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■ 実装職人名鑑03: ジョニーさん

実装職人インタビュー第3回。
今回は、あの有名な作品を手がけられたジョニーさんです。
かつての通り名を聞けば、驚く方も多いのではないでしょうか? 話題作を量産し、黎明期の実装ジャンルで活躍されたスク師さんの、熱い心意気に迫ります!

 

  • 活動ジャンル:実装石/実装人
  • 職人タイプ:スク師
  • 活動開始時期:2005年秋から2007年春
 

ジョニーさんに、色々お尋ねしてみました……!

それでは、自己紹介からお願いします。
 
名前を名乗っていなかったので「仔実装弾作者」と呼ばれてました。
 
基本的に保管庫でのスク活動してました。
理由は1レススクのような短くまとめられるのが苦手だった事と、描写・説明が付随しないセリフばかりの文章が書けなかった事に由来します。
 
仔実装弾の作者さんだったんですか! なるほど、それで……
 
特に名乗ってなかったので、便宜上そう呼ばれてました。
 
それで現在は、自称でジョニーさん、ということですね。
ところで、実装以前に活動されていたジャンルは?
 
実質、実装石からのスタートで。
 
実装デビューなんですねぇ。
何がきっかけで、このジャンルにハマったんですか?
 
1レススクを読んで「こういうものもあるのか」とショックを受けた反面、「自分ならばもっと違う表現方法で書ける」と思った事。
 
なるほどねぇ。
それで、実際に書き始めてみてどう感じられましたか?
 
「テンプレどおりにやれば簡単に書いてゆける」
 そう考えて書いた本人ですら、面白いとはこれっぽっちも思えない、どこかで見た作品を集めたようなものが完成。
 
ここで、自分の書いたものに不満を感じるならば正解です。
 
テンプレ展開と言われる流れや設定に満足できない限りは「何が不満なのか」「自分が見たい、感じたいものは何なのか」を考え続け、それをどう表現すればいいかを追い続けられます。
 
そんな思いを乗り越えて、これまで製作された作品を教えてください。
 
「仔実装弾」
「コンビニのいつもの風景」シリーズ
「親指実装の楽園」
など。
 
「親指実装の楽園」! 私も大好きです!!
ジョニーさんの作品傾向は、どのような感じなんですか?
 
基本的にいろいろな傾向を解釈してあれこれ書いていたものの、悲哀系あたりが書きやすい方向で落ち着いたようです。
 
代表作と、ご自身のお気に入り作品は何でしょうか?
 
代表作としてなら「親指実装の楽園」。
お気に入りでは「繋いだ手」。
 
……あの長いのは、イロイロとパスの方向で。
 
他の職人さんの作品で、お気に入りの作品があれば語ってください。
 
なんでも。が設立された初期のもので、アップローダに上げられて2日ほどで消されてしまった作品でタイトル不明。
 
主人公の家に置き去りにされた仔実装が知っている「遊び」というのは、自分が丸まって他の大きく育った姉妹たちに転がされ、蹴られてボールとして扱われる事。
元々栄養不足で成長していないのに、「ママが必ず助けに来る」と飼おうとする主人公の食事を拒み続け、最後は衰弱して死んでしまう・・・こんな流れの話。
 
悲哀系を書くようになったきっかけとなった作品です。
 
他の職人さんの作品から影響を受けることって、大事ですよね。
他にも、実装ジャンルに触れて変わった意識などはありますか?
 
物語は自分の頭の中で考える事と、他人に伝える為に文章化する事は全くの別物である事。
 
自分が思い描いて表現したものは、それを見た他人には自分と同じものに見えているとは限らないというクオリア概念。
 
この二つは、実際に経験しないと本当の意味で理解できない。
 
このジャンルに関わって、一番嬉しいと感じたことはなんですか?
 
作品を完成させることが出来て、それを発表できた事。
 
実装ジャンルで活動して体験した面白い・珍しいエピソードや経験があれば教えてください。
 
どうにも当時の実装ジャンルには、俺は三人いた事になってたみたいです。
あとがきでの証明は無効気味?
 
三人?! いったい何が……?
 
例文:三人?! いったい何が……?
 

「三人?!」が意味するのが、
 ・「増えた」「減った」のなら、何かの経過があっての人数増減。
 ・「前触れもなく突然出てきた」のなら、超常現象発生。
 ・「みつひと」なら、その個人名『三人』君に何かが起きている。
 
この文の状態が、
 ・ナレーションとしてなら、真実。
 ・心理描写としてなら、その人の主観。
 ・セリフとしてなら、その人の感じている事の状況説明。
 

例文を分解し、こう捉えて二つの要素を組み合わせると、3×3で9つの組み合わせが出来る。
実際はもっとあるだろうが、こんな単純な文節であっても、前後の説明がないだけで無数の状況に繋げられる。
 
結論:妄想力は、一単語からでも物語のシーンを引き出す事が可能と言うこと。
 

……と、ホワイトボードを前に、うちのペットに講義をする俺。
 
「妄想とは、こんなにも奥深いものなのだよ」
「……そのまま素直に物語を作らないご主人様は、相当のヒネクレ者デスゥ」
 
な、なんだか上手くはぐらかされた気がしますが……気を取り直して。
ジョニーさんは、スレと保管庫、どちらに作品投下をしたいとお考えですか?
 
スレ投下は自分の長文には不向きだったので、保管庫に投下してました。
 
分割して文章がぶつ切りになる事と、途中に他人の書き込みによる割り込みが入る可能性。
 
そして何より、「読む」という行為においては、画面に表示される文章以外のものが集中を妨げるので、テキスト以外が表示されない保管庫のローダーを選びました。
 
昨今色々と様変わりした感のある実装スレですが、住人の皆さんに対して、何かお伝えしたいことはありますか?
 
欲しいものを求めて、騒いで、叫んで、暴れ回って。
それで自分の欲しいものが、どこかで見つかりましたか?
 
それでもまだ見つからないというのなら、それは自分しかその姿を知らないものです。
 
それでもそれが欲しいというのなら、探す為のアプローチを間違えています。
他の手段を探しましょう。
 
なかなか染みる一言ですね、ありがとうございます。
実装メッセやふたそ(大実装)などについても、お感じになったことがあればお願いします。
 
一つの集団として集まる以上は、傾向が似る事があっても同一ではありません。
自分の予想した以上の言葉や答えを求めるなら、他人との交流は必要となる筈。
 
無数にいる匿名の「誰か」の言葉よりも、「個人」の言葉は、どんなものであれ心に留める重みや意味が違って来ます。
だからこそ、名前を背負って行動する形のコミュニティは重要です。
 
いよいよ最後になりますが、何か一言「締め」のお言葉をお願いします!
 
かつて「実装職人だった」人間としては、ここまでの言葉にどれだけの意味があるかは分かりません。
 
未だ先へ進もうとしていられる現役職人の方々に、敬意を表します。
 

ジョニーさん、インタビューへのご協力本当にありがとうございました!