エポキシ樹脂の熱分解ガスについて (その3)

熱分析(熱重量分析 ;TGA ) 有機物の耐熱性を観る目安としての熱分析(TGA)について示しました。 これは有機物を一定の 昇温速度で加熱します。このときの雰囲気ガスが大切な耐熱性評価のファクターです。一般に大気 (酸素を含む)中では酸化劣化による損傷が大きくなります。これに対して水素中,窒素中,その他有機物と 直接に反応しない不活性ガス中では酸化しないので耐熱性は良くなります。 以下はその事例で 不活性ガスの窒素中の場合と 空気中の場合で エポキシ樹脂について 測定した結果です。 材料はA,Bのいずれの場合も同じ樹脂です。 昇温速度  10℃/min.
 


A ; 雰囲気ガス 空気の場合


B ; 雰囲気ガス 窒素の場合

この見方は 縦軸が重量減少率、横軸が温度を示します。 この結果からは次の事が解ります。 耐熱性のひとつの目安として重量減少が加速的に大きくなる温度を熱分解温度とすると 空気中では 250℃、窒素中では330℃程度を示します。これから 空気中のほうがいち早く 劣化して重量減少することがわかります。