銅系材料の腐食について 事例1
銅は実用上 多くの金属の中でもっとも活用頻度が多い。
それだけに多くの分野で銅特有の現象も見られます。この経験談を整理してみました。
@ 雰囲気ガスによる腐食事例 1 (塩素腐食)
温度検出には古くから銅ーコンスタンタン等の細線が使用されてきた。これらの細線を固定するに最近ではエポキシ樹脂を接着剤として封止固定することが多い。
この場合にエポキシ樹脂には生成過程でエピクロルヒドリンという塩素を含む原材料を使用するためにその中に不純物として塩素が残留する。
この残留塩素はエポキシ樹脂の加熱硬化時にガス化して封止した銅線と反応して塩化銅を生成する。
これが銅を腐食することになる。発生する塩素の量が多いと銅の細線の外表面から拡散透過して内部に塩素が侵入して塩化銅を形成する。
塩化銅は銅単独とは性質を異とする。壊れやすい、電気を通さないなどから ついには当初の銅の目的を達しえない状態になり、温度検出の機能を停止する不具合となる。
SEMーX線 分析例を示します。

A;2次電子像・・・B;塩素 分析・・・C; 銅 分析・・・D ;EDX分析
図 塩素ガスに腐食された 細線銅の断面状況
注意;1)白い部分が検出対象物 。
B では塩化銅が外周に見える
Cでは 中央部では素線銅のみを、周囲では塩化銅の痕跡。
2)EDX分析ではC部の外周を観たものですが観難いですが塩素(Cl)と銅(Cu)が検出されています。
3)塩化銅は銅と反応して体積が大きくなるので外周側に膨らみます。しかも 銅よりも租のなるのでスカスカのポーラス状で少しの力でも壊れてしまいます。