■ 実装職人名鑑26: (仮称・空白)さん
実装職人インタビュー第26回。
今回は、実装のスクやフェルト人形を製作される職人さんです。
ご本人のご要望により、お名前は表記しておりませんが、主に観察テイストの“実装石が酷い目に遭う”作品を投下されています。
割と長編寄りの作品が多く、人間との関わりや、実装に強いる「ルール」に重点を置く傾向が見られる作風です。
造型と文章、そんな二本刀を操る さんに、今回はお話を伺います。
- 活動ジャンル:実装石
- 職人タイプ:スク師&造型師
- 活動開始時期:2011年11月〜
さんに、色々お尋ねしてみました……!
それでは、自己紹介をお願いします。
スク書きです。 参考程度で立体物も作りました。 一度白に投稿した事があります。
お名前がないようなんですけど……?
いやぁ……名乗り上げてなくてすみません。 というか、名乗るつもりもありません。
なるほど、了解です。
では さんの本来の活動ジャンルについて教えてください。
二次創作。 最近は仕事の関係で、創作自体殆どできてませんがw
実装ジャンルへは、何がきっかけで?
最初はpixivのR-18Gエリアで、偶然ゆっくり虐待を見つけた事ですね。 そのゆっくり虐待を描かれている方の作品一覧で、実装石を初めて見つけ、 「実装石って何?」 と検索を始めたのがきっかけです。 その後、とある方の作品で嵌りました。
これまで、どのような作品を作られましたか?
「仔実装観察撮影」 「クリスマスお題ショート集」 「再現を目指す」 「期間限定の御品書き」 「おもてなし」 「仔実装で遊ぼう」
それでは、ご自身の作品傾向は、どのようなものでしょう?
観察・虐待・駆除系。 所謂 「最初と最後を決めて書きながら中盤を構成していくタイプ」 (簡単に言えばマラソン大会のスタート・ゴール会場を決めてから走るルートを決める) なので、気に入らない場面になると、作成が中断してしまう…… 大抵まとまりがないのは、この所為だろうと思ってますが。
お気に入りの自作品は、なんでしょう?
展開に納得できなくて進まなくて全く投下していないものもありますので、正直お気に入り作品というか、申し訳なさの方が大きいというか……
スクの他に、実装の人形もお作りになられてますが、これは何を使ってどのように作成されているのですか?
フェルトの人形の事ですね。 フェルト手芸といっても実は種類がいくつかありまして、その中の「ニードルフェルティング」と呼ばれる技法で作成する手芸です。 簡単に説明すると、専用の特殊な針を用いて、綿状の羊毛をぷすぷす刺していき固めて形を作っていく技法になります。 材料や道具は、少し大きい手芸屋さんで簡単に手に入れる事が出来ますよ。 最近は某百円均一でも販売されていますが、正直質がよろしくないので、個人的にはあまりお勧めしませんが…… 基本的に繊維形状から羊毛のみとされていますが、実は一部の猫の抜け毛でも作れるのはココだけの話。 作るきっかけは、立体的な参考物として作ってみようと思ったのが始まりだったのですが、その途中で目の素材に行き詰まり、白掲示板に意見を求めた事があります。 色々な方から参考となるアドバイスを頂き、自分自身で妥協できるものを見つけることが出来ました。 ここを借りまして、原型あきさん、その他レスを下さった皆さんありがとうございました。 当時完成したのは3匹(目の素材は決定していない頃でしたが)で、ふたば学園祭にて譲渡しています。 うち2匹には実はモデルがいるのですが、絵師さんの作品を見直してみれば恐らくわかるかと思われます。 ……1匹なんてまるごとそのまんまですし。 今手元にあるは写真の親指実装(約5センチ)と蛆実装(約3センチ)ですが、時間的余裕があればもっと小さいのや他実装も作ってみたいと考えています。
フェルトの技法にも、色々あるんですね、ありがとうございました。
話は変わりますが、他の職人さんの作品で、お気に入りの作品があれば語ってください。
一番のきっかけとなり、嵌る一歩となった通勤さんの作品全般。 通勤さんの作られたじそ屋ゲームは、一時期時間を忘れてじりじり遊んでいましたw 絵師さんは、ボトルキャップさんのむにむにしたい感触表現が堪りません。 あとTさん。 蛆実装を木の幹に磔る発想に、「おお」と思いました。 ※インパクトを受けた方中心に名前を挙げさせて頂きました。
実装ジャンルに足を踏み入れてから、何が一番変わったと思いましたか?
一番大きいのは「虐待描写」を覚えた事でしょうか。 残虐描写をした事はありますが、別段バイオみたいなものではなく、解る人じゃないと解りにくい描写でした。 あと久々に、一からの創作の楽しさを思い出しました。
実装ジャンルで活動して体験した、面白い・珍しいエピソードや経験があったら教えてください。
よくあるのが「ああいるよなこういう奴(糞蟲)」って感じる事ですね。 親戚の子供を見ていて、糞蟲の行動パターンを見つけてしまうと即座に叱る癖がwww そもそも実装石の糞蟲思考って、社会適応能力を持とうとしない自己中心性格が殆どですけどね。
スレと保管庫、どちらに作品投下したいとお考えですか?
白保管庫にしか投稿していません。 画像等は人にお渡ししたりはしていますが、それ以外で投下している場所はありません。
現在の実装ジャンルについて、何か思うことがあればお願いします。
実装石というのは「設定が存在しない=創作」の分類に非常に近く、自由な発想で表現できるジャンルだと考えています。 自分が実装石を知った地点で既に荒らし、排除対象となっていましたが、個人的にはそれは違うだろうという認識があります。 恐らくは自分自身が二次創作をしている事からの考え方なのですが、本来の荒らし、排除対象となるのは、著作権者の権利を無視してキャラクターの性質をぶっ壊している二次創作にあるという考え方にあります。 ただ、有権者が善意で黙っているだけなのです。 しかし、二次創作のグロだったり残酷描写等年齢制限を併せ持つ描写は殆ど突っ込まれませんね? 作品をぐちゃぐちゃにするのがアートだと主張する人もいますけど、元の作品が存在している地点で、思いっきり著作権侵害真っ黒なのに。 設定があるからこそ扱いやすいから使う、このキャラが好き・嫌いだからやっちゃった☆ そんな考え方かもしれませんし、それは二次創作故ですから、自分がどうこう言う筋合いはないでしょう。 ですが、どう見ても「使わせてくれてありがとう」の意識を感じない二次創作が蔓延しているのが現実です。 昔はこんなんじゃなかった筈なのに…… 暗黙のルールを守らなくなっただけじゃなく、「知らない」と我が物顔で言い切る著作権侵害集団が非常に恐ろしい。 ひっくるめて、時代の流れとは恐ろしい。 犯罪者=オタクの構図もこの所為なんでしょうかね。 マスゴミの所為だけど。 聞いた話から想像できるのは実装石の持つ「歪んだ人間像を投射している=排除的思考」に繋がっているといった印象を受けますが、原因は他のスレを実装石のネタで台無しにした人間だそうですので、ジャンルとしてはとんだとばっちりでしょう。 この場合、ジャンルじゃなくて荒らした人間が問題だというのに。 愚痴になってしまいましたが、ネット環境という面もあり文では伝わりにくさもあります。 新人の分類にあるため、以前の流れを全く知らない無知な面もあります。 ここまで自由度の高いジャンルも珍しいのに……そんな気持ちです。
「自由度の高いジャンル」というのは、まさにその通りだと思います。
ちなみに実装石以上にフリーダムな「実装人」というジャンルもあるわけですが、正直こちらはあまり活発とは言い難い状況です。
さんの視点で見る「実装人」ジャンルとは、どのようなものでしょうか?
非常に申し訳ない事を言ってしまうことになりますが、ぶっちゃけまして、自分は実装人に対し「あまり関心がない」のが本音です。 その理由が実装人職人さんが増えない理由に通じるのか定かではありませんが、自分の理由として、語りたいと思います。 長々と語ると鬱陶しい事になりますので、簡潔に言えば 「投射しやすいか、しづらいか」 「共存した話の設定を考えづらい」 「思考視点での自由度が違う」 となります。 自分の場合、先駆者職人さんの設定の先入観が強いのです。 関心がなかった影響もあり、実は突っ込みを頂くまで無自覚でしたが、実装人と人化実装を区別して作品を作る事が難しいといいますか。 益々解りにくい表現になりますが。 職人さんに依っては、キメラのような表現だったりと様々ではありますが、その先に何故かエロスに至っている傾向を感じています(いや、エロスを否定しているわけじゃないんですけどね)。 若しくは、「人間が存在しない世界」としてファンタジー要素の世界だったり。 身近な些細な話から壮大な設定までする作品作りは、恐らくしないでしょう。 ……あまり理由になっていませんね。 すみません。
メッセ、ふたそなどのコミュニティについては、どのようにお考えですか?
仕事の関係もありメッセへの参加はしたことがないのですが、ふたそは連絡手段として非常に有難い存在になっています。 とはいえ、実装限定ふたそへは参加してませんがw ともあれ、そう言った意味では非常に有難い連絡ツールとして利用させて頂いています。
いよいよ最後になりますが、何か締めの一言をお願いします!
保管庫のみの投下で、ふたばやふたそに投下しないのは「投下し辛さ」がある為です。 ふたばの方では若干違う方向への動きがみられていますが、見ていると、このサイトによって職人の本音が知られたからという意見もありました。 職人の本音を出せなかった、これまでのふたばのあり方が変わるきっかけとして、良い傾向に向かって欲しいと思います。
さん、インタビューへのご協力本当にありがとうございました!