RIDDLE --
I.a puzzle,question that requires cleverness to answer
II.Tom Marvolo ... ?



























     オルフェウス   1-28.RIDDLE


























ああ、何から話そうか。


何から話しても行き着くところは変わらないんだが。
だったら先に、この話の終わりがいつやって来るのかを教えておこう。

この話は、つまり俺の人生は、今から20年後に終わる。
それが早いと思うか遅いと思うかは、今は考えなくて良い。
その20年間に、普通の奴の60年分が詰め込まれてるかもしれない。だろう?


さて、まあ、今から数えて残り20年の内の12年は、俺はアズカバンに入っていた。
も聞いたことはあるだろう、北海に浮かぶ、監獄の島だ。

なぜだと思う?
……答えは、「12人のマグルと1人の魔法使いを殺したから」さ。
もちろんそんなのは濡れ衣だから、そう怯えた顔をしないで欲しい。


ああ、いま俺は“濡れ衣”だと言った。
だからつまり、合計13人を殺した真犯人が居る訳だ。
残念ながらソイツは捕まっていない―――俺の知る限りでは。
俺の知らない未来で奴が牢に繋がれていることを祈るが、それはまあ、今は置いておく。


俺がアズカバンに収容されたきっかけになった出来事というのは、簡単な話じゃない。
あの日よりも前に、事件の種は蒔かれていた。

それが萌芽して、全ての魔法使いの運命を揺るがした事件になったのは、
俺たちが21歳の秋、ハロウィーンの晩のことだった。

名前を口に出すことさえ恐れられた“とある魔法使い”が、
たったひとりの赤ん坊によって力を奪われた。事実上の消滅に、限りなく近かった。




その赤ん坊の名前は、ハリー・ポッター。




ちなみにミドルネームはジェームズで、
黒いくしゃくしゃな髪をしてメガネをかけていて、
驚くほど澄んだエメラルド色の眼をしている。

……分かったか?
その子の父親の名前はジェームズ、母親の名前はリリーだ。
付け加えるなら、名付け親の名前はシリウスという。

だから言っただろう?
いつだったか、ジェームズとリリーが喧嘩したのを心配したに、
「あいつらが喧嘩別れするなんて、そんなことは絶対に無いから安心しろ」って。


ハリーはヴォルデモートを打ち負かした。
1歳の赤ん坊が、ただ存在するだけで、奴に勝つことができた。

なぜだと思う?
それは、犠牲があったからだ。
両親からの愛という守護と引き換えに、ハリーは生き残った。



ああ。その晩、ジェームズとリリーは、殺されたのさ。



元から、優秀な魔法使いだったジェームズたちは狙われていた。
そんなことは分かっていたから、俺たちだって策を練った。

だから、忠誠の術でポッター一家の居場所を隠してしまうことにした。
『秘密の守人』になったのは、俺、ではない。

俺はジェームズの親友だし、自慢じゃないが、そこそこ腕だって立つつもりだった。
だから周囲のほとんどは俺が守人だと思っただろうし、実際、俺もそうする覚悟だった。

でも、死喰い人たちも同じ情報を手に入れられるんだ。
そこに気付いた俺は、自分を囮にして、第三者を守人にすれば良いと考えた。
まさかそんな大役を任されるようには見えない奴を選べば、そいつにとっても良い話だと思った。

結果的に、俺の読みは甘かった。
裏切ったんだよ、本当の守人の方が。

だからジェームズたちの居場所がヴォルデモートにバレた。
だからハリーはひとり残された。

世間一般には俺が守人だと思われていたから、事件があって、追われたのは俺だった。
その俺はといえばアイツを追って、小賢しい罠に引っ掛かって、
12人のマグルと1人の魔法使いを殺したとしてアズカバン行きになったという訳だ。

殺されたとされている1人の魔法使いは、しかし、死んではいなかった。
自分が死んだと見せかけるためにガス管を爆発させて、逃げていたのさ。
結果的にジェームズたちと無関係なマグル12人と俺とを葬って。



―――裏切り者、ピーター・ペティグリューは、逃げた。



















+



















「だから俺は『ここ』に来た。あの女に、やり直しを望むと答えた。
 それは何も、自分がアズカバンに入る運命だったのを取り消したいわけじゃない。
 俺はジェームズたちを救いたいし、ハリーを幸せにしてやりたい。ただ、それが目的なだけなんだ」







これまでの経緯を簡単に話して、俺はそう締めくくった。
時折首を傾げたり、小声で「いまのところもう1回」とか聞き返してくるくらいで、
はココアのマグを手に持ったまま、窓の外を見つめて、ほとんど俺の方を見なかった。

バスの中に乗客はほとんど居ない。
朝まで飲み明かしたと思われる中年男が泥酔しているくらいだ。


この話をしたからって、が母親の見舞いに行くのを断念する保証はない。
いや、恐らく、バスを降りたらまっすぐに歩き出すだろう。
なぜだかそんな気がした。
バスが景色を飛ばしていく一瞬一瞬の間に、俺に向かって力が流れてくるような、
ふわふわ浮いているとも表現できた意識の感覚が地面に向かっていくような、そんな気がするのだ。
この、訳の分からない感覚が、『時間』なのかもしれない。







「アズカバンにブチ込まれてから12年後、俺は裏切り者の居場所を突き止めた。
 そこで俺は脱獄を企てて、まあ、一悶着あったわけだ。
 だけどそれはこの“やりなおし”が上手くいけば存在しない未来の話だから、やめておく」







は返事をしない。
それはなにも俺を無視しているわけではなく、
人目に触れる場所で『ひとり言』を話すわけにはいかないからだ。

けれど、その沈黙する空気が気まずくて、話を続ける。
頭の中は空も同然で、口を動かしながら同時に考えているような有様だ。


脱獄後のことを話していたら、きっとバスが目的地に着くまでには終わらないだろう。
そこには動物もどきの話やリーマスの体質のことなんかも絡んでくるが、
俺の記憶のある限りでははそれらのことを知らないはずだ。

そういうことは、今の俺が話して良いことだとは思えない。
やリリーが現時点で詳細を知らないというのは、
『あっち』の俺たちが「知らせる時機ではない」と考えているからだろう。
だったら、彼女たちは『あっち』の俺たちから直接聞くべきなのだ。

















やがてバスは、寂れた町のはずれに停車した。
近くの案内プレートを見れば、そこがウィルトシャー州の田舎町だと書かれていた。

ブロンテの町。
このどこかにある“嵐ヶ丘”にと母親の暮らしていた家があるはずで、
ひょっとすると再婚した義理の父親もそこに住んでいるのかもしれない。


大きな音を立ててバスが過ぎ去り、は肩で大きく息を吸った。
移動時間で凝り固まった身体をほぐすためのようにも、
これから二度と味わうことのないだろう空気を感じるためのようにも見えた。







「こっち。お母さん、マグルの病院に入院してるの。
 田舎だから、魔法族の病院なんて無くて。だけどロンドンまで行くのも大変だし」







は進行方向を指しながらゆっくり歩き始める。
俺はその横を歩きながら、身に掛かる重力が増していくような感じを覚えた。


町はまだ静まり返っていて、出発時のホグワーツにも似ていた。
閑散とした通路。気配を感じさせない扉の奥。
眠っているのなら良いが、もしかしたら死んでいるのではないかと心配になる程だった。

町も、人も。
ひょっとすると、俺たち自身がそうなのかもしれないが。







「………なあ、俺がの妄想じゃないって、信じてくれたか?」







煙すら出ていないパン屋を見送り、俺は聞いた。
もう“早朝”と呼んでも良い時間は過ぎたのに、この町はまだ活動していない。
道路脇に読み捨てられていたゴシップ雑誌が、かさりと音を立てた。

は少し間を空けて「そうだね」と答えを寄越す。







「今のが全部わたしの妄想の産物だとしたら、わたし、小説家になれるね。
 だってアズカバンなんて場所、意識して考えてみたこと無かったし」


「でも、事実だ」


「少なくとも、『あなた』にとってはそれが真実なんだよね」







俺は『にとっても真実になるはずだ』という反論を、どうにか飲み込んだ。
普通はそうだ。普通は自分の友人たちがそんな悲劇を辿るなんて、あっさり信じるわけがない。




しばらくまた無言で歩いたあと、やがては足を止めた。
俺もつられて停止して、ふと横を見れば病院らしき建物の門が目の前にあった。

とうとうここまで、誰ともすれ違わなかった。
動いている人間はおろか犬猫さえも、家の中や店の中には見かけられなかった。

ひどく、肌寒い。









「……ひとつ、教えて。
 あなたはわたしにこの先へ行くなって言ってくれてるけど、
 でも、あなたの目的は『やり直し』じゃなかったの?
 わたしがあなたの話に納得してここで引き返したら、それは失敗になるんじゃない?」


「…………ああ、失敗になるだろうな。
 『記録係』の言う通りなら、俺はどこかの赤ん坊となって生まれ変わるらしい」







鼻で笑うようにして俺が答えると、は意外そうな顔でこっちを見た。
その表情に、クリスマスイブに相対した時の『記録係』の姿が脳裏に浮かぶ。
片方の眉を少し上げて、目をぱっちりと開いて。あの時も、こんな顔を向けられたんだ。

苦しまないようにしてやってくれ、と言った時。
の時間の受け皿が俺なのだと、受け入れざるを得なかった時。


きっと『記録係』本人も、今ののような顔をしているのかもしれない。
一度は納得したように見えた俺が、に逃げることを勧めている姿に。
せっかくチャンスをあげたのに何をやっているんだ、と、呆れているかもしれない。

きっとジェームズやリリーは大笑いしているだろう。
せっかくのチャンスを無駄にして、さすがはバカ犬野郎だ、とか言いながら。


だけど俺は、それでもいいんだ。








「俺の『やり直し』は、自分がアズカバンに入るのを阻止するためじゃない。
 ジェームズたちが生き延びて、ハリーが幸せに暮らせるようにするためだ。
 『あっち』の俺がアズカバンに入る結果になっても、そこさえ達成できればいい。
 そのためにはこの先にどんなレールが敷かれているかを知っている奴がひとり居ればいい。
 俺の代わりに、俺の記憶を継いだが居てくれるなら、それで良いんだ」







それが俺の答えだ。
一度死に、未来をひっくり返す仕事を負って来た俺だからこそ言えることだ。

に役目を変わってもらうことは卑怯なのかもしれない。
しかし今の俺は消滅しても、もう一度別の命となって生きることが出来るかもしれないのだ。
だったらを殺してまで俺自身での実行にこだわる必要なんて無いと思った。


“シリウス・ブラック”の代わりは居る。
”の代わりは居ない。そういうことだ。



は頷いて、「そっか」と言った。







「変に疑ってごめんなさい。やっぱりシリウスはシリウスだね。
 わたしのこと、そんなに考えてくれて、ありがとう」


「……、」


「でもね、わたしは行くよ。
 というより、今のを聞いて、行かなきゃって思った。
 わたしだって闘えるし、自分の運命は自分で決めたいの」







はそう言うと、決然とした足取りで病院の敷地へ足を踏み入れた。
俺も追って敷居を跨ぐ。肩が重い。気温なんて分からないはずなのに、背筋が寒い。

一歩一歩、足が前へ進むたびに、移動キーを使ったときのような感覚がする。
腹の裏から内臓ごと全身を引っ張られるような、そういう力が後ろ向きに掛かっている。

「行くな」と言いたくても、もうは聞いていない。







建物の中はやはり無人だった。
医者も看護士も、受付にさえも誰も居ない。
はカウンターから身を乗り出して「すいません」と声を掛けたが、反応はない。

なぜ誰も居ないのだろう?
本能だけがその答えを知っている。理屈なんか抜きだ。

“奴”が来るから。
“奴”がすぐ近くに居るから。

騎士団員として抗ってきた年数が精度の高いセンサーとなり、
俺の頭の中で警鐘を鳴らしている。


出来るものなら、今すぐここから出て行きたい。
俺に実体さえあったなら、を引き摺ってでも飛び出して行けるのに。

の注意を促そうと腕を掴もうとしてみても、俺には触れることが出来ない。
彼女は人を呼ぶのを諦め、階段に向かって足を動かし始めた。




(いやだ)
(行くな)
(そっちに行ったら駄目だ…!)








…ッ!」








そうして、伸ばした俺の手が虚空を掻いた、その時。



が俺の方を振り向いた一瞬のあと、もう“奴”はそこに存在していた。
黒いマントの裾を静かにはためかせながら、赤い瞳で世界を睨み、










「―――ごきげんよう、










何時から居たのか、何処から現れたのか、俺には分からなかった。

階段の上に居たのだろうか?それとも姿現しでも使ったのだろうか?
気付いたときには既に、の背後で、“奴”はニタリと笑っていたのだ。


“奴”は
ヴォルデモートは


そのまま、奴はわずかに開いていたとの距離を詰め、
が悲鳴を上げる前に大きな手で口元を覆い隠した。

あれだけ「闘う」と言っていただが、今はその目に驚きと畏怖が滲んでいる。
杖を探しているのだろう、ポケットに伸ばしかけた指先の震えが見て取れた。








「母親から大方の事情は聞いているだろう?
 君の父親との契約で、これからの君は、私のものだ」


「……っ…」


「聞くところによれば、妹が産まれたそうじゃないか。
 これで君も安心して私の元に出てこれるというものだ。だろう?」








は奴の手を振り解き、数歩分の距離を空けた。
金縛りにあったような重い身体を引き摺り、俺もの傍に駆け寄る。
彼女の細切れな呼吸が、やけに大きく聞こえた。







「―その、お話ですけど、わ、わたしは、従うつもりは、ありません。
 わたしは、あなたのやり方が嫌いです、だから、行きません」


「……ほう。それはまた、面白いことを言う。
 君はどこの寮に組み分けられたのだったかな、







一呼吸置いて、は「グリフィンドール」とキッパリ答えた。
その答えに、ヴォルデモートは愉快そうに口の端を持ち上げた。

はポケットから杖を出して構え、奴を睨む。







「さすがは“あの”ミスター・グリフィンドールの娘。
 君はあの男から不要な正義感までしっかりと受け継いだようだ。
 しかし知っているだろうか、あの男は保身のために君を売り飛ばしたような男だぞ?」


「違う!お父さんはそうしたくてあなたと約束したわけじゃない!
 無謀で、臆病だったかもしれないけど、あなたほどの卑怯者じゃなかった!」


「取り消すなら今のうちだ、
 この私が、私自らの手で君の間違った『常識』を正してやろうと言っているのに、
 どうにも君の口ぶりでは、私の教育はお気に召さないと聞こえるな」







どうやらヴォルデモートの目的はこの場でを消すことでは無いようだ。
恐らくは連れ帰って、最初から純血思想を植えつけ直す算段なのだろう。

ここで終わるのが良いのか。
奴のオモチャになるのが良いのか。

どっちが良いのかは分からないが、
どっちもや俺みたいな人間には地獄でしかない。



は震えた声で、「訂正なんかしません」と言った。







「だってわたしは、あなたの思想になんかちっとも共感できないし、
 あなたのことを偉大な魔法使いだなんて、塵ほどにも思わない!
 偉くもない、強くもない!その証拠に、あなたはこんな小娘ひとり説得できやしない!」


「…………」


「わたしは闘う。闘って、抗って、それでもダメなら、潔く死んでやるわ。
 そんな考えは時代遅れだとか、自己満足だとか、思いたければ思えばいい。
 でもわたしは、あなたに対抗した男の娘だから。それが、グリフィンドールの生き方だから!」







は杖を振り上げ、呪文を唱えようとした。
それはきっと、彼女の性格から考えれば、武装解除などの攻撃性の低い呪文だっただろう。

ヴォルデモートは面倒臭そうに腕を持ち上げ、軽く指を降った。

ただそれだけのことで、の呪文は杖から発せられる前に立ち消えた。
衝撃波のような空気の流れが起きて、は少しよろめいたようだった。


俺は自分のローブや制服のズボンのポケットを漁ったが、杖は見当たらない。
見つけたところでどうせ『実体のない』魔法にしかならないかもしれないが、
このまま指を咥えて傍観しているだけになるよりはよっぽどマシだったのに。







「――下らない…グリフィンドールの生き方だの、誇りだのと、実に下らない。
 私は最近、こう考えるようになったよ、
 かつては純血であれば総じて清いと思っていたが、純血にも、腐った純血があるのだ、と」


「…お父さんや、グリフィンドールの皆を、バカにしないで!」


「馬鹿にすることすら時間の無駄だ。
 …君には私の傀儡となってもらおうと様々な準備をしていたが、仕方ない。
 目障りなグリフィンドールには消えてもらおう。文字通り、“跡形もなく”」







やめろ、やめろ、やめろ!
頭の奥から、心臓から、俺の全身が「やめろ」と叫んでいた。



ヴォルデモートは杖を取り出して、それをに突きつけながらゆっくり歩み寄ってくる。
こつ、こつ、と人気の感じられないロビーに足音が響いた。









!ダメだ、逃げろ!
 もう分かっただろう、コイツは、お前の敵う相手じゃないんだ!
 逃げたって誰も責めやしない!親父さんだってきっと分かってくれる!」







は逃げようとしない。
俺の両手は何も掴めず、の腕のあたりでもがいているだけだ。







「……“跡形もなく”なんて、不可能よ。
 あなたはきっと知らないでしょうね、この世界の記憶のこと。
 たとえ粉々にしたって、あなたがわたしをそうしたっていう『記録』は残るのよ」


「何を教わったから知らないが、どうせあの老いぼれ校長の妄言だろう。
 記録が残るというなら、試してみればいい。その存在ごと“消去”されたら、どうなるか」


「あなたもまだ知らないことが、この世界にはたくさんあるの。認めたらどう?
 もしわたしを消すことが出来ても、きっとひとりだけ、わたしのことを忘れない人が居るから!」








はそう啖呵を切って、横目でちらりと俺を見た。
『たったひとりだけ忘れない』のは誰だと思っているか、伝えてくれたのだ。

たしかに今の俺には、魔法は効かない。
たとえヴォルデモートが地球全体に何かしらの呪文をかけても、俺にだけは効かないだろう。



だからって
だからって、に「安心して死んでくれ」なんて 言えるわけがないのに








「やめろよ、そういうの!頼むから逃げてくれ!
 俺はもう目の前で誰かを失うのは嫌だ、俺のせいで誰かが死ぬのは嫌なんだ!」








俺はとヴォルデモートの間に立ち塞がった。
そんなことをしたって意味は無い。奴の杖は俺の額を突き抜けてに向けられている。


俺を見ろ、と、俺は奴に叫んだ。聞こえちゃいないのは、分かってる。









「俺を見ろよヴォルデモート!
 ここに居るんだ、俺はここに居るんだ!
 ブラック家の裏切り者だぞ、よりよっぽど始末したいだろう!?」









ヴォルデモートが薄く口を開く。
俺の手は何も掴めず、奴の顔あたりをもがくだけ。


ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!










「alieno quod evanui」










いやに冷静な奴の声が聞こえた。
振り返った先で、は声を出さずに俺に何か言っていた。




そして、朝から俺の意識を持っていこうとしていた力が急に強くなり、暗転。


























←1-27.   オルフェウス目次   →2-01.














復活祭 「(ごめんね、ありがとう。また会う日まで。)」