなんて誰も言ってくれないから、戦って自分を守るしかない。でも能力者である自分を見て、大体の海賊は逃げて行った。ケガをしても我慢。

痛いよ、痛いよ、痛いよ・・・。
それでもじっと我慢。

今日は少し寝坊をした。食事の準備に遅れて、コックに殴られた。けれど私はこの力をとっさに使って、コックの手をかわしてしまった。そしたら、そのコック私を海軍に売ったの。
私がここにいるって嗅ぎつけた海軍の攻撃に怯えて、あっさり私を差し出したの。

早く走らなきゃ。遠くで私を呼ぶ声がする。
「でてこい!」
「お前がいたからこんな事になったんだ!」
「悪魔めっ!」

「お前は生きてちゃいけないんだ!!」

あのコックが叫んでた。

ハア、ハア、ハア・・・。ここまでくれば大丈夫。森の中に私は身を隠した。
大丈夫。これでもう12回目だもの。慣れてる。
でも、またどこか探さないといけない。
生きていく為に。

今日はここで寝よう。木の幹が腐って穴が開いている所に座って、ぎゅっと膝を抱いて小さくなった。眠れないけど、寝ないと・・・。明日はまた海賊を探さなきゃいけないもの。
もっと走らないといけないもの。


・・・おなかすいたな。
・・・寒いな。
・・・暖かいスープが飲みたい。
・・・暖かいシチューが食べたい。
・・・暖かい・・・。

暖かい・・・


光が見たい。



デレシシシ。

デレシシシ。


デレシシッ・・シ・・


デ・・・レッ・・・


その日は泣きながら笑った。




目が覚めると今日もいい天気。空も海も青くて、太陽はキラキラとまぶしいくらいに輝いている。

なのに、どうして私の目の前はいつも暗いの?
闇に包まれて、太陽なんてどこにもない。


ないちゃいけない。

そう思っても、涙は再び溢れ、唇を噛む事でそれが流れる事を必死に止めていた。
空を見上げじっと太陽をにらんだ。眩しくてもにらんだ。




私は死にたいの。








――これが世界だと思ってた。


生きてはいけない世界。
どこまでも続く暗闇の世界。






そう・・・あなた達が現れるまでは。






――光が見えた気がした。


私にも。




嬉しくても涙って出るものなのね。



真っ暗だった暗闇に突然光がさして、私の手を掴んだ。
暖かくて、胸が潰されそうで、嬉しくて、嬉しくて。気づいたら叫んでいた。





生きたい。




ロビン大好きだ!

[mente]

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