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2010年度講演会

早稲田大学現代文学会企画 2010年度講演会

今ここでのスピノザ――来るべき共同体へのまなざし


 既存の共同体のあり方の変容が指摘されて久しい。共同体の構成員に平等に膾炙される超越的文脈なるものはその地位を完全に失墜した感すらある。

 しかし、あくまでも我々が(一人では生きていけず)、社会として、共同体の一員としてしか生きていけないとするならば、我々は絶えずその内側から、共同体との関わり方を問い続けなければならない。

 その壮大な問題にはこれまで以上の更に多くの言説が費やされなければならない。しかし、その回答への一つの提案としてスピノザの政治思想について考えるのは有意義なことだろう。スピノザは哲学者として汎神論を唱える一方で、政治と倫理の分離という問題と、権力について包括的な分析を行っていた。彼は国家がその構成員に規範的、道徳的な姿を強制するあり方の危険性に意識的であった。共同体と個々の構成員との矛盾の無いあり方を目指すスピノザの思想は、ネグリやドゥルーズの例を待つまでもなく、死後300年以上を経た現代でなおその意義を汲み尽くされてはいない。

 本公演会では、スピノザ研究の第一線で活躍されている浅野俊哉氏を講演者としてお招きし、現代におけるスピノザの政治思想の意義について考えていく。

■講演者紹介
  • 浅野俊哉 1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。NHK入局後、筑波大学院哲学・思想研究科博士課程単位取得満期退学。現在、関東学院大学大学院法学研究科教授。哲学・社会思想史、グロバリゼーション研究。著書に、『スピノザ 共同性のポリティクス』(洛北出版)。論文に、「理性と情動―スピノザ哲学における合理主義の一―側面」「スピノザ主義の経験主義的解釈――ドゥルーズ『スピノザ 実践の哲学』をめぐって」「「絶対的民主主義」とCivitasの条件――ネグリのスピノザ解釈をめぐって」など。翻訳に、マイケル・ハート『ドゥルーズの哲学』(法政大学出版局、共訳)など。
■開催日時・会場
2011年2月10日(木) 開場13:00 開演14:00 
早稲田大学 学生会館 B201
※入場料無料

■アクセス
JR山手線高田馬場駅より徒歩15分
東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩5分

早稲田大学ホームページ参照