アーシング


 巷ではアーシングと呼ばれるチューンアップが流行っているようです。簡単にいえば、「アース(マイナスライン)の抵抗値を下げることで 電流を流れやすくして、各電装品に対してより確実に電力を供給してやり、電装品の調子を良くしてやる」といったものです。
 電気屋(販売店じゃなくって、電気系技術者ね)としては、ひじょーに興味があるというか、そそられる内容です。というわけで、試してみました。


 用意するものは、アースを強化するためのコード(要は太い電線です)と、それを接続するための金具・工具がいくつか。たぶん、そのぐらいです。
 コードは抵抗値の違いによって選択肢はピンキリだと思いますが、今回はホームセンターで\2000ぐらいのアーシングキットを買ってきました。 かなり安物だと思うので、性能(抵抗値)が高級品と比べてどんなものなのかわかりませんが、とりあえず安く仕上げることが目的だったのでまあいいでしょう (アーシングに数万も出すぐらいなら、他にチューンアップするところがいくらでもありそうだし・・・)。

 一般的にアーシングといえば、バッテリーを中心に、各電装品のアースポイントを太いコードで直結してやるわけですが、 スカイラインR33ではバッテリーがトランク内に置かれているため、すんなりとはいきません。
 そこで、ポイントを「トランクルーム−エンジンルーム間」、「バッテリー」、「オルタネータ」、「各電装品」に分けて説明していきます。


トランクーエンジンルーム間

 単純に考えれば、バッテリーのあるトランクと、電装品の集中するエンジンルームの間を太いケーブルでつないでやれば効果がありそうな気がします。
 しかしながら、アーシングの効果は(体感できるかどうかは別にして、理論上では)抵抗値の低さによって決まってくるはずです。 では、その抵抗値は何で決まるかというと、
  抵抗値=抵抗率(材質に依存)×ケーブルの長さ(距離)/太さ(断面積)
の式から求められます。

 ここで、アーシング用ケーブルとボディアースについて各パラメータを比較してみると、
  抵抗率:ケーブルは銅?ボディは鉄?抵抗率は鉄の方が6倍ぐらい大きいらしい。
  長さ:トランクとエンジンルームの距離が縮まるわけではないので同じ。
  太さ:ケーブルはせいぜい1cm四方ぐらい?ボディは厚さ数mm×幅数mのオーダー
 結局、ボディの方が断面積が圧倒的に大きいため、細いケーブルで強化したぐらいでは焼け石に水のような気がします(測ったわけではありませんが)。

 というわけで、トランクーエンジンルーム間の強化は行わず、ボディを中心に各機器までの配線を強化していきました。


バッテリー

黒ケーブルが純正、青ケーブル2本が追加ケーブル  いくらボディの断面積が大きく、抵抗値が小さくても、各機器からボディまでのケーブルが細ければそこがボトルネックとなるはずです。
 特にバッテリーは電気系統の中心となるため、できるだけ強化してやったほうが良さそうです。

 アーシングの基本は「太く短く」ですが、アーシングキットには最短でも70cmのケーブルしか入っていませんでした。 これでは、バッテリー部分のアースを強化するにはちょっと長かったので、1mのコードを2分割して長さ1/2、太さ2倍で接続してみました。


オルタネータ

青ケーブル2本を追加  オルタネータで作られた電力が、各機器で消費、およびバッテリーに充電されることになるので、オルタネータもバッテリー同様に 電気系統の中心に位置する部品であると考えられます。やはり、オルタネータもできるだけ強化してやったほうが良さそうです。
 そこで、オルタネータもバッテリーと同様に、1mのコードを2分割して接続してみました。


各電装品

エンジン上部のアースも適当に強化  バッテリーとオルタネータが電力の供給源となるのに対し、それ以外の電装品は電力を消費する負荷に当たります。
 各電装品のアース強化では、基本的にはその電装品が恩恵を受けるだけなので(間接的に別の電装品が恩恵を受けることもあるでしょうが)、 バッテリーやオルタネータのアース強化よりは優先度を下げても良いと思われます。

 とりあえずケーブルも余っていたので、エンジン本体に付いていたアースも強化しておきました。実はまだ1本ケーブルが余っているので、 またそのうち別のところも強化するかもしれません。


 最後に、アーシングの効果ですが・・・効果があるような、ないような・・・。
 アクセルを踏み込む量が若干減ったかもしれませんが、気のせいかもしれません。
 燃費も若干良くなった気もしますが、これまでのバラツキ範囲内からは突出していないので、たまたまかもしれません。
 電圧計の値も若干上がった気もしますが、これも電圧計の誤差範囲かもしれません(どうも温度に依存してそうなので)。
 というわけで、結局よくわかりません。もう少し様子を見れば、平均燃費とかで判断できるようになるかもしれません。