特殊能力の修得

 過酷な時代を生き延びるために、女神転生の世界に生きるキャラクターはさまざまな特殊能力を持つことになります。この項ではキャラクターが身に付けることができる能力、およびそのために必要な特徴(特に「特殊な背景」)について解説します。
 
 
◇代表的な特殊能力

 人間のキャラクターが身に付けることのできる特殊能力は、大きく分けて以下の5つ――COMP、達人の技、カルトマジック、魔界魔法、超能力です。これらは人間がその歴史の中で編み出した、あるいは進化の過程で身に付けた能力であり、言いかえれば、人間が神や悪魔の力によらず行使できる能力であると言えるでしょう。
 

COMP

 悪魔召喚プログラムとCOMPを駆使して悪魔を使役するデビルサマナーは、女神転生シリーズの花形とも言える存在です。詳しいルールは「サマナーについて」の項で解説されていますので、そちらを参照してください。
 COMPを所持するには「COMPの複雑度×10」CPの「特殊な背景」が必要となります。「メモリの増設」または「高速化」を行っていた場合、それぞれについて+5CPしてください。

達人の技

 「銃の達人」「達人の指導」「武器の達人」のいずれかの特徴の持ち主を総称して、「達人」といいます。 多くは武道・武術の類を身に付けたキャラクターがこれにあたりますが、銃器などの近代的な兵器やフィクションの中にしか存在しない武器の「達人」がいてもいいでしょう。
 上にあげた3つの特徴は「特殊な背景」の特殊な形です。加えて「特殊な背景」にCPを払う必要はありません。これらの特徴の効果、そして達人だけが修得できる「追加効果」のルールについては、「達人と技」の項で詳しく扱われています。
 
 
カルトマジック

 何らかの宗教的な背景を持つ呪術や魔法の体系を「カルトマジック」、そこに含まれる個々の技術を「呪術」と呼びます。
 宗教的行為を専門にする人々は数多く存在しますが、彼らによってめざましい効果があらわされることは非常にまれです。「本物の」カルトマジックを行使できるのは、才能と努力によって秘儀を学び得た、ほんのわずかな者たちだけなのです。
 PCがある系統のカルトマジックを学ぶには、25CPの「特殊な背景」が必要になります。そのうえで、1レベルにつき10CPの「修得段階/カルトマジック」の特徴を身に付けることで、呪術レベルにこの特徴のレベルと同じ点数のボーナスを得、対応するレベルの呪術を身に付けることができるようになります。「〜の達人」と同様、この特徴のレベルはキャラクターの霊格レベルを超えることはできません。
 呪術の修得と行使についてのルールは、ほぼ「ガープス・マジック」の呪文と同じです。いくつかの前提を満たすことでより高位の呪術が修得できるようになり、データに記された秒数だけ「集中」し、呪術レベルでの判定に成功することで望む効果を得ることができるのです。呪術レベルの上昇による集中時間や消費エネルギーの減少といった効果も、呪文と同様です。
 
 
魔界魔法

 「魔界魔法」とは、魔界の力を現世に引き込みさまざまな効果をあらわす技術を指し、ゲーム的には一定の限定を課した「特殊攻撃」「特殊効果」として扱います。言いかえれば、人間が取得できる特殊的特徴は(通常は)この2種類のみということになります。GMが特別に許可すれば、その他の特徴を魔界魔法として扱ってもかまいません。
 魔界魔法を学ぶために必要な「特殊な背景」は、何種類の特徴を取ろうとも20CPです。同系統の能力については「選択攻撃(『ベーシック』p.79)」のルールによってCPを節約できるということに注意してください。
 魔界魔法には、必ず以下の限定が加わります。
 
 ・魔界魔法である(−10%):この限定を課すことにより、通常より安く特徴を「買う」ことができ、また魔界魔法の行使について、「魔界魔法の才能(10CP)」の特徴によってボーナスを得ることができるようになります。代わりに「耐性」や「阻止」といった対抗手段が発生します。
 
 ・疲労する(−5%/疲労1点):「特殊攻撃」や「特殊効果」のレベルには、霊格レベルによる制限が存在します。これらの特徴を魔界魔法として身に付けようとする場合、最低でも対応した霊格レベルと同じ点数だけ疲労することにしなくてはなりません。たとえばある「特殊攻撃」を5レベルで身に付けようとする場合、これは霊格レベル3(5〜7レベルで「特殊攻撃」を身に付けられる)に相当します。よって、最低でも3点分の「疲労する」の限定を付けなくてはならないのです。
 疲労点の消費量を自発的に増やすのは自由です。
 
 ・準備時間増加(−10%/レベル)
 魔界魔法を使用する前に、必ず1秒の「集中」が必要になります。疲労点と同様、準備時間を自発的に増やすのはかまいません。
 
 
 
超能力

 超能力のルールは『ベーシック』のものをそのまま使用します。 まず、超能力者であるための「特殊な背景」に20CPを支払ってください。これにより、いずれかひとつの系統の超能力を身に付けることができます。複数の系統を身に付けようと思うなら、追加の系統ひとつごとに+10CPしてください。
 
 
 
◇その他の特殊能力

 もちろん、これまでに説明した以外の能力を得ることも可能です。GMとプレイヤーは、キャラクターに身に付けさせようとしている能力が背景世界に合っているか、ゲームバランスを崩さないかどうか、十分に話し合ってください。
 
 
ペルソナ

 背景世界に依存する能力のうち代表的なものに「ペルソナ」があります。
 ペルソナは「召喚可能」な「仲間」として扱います。まずペルソナ能力を身に付けるために「特殊な背景」に20CPを支払ってください。
 「仲間」としてのペルソナの基本CPは、悪魔の「コスト(詳しくは「悪魔」の項を参照してください)」と同じ値になります。 登場頻度は基本的に「必ず(CP4倍)」となりますが、発動が不安定であるなどの設定により、より低い頻度に抑えてもかまいません。このとき、ペルソナの霊格レベルがPCより低い場合、1レベルごとにCPへの係数が−1されます。逆に、自身より高い霊格レベルを持つ悪魔をペルソナとして身に付ける場合は、霊格レベルの差1レベルにつき係数が+2されます。もっとも、通常はPCより1レベル高い程度に制限したほうが無難でしょう。
 
 ペルソナは、対象を主人に限定した「遠隔通信」と「精神の絆」を持っています。これが情報収集などの面で便利すぎると思うなら、ペルソナの活動範囲を「術者の視界のみ」に制限してもかまいません。
 ペルソナは厳密な意味で「死ぬ」ことはありません。HPが−1倍以下になるようなダメージを受けると自動的に消えてしまいます(特徴の「脆弱/自然には存在できない」と同じです)が、その後1時間に1点の割合でHP(剥離装甲)を回復してゆき、全快した時点で再び召喚できるようになります。
 人間の深層心理の一部であるペルソナへのダメージは、所有者の心に打撃を与えます。ペルソナが敵の攻撃によって消滅させられたら、その所有者はただちに、ペルソナとなった悪魔のコストをペナルティにした恐怖判定を行わなければなりません。
 こうした有利・不利を考え、「仲間」としてのペルソナにかかる増強は100%(ペルソナの活動範囲を「術者の視界のみ」に制限するなら70%)となります。望むなら、ここに「疲労消費」や「回数制限」といった限定を付け加えてもかまいません。
 
 
超常的・特殊的特徴

 キャラクターの設定上、有利不利にかかわらず、特殊的特徴や超常的特徴を取得したいと思うこともあるでしょう。
 特にゲーム的な有利さを狙ったものである場合、GMはプレイヤーからのこうした申し出を却下してかまいません。あくまでキャラクターの能力の延長や、演出を目的としたものであるべきです。たとえば忍者のキャラクターが「壁にはりつく」、ウィッカの術者が「動物会話」などを取得するのは、上記の2点からも妥当でしょう(各格闘技・カルトマジックのデータにある「推奨特徴」を参照してください)。しかし、空手家がいきなり「透明」になったり、超能力を持たない人間が「サイコメトリー」を行ったりすることはできないのです。
 超常的・特殊的特徴の取得を認める場合、その絶対値の合計は最大「(霊格レベル+1)×10」CPまで、また有利不利に関係なく、「霊格レベル」個までとなります。 この制限を超えて取得したい場合、「特殊な背景」にCPを支払ってください。
 
 

「特殊な背景」のバリエーション
 
 それぞれの特殊能力を身に付けるのに必要な「特殊な背景」は、キャラクターがそうした技術を学ぶことができる環境にいる(いた)ことをあらわすものです(「特殊な背景/超能力者である」を除く)。この特徴にちょっとしたバリエーションを加えることで、キャラクターの背景をさまざまに表現することもできます。
 

師 さまざま
 「特殊な背景」と「後援者」を合わせていくつかの変更をおこなった特徴です。PCが現世的な理由によって獲得した特殊能力は、たいていこの特徴で説明することができるでしょう。
 
 まず、師となる人物のCP総計によって、基本CPを決めます。200〜CP(達人)で10CP、300〜CP(超人)で15CPとなります。それ以上の強さ(導師)であったり、「師」自身がさらに特殊な存在である場合(転生者や悪魔など)の場合は、20CP以上が必要になります。
 これらはあくまでも目安です。通常は10CPを基本として、何らかの特別な設定を「師」に持たせたい場合のみ、基本CPを上げることにすればよいでしょう。
 ここに、それぞれの特殊能力を身に付けるために必要な「特殊な背景」のCPを合計します。これが「師」の基本CPとなります。
 この基本CPに、下の「頻度」と「代償」による修正を掛け合わせます。このふたつの設定によって、「師」がPCとどういう関係か、およそ決定されることになるでしょう。
 
頻度:「師」の助けを得ようと思ったときにどれだけ早くその機会を持つことができるかどうか、つまり「師」の登場頻度を決定します。首尾よく「師」を見つけ出すことができたとしても、時間的な都合などですぐに動いてもらえないなら、やはり頻度は低くなります。通常の「後援者」の場合とは修正が異なるので注意してください。
 「師」の都合に関係なく、いつでも援助を受けられる(「師」がPCの同居人やガーディアン、ペルソナ、自分と合体した悪魔などであったりする場合)なら、CPは基本のままです。
 機会を待てばたいてい助けを得られる(GMはPCの要求を「今日は道場は休みだよ」などといって却下することができる。ランダムに決定する場合、3Dで12以下か、1D−1日待たなければならない)なら、CPは半分になります。
 自分から機会を作らなければならない(「師」が定住していなかったり、多忙であったりする場合。ランダムに決定する場合、3Dで9以下か、2D6日待たなければならない)なら、CPは四分の一です。
 
代償:「師」による援助に対してどれだけの代価が必要となるかをあらわします。
 代償なし(文字通り、まったくの無償で教えてもらえる。実際には月謝などを払っていても、教えを乞う度ごとに代償を要求されるのでなければ、この設定とみなす)、CPそのまま
 扶養(「師」の生活の面倒をPCが見なければならない。「足手まとい」と同じく、生活費が増える。近代の日本や中国などで一般的だった制度)、CP半分
 血(金銭以上のものを要求される。血(HP)や死後の魂、肉親などなど)、CP四分の一


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