Puzzle game
3:Reunion
-完全版-




ルークがリリスによって巻き戻った時間の世界で過ごして早5年が経っていた。
あれ程最初は嫌がっていたスカートも5年経てばすっかり慣れてしまったルークは見た目なら15歳、中身は前に辿った時間と今回の時間を合わせて事実上12歳になっていた。
グランコクマで厄介になり始めて2年ほどはまともに外に出る事は出来なかった。
1年経っても何かと問題がある、というよりもピオニーのルークがいないとつまらない、という子供のような我侭でグランコクマの外、つまり遠出をする事が出来なかったのだが、晴れてそれも解禁となって3年目にして遠出の許可が出たのだ。
それでも赤い髪と碧の眼はやはり目立つという事で、外に出る時は特殊な染髪剤で髪を染め、眼にはコンタクトをはめ込み、更にはダメ押しで帽子を目深に被って顔があまり確認できないようにしている。
そうやって何度かグランコクマからの外出が出来るようになって2年。
ルークは今回もやはり駄々をこねたピオニーを説得し、リリスと共にネフリーに会うためにケテルブルクに来ていた。
ネフリーには1年前の外出許可が取れた時にも真っ先に会いに来て、その後も定期的に彼女に会うためにルークは通っていた。
実はどうやらネフリーも全ての事情を知る人物の1人に数えられていたらしく、5年前にマクガヴァンやフリングスがきた時にいなかったのは知事の仕事の関係かららしい。
普通なら皇帝の呼び出しを断る事はできないはずなのだが、どうやら知事の仕事が忙しいだろうと察したピオニーがあの時はあえて呼ばなかったらしい。
もっともそれ以外にもルークが過去に聞いた話から考えると、ピオニーの個人的な感情も絡んでいるようにも思える。
そこでネフリーの兄でもあるジェイドが後日わざわざケテルブルクに行き、事のあらましをネフリーに直接話したらしい。
当初はやはり信じられなかったようで、その為ルークはネフリーとも直接会う必要があると思い、グランコクマから出れるようになって真っ先に会いに行ったのだ。
そしてその時にいたくルークを気に入ってくれたネフリーに、また遊びに来てほしいという言われ、結果定期的に通うようになっていたのだ。
しかし今回はその定期以外での訪問で、おまけに言い出したのはリリスの方である。
ネフリーに会えるのは嬉しいし、ケテルブルクの街は遊び場所が多くて好きだが、どうも今回の彼女の真意がつかめない。
もっとも彼女のこういう突拍子もない提案は今更なのだが、行こうと言われて来てみて、ついた瞬間置き去りにされ、さっさと1人で先を行かれるのはどうかと思う。
ネフリーの家にいったのだろうとは思うが、あのリリスでは確証を持つ事はできない。
いい加減振り回さないでほしいと思いながら溜息をつき、ケテルブルクの街の中を彼女を捜して探し回っていると、丁度路地の角を曲がったところで何かにぶつかり、ルークはそのまま勢いに任せて転げてしまった。
帽子の位置も多少ずれてしまった。
「・・いっ・・」
「・・大丈夫か?」
姿は見えないが問われてぶつかったそれが人であった事にルークは遅まきながら気づいた。
「あ・・大丈夫・・・俺がよそ見してたのが悪い・・」
ふとルークはそこまで口にしてぴたりと言葉を止めた。
今自分に降りかかってきたこの声は、過去に聞き覚えのある声だ。
しかも昔の、つまり男だった過去の自分の声にも良く似ているこの声。
そんな声の持ち主は今はこの世界にただ1人だと思い、ルークは思わず顔を上げてしまった。
そしてはっきりと見たその顔にルークは目を丸くして半ば愕然としながらその名を呟いた。
「・・アッ・・・シュ・・・・・?」
「・・何故、俺の名を・・?」
アッシュにしてみれば見ず知らずの人間が自分の名、もっとも本来は偽名であるが、それを知っている事に怪訝な表情を浮かべるのとほぼ同時に、冷たい北風がまるで悪戯とでもいうように吹き、先程転んだ拍子にずれて脱げやすくしていた帽子をぱさりとその場に落とした。
そして完全に露になってしまったルークの顔、すなわちアッシュにとって自分と同じその顔を見て、今度はアッシュの方が驚愕にその顔色を変えた。
「・・その顔・・まさか、お前は・・」
「・・っ!」
アッシュのその言動に気づかれてしまった事をすぐさま察したルークは、彼を押しのけて帽子を拾ってその場から立ち上がり一目散に逃げ出す。
その後ろから焦りか、怒りかを含んだアッシュが引き止める声は聞こえないふりをした。










暫く無我夢中で走り続けてようやく振り切れたかと思ったルークは、その場に立ち止まって荒れた息を必死に整えていた。
そしてその時になったようやく自分がやってしまったことの重大性に気づいた。
帽子が取れて顔がはっきりと見えたからといって、今の自分の髪と目の色は本来のものとは違うものである。
ひょっとしたらそれを指摘すれば適当に誤魔化せたかもしれない。
しかし先程の行動は逆に自分がアッシュのレプリカであると肯定しているのと同じである。
しかも自分が全ての事実を知っているという事まで解ってしまったかもしれない。
その事も含めて自分を見かけたことをヴァンにでも話されれば非常にまずい事態になってしまう。
アッシュにこんなにも早く会えた事は、ルークの正直な気持ちとしては嬉しいのだが、ヴァンに自分の事が知られるのは本当にまずい。
自分のやってしまった失敗に強い後悔をしながらも、今は再びアッシュと会ってしまわないように、急いで今この街でルークにとって1番の安全地帯といえるネフリーの屋敷に急いで向かうため、ルークは辺りを見渡して現在地を確認する事にした。
アッシュから逃げる事だけ考え、ただ一目散に街の中を駈けずり周ったルークは、自分がどこに辿り着いたのかもわかっていなかったのだ。
そして改めて自分の居場所を認識しようとしてみれば、そこは明らかに街の裏路地と呼べるような場所だった。
すぐ近くには空き家になっている家があるような場所だ。
「・・ケテルブルクにもこんなところがあったんだな」
表の華やかなイメージとはまたかけ離れたその場所を、ルークがきょろきょろと辺りを見渡しながら歩いていると、突然角を曲がろうとしたところで腕を強く掴まれ、そのまま相手の顔を確認できないまま鍵のかかっていなかったのであろう裏口から空き家の中に引き摺り込まれそのまま床に投げ出される。
そしてばたんっと裏口が閉められ、ほぼ同時にがちゃりと鍵がかけられる音がする。
その音と共に嫌な予感がよぎったルークが顔色を変え、心拍数を上げながら自分を引き摺りこんだ人物を見上げてみれば、そこにはルークの予想通り、先程振り切ったと思ったばかりのアッシュが無表情で自分を見下ろしていた。
その冷めた表情にびくりっと怯むと、ルークは逃げるように後ろに後ずさった。
それを眺めていたアッシュはどこか忌々しそうに舌打ちすると、逃げようとするルークの手首を無理やり押さえつけて固定し、それ以上逃げられないようにした。
「・・っ・・」
「その様子・・・どうやら本当に5年前行方不明になった俺のレプリカのようだな・・・」
アッシュのその言葉を聞き、やはりバレたのかとルークは表情をいっそう強張らせた。
一方のアッシュは突然目の前に現れた自分のレプリカに少しばかり戸惑っていた。
5年前、自分の代わりに家に帰るはずだったレプリカは、ヴァンによってコーラル城に置き去りにされ、そのまま捜索隊に発見される手はずになっていた。
だが捜索隊がそこにやってきた時、そこにはいるはずのレプリカが既に忽然と姿を消していた。
生まれたばかりで歩く事も知らないはずであるにもかかわらず。
結局その姿を見つけることは出来ず、魔物か何かに襲われて死んだ可能性が高いとまでいわれていた。
これにはさすがのヴァンも焦りの色を見せ、新しいレプリカを作る案も出されたのだが、結局何故か『ルーク=フォン=ファブレ』のレプリカはそれ以降作りだす事はできなかった。
ヴァン達は知らない事だが、『ルーク』のレプリカをルーク以降作り出す事が出来なかったのは、実は全てリリスが裏で意糸を引いていたのだが、リリスの存在自体知らないヴァン達にそれを知る由はなかった。
結局、キムラスカ国内にさえルーク死亡説が少なからず囁かれるようになった頃、ヴァンは計画の修正を余儀なくされ、公爵家に『ルーク』を帰すという部分は削るしかなくなってしまったのだ。
そしてコーラル城に置き去りになったレプリカは死んだのだろうと、憶測ではあるがアッシュはそういう風に聞いていた。
しかし今目の前にいるのは確かに自分のレプリカだった。
表面上はなんとか極力冷静な素振りを見せているが、アッシュの内心は激しい動揺と疑問でいっぱいだった。
死んだとばかり思っていたものが何故、どうやって生きていたのかもそうだが、完全同位体であるにもかかわらずこの髪と瞳の色の違いはなんなのだろうかと。
そしてそれ以上に、何故自分のレプリカであるにもかかわらず女の姿なのかと。
もしかしたら失敗で性別が逆転してしまったということもあるのかもしれない。
しかし仮にもヴァンが公爵家に帰そうとしたレプリカであるのだから、髪の色や目の色、何よりも性別は確実に同じでなければならないはずである。
アッシュ自身、自分のレプリカが女として誕生したなどという話は聞いた事がない。
そんな珍しい話があるのなら、どこかしらからアッシュの耳に届いていても良いはずである。
しかしそれがなかったという事は確かに男として生まれていたという事である。
だが現実として目の前にいるのは女の性を持つレプリカである。
他に自分のレプリカが作り出されていたという話は聞いていないし、先程の反応を見てもあのレプリカだという事は間違いない。
だからこそおかしい点は幾つもある。
何故か自分の存在を知っていた事もまたその1つだ。
アッシュは上げていくときりがなくなりそうな疑問に、目の前の自分のレプリカを睨みつけて口を開いた。
「・・・お前は今までどこにいた?どうして女の姿をしている?」
「・・・・・・・・」
低い声で尋ねてくるアッシュの質問に、しかしルークは怯みながらも口をぎゅっと閉じ、目線を逸らして答える気はないという意思表示を示して見せた。
その行動が何処かアッシュの癇に障り、よりいっそう目を鋭くさせてルークを睨みつけると、アッシュは突然思いもよらない行動に出た。
「んっ・・んんんっ!」
顎を掴まれ無理やり正面を向かせられると、ルークはいきなりアッシュに口付けられた。
あまりに予想外の事態に、驚いて目を見開いていたルークだったが、すぐに何とか抵抗しようとしたが、腕はアッシュによって床に縫いとめられ、脚を動かそうにもアッシュが乗りかかってきているため動かす事が出来ない。
そうしているうちにやがて唇を重ねるだけだったそれが、執拗に舌を絡ませる深いものに変っていた。
そしてルークの呼吸が限界になってきた頃、ようやく離されたと同時に銀糸が糸を引いた。
それを気にする余裕もなく頬を赤く染めてルークは息を整えようと必死になる。
しかしそんな暇は与えないとでもいうように、アッシュの手がすぐさまルークの服にかかり、その止め具の1つ1つを外し始める。
その行動に赤かった顔を一瞬で青くさせていったルークは、見開いた目でアッシュを見つめながら、震えた声で彼に半ば解りきっている答えを聞いた。
「な、何する気・・・・・」
「・・・答える気がないようだからな。答えるようにするまでだ」
アッシュがそういったと同時に、ルークは再会して初めてアッシュの笑った表情を見た。
しかしそれはルークが決して望んでいた種類のものではなくその逆の、狂喜に満ちたと言って良い類のものだった。
そしてこの瞬間、ルークは自分が逃げる事などできないであろうことを本能的に悟っていた。



服を全て脱がされ冷たい床に横になったルークの首筋に、アッシュはまず舌を這わせ、同時に胸の突起を指で弄ぶ。
そして指にそれまでよりも少し力を入れたところで過剰反応したルークの様子に気づいたアッシュは、口角を吊り上げてそこを今度は首筋に這わせた舌も使って愛撫し始める。
そのアッシュの行動に今度は声を荒げて先程よりも強い反応をしめして見せると、アッシュは更に笑みを深めそこばかりを執拗に攻め始める。
まるでルークの反応を楽しむように、舌を這わせる時粘液でわざと音がでるようにして。
「んっ・・・やっ・・・・」
愛撫に耐えながら喘ぎ声を出すその姿を舌を一旦離してルークの表情を見てやれば、まだたったこれだけであるはずにもかかわらず初心者ゆえなのか、それともまた別の理由からなのか耐えられないといったように艶のある表情をしている。
そのルークの姿にアッシュ自身何かぞくりとするような感覚に襲われた。
そしてそろそろ始めても良いかと、アッシュはまさに快楽に落ちていく過程にあるルークに向かって口を開く。
「まず・・・その髪と目の色はどうした?」
その質問に確かにルークはぴくりと反応したが、快楽に耐えながら必死に答える気はないという意思表示をする。
それを察したアッシュは片眉を吊り上げ、それと同時に乱暴にルークの乳房を鷲掴みにして強く揉みだす。
「あっ、やぁぁあっ!」
突如襲った痛みとそれ以外の感覚にルークが一際高く声を上げると、アッシュはにやりと笑んで先程と同じ質問をした。
「その髪と目の色はなんだ?・・・答えろ」
拒否は許さないといった低いその言葉と与えられる感覚に耐え切れなくなったルークはついに答えてしまう。
「んっ・・・染、ぱ・・ざいと・・ぁっ・・・コン、タ・・んっとぉ・・・」
途切れ途切れながらも答えたルークのその言葉を聞いてアッシュは納得した。
染髪剤とコンタクトをしているという事は、元々の色はやはり自分と同じなのであろうと。
おそらく隠しているのは自分と同じであるという事を悟られないためと思い、改めてルークが何故か自分の存在を知り、それを懸念していた事も同時に確認した。
それと同時にアッシュの中で何処か満足感に相当するものが生まれていた。
何故そんな風に、何に対して感じるのかはアッシュ自身にさえ解らないまま、アッシュは手を放して胸への愛撫を止めた。
アッシュが手を引いてくれた事にルークは息を荒げながらどこか安堵していたが、次の瞬間その安堵感はあっさりと覆される事になった。
先程まで自分の胸を弄んでいたアッシュの手が、今度は自分の脚にかかり太腿の裏が見えるくらいの高さまで持ち上げられる。
そのあまりに恥ずかしい体勢にルークは抗議の声を上げようとしたがそれでは出来ず、代わりにアッシュが太腿を裏をその舌で舐めた事により矯正が思わず零れ出た。
「ひっ・・あぁああっぁ!」
胸の時よりも一際高いその声に、そこがルークの1番の性感帯だと察したアッシュは、またにやりと楽しげに笑んで、そこにきつく吸い付いて赤い痣を残した。
そしてそこをまたちろりと舌で一舐めし、新たな質問を口にした。
「では、何故お前は自分が俺のレプリカだと・・・そもそも俺の存在を知っていた?」
その言葉にしめしたその反応に、やはり知っていたと確信を持った。
しかしその反応をしめしただけでルークはそれに対しては一向に答えようとしない。
ルークにしてみればそれを言うのは自分が逆行してきた事や、何よりもリリスの存在を話さなければ説明ができない。
しかしそんな荒唐無稽な話現段階でアッシュが信じるはずも、出来る事ならずっと話さず隠していたいと思っているため、頑としてその事は答えるつもりはなかった。
そして性感帯であるはずの太腿の愛撫にも高く矯正を上げ続けるだけで、全く答える様子のないルークに痺れを切らしたアッシュは、これ以上この事を追及しても無駄かと不満げに舌打ちをすると、今度は脚をより広くひらかせ、その間にあるルークの秘所に舌を這わせ始める。
「んんっ!・・やぁあっ・・・」
嫌だというように首を横に振るルークの様子にはお構いなしに、アッシュは舌での愛撫を続け同時に時折指でそこを広げたりして見せる。
「・・・お前は俺のレプリカだから男のはずだが・・・何故今、女になっている?」
「・・・・・んっ・・あっ・・・」
「・・それも答える気はなし、か・・」
今度はルークの意思をすぐさま悟ったアッシュは、お仕置きとばかりにそこへの舌での愛撫を強めると、舌を瞬時に中に侵入させ、その瞬間ルークから甘く高い嬌声が漏れる。
そして暫く舌でルークの中を堪能した後、アッシュは自分の粘液とルークの愛液の混ざった液体を零しながら舌を引き抜き、頬を赤くし息を荒げて薄っすらと涙目になって艶やかなルークの顔を見て、その姿に対してはまるで狂ったように満足そうな笑みを浮かべる。
「んん・・むっ・・・」
熱い息の漏れる唇を割って舌を侵入させれば、最初の時とは違いとろんとした瞳で声を漏らしながらそれをあっさりと受け入れるルークに満足しながら、アッシュはルークの唇を一舐めしてルークから離れる。
そしてかちゃかちゃと部屋に鳴り響くベルトの音をルークは暫く混濁した意識のまま聞いていたが、やがて半ば正気に返ってその音が意味するところを察して背中に冷たいものが走った。
ルークの予想は案の定で、それを取り出したアッシュはルークの脚を再び開かせて固定させると、狂喜に満ちた笑みを浮かべながら抵抗しようとしたルークの秘所をあっさりといっきに貫いた。
「ひっあああやぁあああいっあああぁああ!」
嬌声というよりは痛みによる悲鳴の方が勝る今までで1番高い声を上げ、ルークは貫かれた衝撃で目を見開いき、背を弓なりに反らせて痛みに必死に耐えようとしていた。
一方のアッシュは貫いた時の感覚、ルークの処女膜を自分が突き破った事実と、初めてを意図させる赤い液体に口角が自然と上がっていく。
そしてアッシュが動き始めると、最初は苦痛といえる声を漏らしていたルークだったが、徐々にそれは快楽を肯定する嬌声へとへと変化していった。
その様子にアッシュの笑みは自然とより深いものになっていく。
「あっ・・・ふぁっ・・あぁあっ・・・」
「初めてのくせに随分と良い声じゃねえか・・・・・この淫乱・・・」
「んぁあ・・・あっ・・あ・・しゅぅ・・・」
痴態を曝け出して無意識に自分の名前を呼んで縋るルークに、他にあった疑問などアッシュは既にどうでも良くなってきていた。
しかし最後に1つだけ、アッシュにはどうしてもルークから聞き出さなければならないことがあった。
「・・・最後の質問だ。てめえは今どこに住んでやがる?」
おそらくこのケテルブルクではないことはアッシュには既に予測できていた。
だからこそどこで暮らしているのか聞きだす必要があると判断したのだ。
しかしルークは快楽の波に支配しているにも関わらず、先程同様この質問に答える気はないのか、喘ぎ続けるだけでいっこうに答える気配はない。
業を煮やしたアッシュは舌打ちをすると、勢い良くルークの最奥を貫いた。
「ひぁああっ!」
一際高い嬌声を上げるルークの姿を見下ろしながら、アッシュは髪を無造作に掴んでルークの顔を自分に向けさせた。
「・・・答えろ。今度はさっきみたいに見逃してやらねえぞ」
その低い声にぼんやりとルークは視線をアッシュに向けてみると、そこにはいらついて自分を睨みつける彼の目線を交わった。
そしてもう1度アッシュに強く最奥を貫かれると、また高い嬌声を上げた後、少し諦めたように小さく掠れた言葉を漏らし始めた。
「・・ヴァ・・他の・あっ・・・オラク・・にぃはぁ・・・んんっ・・」
「・・・言わねえでやるから、答えろ」
途切れ途切れにルークが何を懇願しているのかすぐに気づいたアッシュは、ルークが望む答えをすぐさま返してやった。
もっともアッシュは最初からルークの事をヴァン達に知らせるつもりはなかったのだから当然の返答だった。
どうしてそうしようと思ったのかはアッシュ自身まったく気づいていないし、それが何かおかしい事だということさえも気づいてはいなかった。
そしてアッシュのその返答を聞いたルークは、それでも少し迷った後、更に追い討ちをかけてきたアッシュによって完全に陥落してしまった。
「・・ああっんっ・・・グラン・・コ、クマぁ・・・」
ルークからそう答えが返ってきたことを確認すると、アッシュはまた笑みを浮かべてより動きを激しくし、卑猥な水音が室内を支配していく事も楽しみながら、アッシュは徐々に腰の動きを自然と自分に合わせ、激しい嬌声をより研ぎ澄ませて奏でるルークの姿に酔いしれていた。
「あっァあーーー!!」
「・・っ・・・」
そしてアッシュがルークの中に己の欲望を吐き出すと同時に、ルークは限界が来たのか今までで1番高い嬌声を1つあげ、その場にぐったりと意識を失ったのだった。








アッシュによって散々身体を蹂躙され、気絶していたルークが起きて最初にぼんやりとした目で捉えたのは、服を整えて身支度を済ませようとしているアッシュの姿だった。
その姿を捉えて自然に起き上がろうとしたが、突如走った腰の痛みに顔を歪めて再びその場に崩れ落ちる。
その動作にルークが起きた事に気づいたアッシュはルークに近づきその顎を掴んで自分の方に向かせた。
「あっ・・・」
アッシュに触られただけで思わず漏れた声にルーク自身は驚き、アッシュは上機嫌に笑みを深めて口を開いた。
「安心しろ約束は守ってやる。お前の事は神託の盾騎士団の誰にも言わねえでやる」
アッシュのその言葉に少し驚いたようにルークは目を丸くし、小さく開いた口からは思わず言葉が漏れていた。
「・・ほん・・とう・・・?」
「ああ・・だが、その代わり良く覚えておけ・・」
そう言うやいなや、アッシュはルークの頬の手をかけ、不意に唇を重ねて深い口づけをする。
そして唇を離して顔を真っ赤にしながら息を荒げているルークを眺めた後、また笑みを浮かべて視線を合わさせながら低く強制力のある声で断言した。
「お前は、俺のモノだ」
そう告げるとアッシュはルークから離れて立ち上がり、出口である扉の元へと近づいていく。
そして扉の前までくるとくるりと振り返り、自分の姿に釘付けになっているルークの姿を見てまた機嫌を良くしたように笑いながら口を開く。
「近いうちに会いに行く・・・・・逃げる事は許さない。解ったな」
アッシュはただそう言い捨てると今度こそ扉を開き、そしてバタンっという扉の閉まる音と共にその場から立ち去っていった。
後に残されたルークは暫し呆然とした後自分の今の現状を把握し、気絶する前は脱がされていた服が何時の間にか着せられている事にどこか安堵しながらも、なんだか無性に悲しくもなってきていた。
そしてそれ以外にも様々な感情が自分の中に混同し、どれが今の本当の自分の気持ちなのか自分の事さえ理解できず、ルークは何時の間にか涙を流し始めていた。










アッシュが立ち去った後、まだルークが中にいる家の前に立ち、リリスは珍しく少し難しそうな顔をしていた。
もっともそれは難しそうな顔をわざとらしく作っていると言ったほうが良いのかもしれなかった。
「ん〜〜・・・お膳立てしたのは私とはいえ・・・まさか、ここまで行くとは・・・」
リリスの言葉の通り、今回の一件は殆どリリスが仕組んだようなものだった。
どこからかアッシュがこの時期にケテルブルクに任務に行くという情報を入手したリリスは、ネフリーに会いに行くという口八丁の名目でケテルブルクまでルークを連れ出し、アッシュとわざと会わせようという企みだったのだ。
それによってアッシュと、何よりもルークがどんな反応をするのか、見て楽しもうというなんとも趣味の悪い企みだった。
勿論、アッシュの行動如何ではアッシュの記憶を変えてしまおうというつもりだった。
リリスにはリリスなりのこだわりがあり、ルークの事を今ヴァン達に知らせてやるつもりなどさらさらないからだ。
しかしそれはなかったものの、逆にアッシュはリリスの予想外の行動をとった。
2人きりで話しをさせるためにわざわざ結界を張って異空間を作り、ルークがアッシュから逃げている時、アッシュがルークを捜している時、周りに他の人間の目がないのを見はからって2人だけを引き入れたのだが、まさか話以上の事態に発展するとは思ってもいなかった。
否、むしろアッシュが何かにぶちきれて暴走したためと言って良い。
しかしこちらのアッシュにとってルークは初めて会った存在で、あんな執着の仕方を見せるのははっきりいってありえない。
そこでリリスの中にある1つの仮説が浮かんだ。
否、これは本来神としての彼女の直感であり、仮説ではあるがリリスは確信を持っていた。
「・・感情だけ未来から持ってきちゃうとは・・・難儀よね・・・」
リリスはルーク達が1度辿った歴史をずっと見物していた。
その中でふとリリスはアッシュを見ていて、あれだけ罵詈雑言を並べながらも、本当はルークの事が好きなんだなと確信を持ちながら見ていた。
そのルークを好きだという感情を、アッシュは前に辿った歴史の記憶はないが、しかし感情だけはしっかりと持ってきてしまったのだ。
これはリリスにとっても想定外のことで、ルークはリリス自身が全ての記憶や感情を前の物から持ってこさせたから当然なのだが、生憎と他のものたちに関しては全くそんな事はしていない。
つまりアッシュはルークへの想いが強すぎて、記憶は無理でもせめて感情だけはしっかりと持ってきてしまった事になる。
本来こんな真似普通は到底不可能であるから、それだけアッシュの想いが強すぎた事にはリリスも感嘆する。
しかしそれだけ強く想っていたのなら、前の時にもう少し素直になっていても良かったのではないかと、アッシュに対しツンデレだとかヘタレだとか言う言葉が自然と頭を過ぎった。
ともかくこちらに持ってきていたがルークと今日出会うまでは大人しく眠っていたのだろう。
しかしいきなり復活した感情を、今までルークに1度も会ったこともない、むしろ自分の居場所を奪うはずだったレプリカと認識していたアッシュが、それを正しく理解できるはずもない。
向こうで得た感情とこちらでの記憶が微妙にぶつかり合い混ざり合い、結果激しい執着となってアッシュを支配したのであろう。
それは言うなればルークに対する激しい愛憎だ。
おそらく自分の感情をまだ理解していないアッシュは、今頃この寒空のどこかで我に返って自分がした事に激しい疑問を抱いて悩んでいるだろう。
しかしそれでもアッシュはまたルークを自然と求めるだろうし、ルークとの約束を破る事はないだろうと、リリスはどこかで確信していた。
とにかくかなり予定外の事は起こり、多少ルークには申し訳ない気もするが、それでも今回の目的そのものは果たされたといって良い。
何よりもリリスにとって予想外の事が起きるのは、かなり都合の悪い事以外では全面的に楽しむ要素の1つである。
「・・・やっぱ、人間って面白いわ」
ただそうぽつりと呟いたリリスは、未だ冷たい床に横になっているであろうルークの元へ行くべく歩き始めた。
真相を話した後ルークがどれだけの文句を言ってくるのかを予想しながら、それさえも自分が楽しむための要素の1つかもしれないと思いながら。
そんな事を考える性質の悪い正体神様が、その場に張った結界を解くのはまだまだ先になりそうである。











あとがき

裏です・・・
一応3話の完全版になります・・・
1年以上ぶりの裏です・・・・・・;
ぬるいかどの逆かは皆様のご判断にお任せします。
アッシュのキャラ変ってるかもしれないし、っていうか・・・鬼畜で執着本当に凄いですから・・・;
でも私の攻めキャラで裏書いた事のある奴って、皆そうなんですよね・・・・・(1人表だとヘタレなのがいますが;)





BACK