2009年度講演会 |
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早稲田大学現代文学会企画 2009年度講演会 他者の衝撃と詩の変容
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今、「詩とは何か」という問題が問われている。ただでさえ小説・絵画・映画など諸ジャンル間の垣根の崩壊が生じている現代において、「詩」と呼ばれるものの存在意義は限りなく曖昧模糊である。また、別の観点から見れば、現代詩の難解さが叫ばれ、特定の層にしか受容されないという状況にも陥っている。現代詩の意義が不明瞭になっているそこでは、端的に「詩には今、何ができるのか/できないのか」を問わなければならない。そしてそれは、今までの「詩」を見直す必要さえ含んでいる。私たちは今、「詩」を検討してみなければならない。 この壮大ともいえる問題に対して、ドイツの現代詩人、パウル・ツェランの研究から答えを探ることは、無益ではないだろう。ツェランの難解とも言われる詩は、「無」「沈黙」「非−言語」といった、いわば詩における「他者」の問題を問いかけている。ツェランに、そして言語に厳しく対峙するこの「他者」は、言語が言語でさえなくなる限界へ「詩」を導こうとする。他者性を言語でもって表象すること。そういったものとしてツェランの詩を検討することは、「詩とは何か」という問い、詩の可能性/不可能性の問題に向き合うことになるのである。 そこでこの度の講演会ではパウル・ツェラン研究の先陣をきられているお二方、守中高明・福間具子両氏をお招きし、ツェランにおける他者性の表象と詩の可能性について語っていただきたいと思う。 |
■講演者紹介
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■講演会対策勉強会 『アウシュヴィッツの残りのもの』から見る講演会テーマの前提(生熊) 『アウシュヴィッツの残りのもの』における「主体」の概念について(池沢) 非―場所へ向けられた痙攣の一撃 ――ツェラン、ラクー=ラバルト、アガンベン――(小川た) 福間具子業績研究勉強会――博士論文を中心に――(生熊) 守中高明業績研究〜共同体なき共同性の対話・眼差し〜(池沢) 伝記的事実から知るパウル・ツェラン(綿貫) 共同存在をめぐって〜ハイデガーとレーヴィット〜(小川ま) 理解不可能性としてのツェラン詩作品、その解釈を巡って(堀内) 考察:ローマ書11節―M・エリアーデとG・アガンベンをもとにしつつ―(西野) |
■開催日時・会場 2009年12月5日(土) 開場13:30 開演14:00 閉演17:00(予定) 早稲田大学 戸山(文学部)キャンパス 36号館682教室(6階) ※入場料無料 |
■アクセス JR山手線高田馬場駅より徒歩15分 東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩5分 |
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