液状樹脂の表面張力の算出法・・・1

 

 

 

 

    (パラコール法による 概算 )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   液状の樹脂を取り扱う場合に 樹脂と接触する界面での状態の改善に 樹脂の表面

 

   張力が大いに関係する。 このためにも樹脂の表面張力を 知る事が必要になることが

 

   多い。 この場合に 表面張力の実測値が無いときに 概ねの概算値を計算で求める方法が

   ある。 今回は この方法を示しましょう。 それは 樹脂の化学構造と 樹脂の構成元素

   の固有値であるパラコールから求める方法である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   接着剤や電気部品をモールドするときに使用する エポキシ樹脂というのがあります。

 

   この エポキシ樹脂についての事例です。

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

   エポキシ樹脂 (ビスフェノールA系エポキシ樹脂 )の分子構造は以下です。

 

 

 

 

: DER332 ダウケミカル社 製品名

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラコール値は 下記の数値と Sugdenの式から 求めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   パラコール値 一覧

 

 

 

 

 

構成

パラコール値

構成

パラコール値

 

 

 

 

C 

4.8

2重結合

46.6

 

 

 

 

17.1

3員環

16.7

 

 

 

 

20

6員環

6.1

 

 

 

 

12.5

エステル中の酸素 O

60

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sugdenの式

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで

P: パラコール

 

 

 [ P ]  = (M/d)* (r)^(1/4)

 

M:分子量

 (g/mol)

 

 

 

 

 

 

d : 密度

(g/cm3)

 

 

 

 

 

 

r : 表面張力 (dyn/cm)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [ P ]  =24*17.1(H)+4*20(O)+21*4.8(C)+2*16.7(3員環)+

 

 

 

     2*6.1(6員環)+6*46.6(2重結合) =916

 

 

 

 d=1.2

(g/cm3)

 

 

 

 

 

 

 M=340

 (g/mol)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

従って   表面張力   r  =109.2 (dyn/cm)  となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エポキシ樹脂とは実際に使う場合には  上で示した構造のエポキシ樹脂の 主材 に

 

さらに硬化剤を混合配合して これらを加熱反応させて不溶不融の熱硬化性樹脂を

 

生成させる ことになります。

 

 

 

 

 

エポキシ樹脂にも いろいろなタイプがありますので詳しくは 後日 述べたいと思います。