夜が明ける。朝が来る。日が昇って、新しい『今日』が始まる。

昨夜は戻ってこなかったアルムヒルドが、朝になって帰ってきた。二人とも、あまり寝てないのか、目のくまが目立つ。

アルムヒルドにとっても、エイシェルにとっても、嫌な一日の迎え方をした。

昨日の事が二人の間に険悪な雰囲気を漂わせている。

黙り込むままの二人。余計に、嫌な沈黙が空気を重くさせるのが解かる。

『俺が吸血鬼だからかよ』昨日、アルムヒルドはそう叫んだ。その言葉が、幾度も頭の中で繰り返されている。言った本人ももちろん、叫ばれたエイシェルもだった。

二人が無言で沢山の事を考えていた。その時だった。

ドアが叩かれた。ノックの音に反応し、エイシェルが応える。

「どうぞ。」

入って来たのは嫌なネツアク司教だった。

「ネツアク司教。聖都から戻って来ていたのですか。」

「ついさっき、帰っていた。エイシェル神父、法王様の御呼びだ。レノヴァトールも連れて、早く聖都で赴いて欲しい。」