先日、ボクに新しい仲間が出来た。
ご主人様が拾ってきた卵から産まれたドロイカンナイトとドロイカンマジシャンだ。産まれたての赤ん坊だっていうのに身体はボクに比べてかなり大きい。
だが果たして頭の中はどうだろうか。ここはこのボクが先輩としてきっちり教えておかねばなるまい。

「ぴぃ!」

寄り添うようにぼーっとしてた彼らの前に立ってボクは飛び跳ねる。するとドロイカンマジシャンがにっこり笑ってきゅうと鳴いた。
・・・・・・・・・中々可愛いじゃないか。
それに比べてドロイカンナイトときたら。ボクがいる事に気付いている癖に見向きもしない。

「ぴっぴぴっぴぴぃ!!」

注意するとうんざりした様にこっちを見て、それからまたそっぽを向いてしまった。なんて態度の悪さだ!
ボクが再度声を張り上げようとした瞬間、ドロイカンマジシャンがドロイカンナイトを突付き、たしなめる様に鳴く。それでやっとドロイカンナイトはボクに挨拶をした。うむうむ、分かればそれでよろしい。

「ぴぴぃ、ぴぴぴっぴ」

ボクはご主人様の素晴らしさ、相方の戦士の恐ろしさについて語る。ドロイカンマジシャンは食い入るように話に聞き入り、時々相槌も打った。
だがしかし、ドロイカンナイトは事もあろうに欠伸をしたのだ!
信じられない。
怒りの余りボクはローリングアタックをかました。するとドロイカンナイトはのっそりと起き上がり、ボクを見下ろす。
こ、怖くなんてないぞ・・・・・・!

「ぴ、ぴぃッ・・・!!」

おもむろにドロイカンナイトはボクを咥えた。

「ぴぃ?! ぴ、ぴぴぃぴっぴぴぃ!!」

やめるんだ!!
ボクは緑色だから食べても美味しくなんかないぞ!
喚きたてるボクとドロイカンナイトを交互に見てドロイカンマジシャンはおろおろしている。

「っぴぃ―――――!!」

次の瞬間、ボクは上に放り投げられた。天井にぶつかる寸前で放物線を描き、そのまま下に落ちる。いくらボクがぽよぽよした生物だからって地面に当たるのは痛い。どうする事もできなくてボクは衝撃を覚悟してぎゅっと目を閉じた。

「・・・・・・・・・ぴぃ?」

すとん、とボクは何かの間に挟まった。恐る恐る目を開けると目の前には赤い鱗。後ろには人っぽい形をした何かがいた。
そう、ボクはドロイカンナイトの背中の椅子に座っていたのだ。

「キュア」

ほっとしたのか、良かったねとドロイカンマジシャンは嬉しそうだ。ドロイカンナイトと言えば、そこで大人しくしてろと言わんばかりに再び丸まって目を閉じている。
ボクは子供じゃないんだぞ!!





でも居心地が良かったから大人しくしといてあげるよ。