お題ログ 「50/50(フィフティ・フィフティ)」
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「アスラン。」
 呼びかけと共に、暖かな腕が彼の首に回された。背後からのそれにアスランは微苦笑を漏らすと、自身の手を占領していた工具を手放す。彼の空いた右手はキラの腕を柔らかく撫で、その行為が気に入ったのか、キラは頭をアスランの髪に擦り寄せた。
「どうしたの。」
 彼は表情の見えない親友へ、伺いを立てる。
 しかし、その問いは親友の望むものではなかったらしく、返答はない。アスランは困ったように息を吐き、突然甘えたがりになった彼のサイドの髪を梳いた。
「もっと。」
 囁かれた要求にアスランは微笑む。
「お心のままに。」
 くすりと、彼の背後で忍び笑いが零れた。
「キラ。」
 腕の拘束を解き、キラが彼に背を向ける。瞬間、名を呼ばれくるりとキラは振り返った。
「おいで。」
 回転椅子が回り、彼が両腕をキラに差し出している。キラは先ほど進んだ一歩を引き返し、アスランの眼に子供めいた煌めきを見つけた。彼はキラの腰に腕を回すと、目の前の身体に頭を預ける。美しい色の彼の髪は、キラの胸元に散った。
「何?」
 問うてもない返事にキラは少しだけ笑った。その振動が伝わってしまったのか、アスランの腕に力がこもった。キラは、彼の髪を撫でる。そして少しだけ腰を曲げると、アスランにキスをした。キラは何となく気恥ずかしくなり、頬を桃色に染める。
「もっと。」
 意地悪いアスランのセリフに、キラは戸惑ってしまった。


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