マントラ
主技能:宗教儀式/マントラ、哲学/仏教、瞑想、呼吸法
副技能:神学/仏教
背景技能:カウンセリング、歴史(仏教史)、書道、強靱精神
推奨特徴:聖職者、宗教階級、財産(貧富どちらも)、信仰による規律、真の信仰、透明が見える(「実体のみ」の限定を持つ「透明」に対してのみ)*、平和愛好/非殺、正直、遵法精神
呪術
レベルT:聖音、般若心経、早九字、被甲護身
レベルU:不動金縛りの法、迦褸羅天小咒
レベルV:愛染明王真言、護法童子、光明真言、摩利支天咒法
レベルW:不動行者加護、薬師如来真言、帝釈天雷霆真言
レベルX:降三世明王咒、大聖歓喜天咒法、吉祥天百福咒法
レベルY:一字金輪法、胎蔵大日如来咒法、金剛大日如来咒法
◇呪術
聖音(オーム) 通常/特殊抵抗
聖なる音「オーム(aum)」を唱えることで、屍鬼や悪霊といったアンデッド系の悪魔1体を成仏させることができます。
破壊できるのは霊格レベルが術者より低い悪魔に限られます。判定は2度行ってください。悪魔はそれぞれに対して意志力と生命力で抵抗し、術者がその両方に勝てば、ただちにその悪魔は破壊されます。
対象となる悪魔が特定できているなら、非実体の悪魔や、あるいは人間などに憑依している悪魔に対しても有効です。
持続:一瞬 消費:3 準備:2秒
般若心経(はんにゃしんぎょう) 特殊/意志力で抵抗
日本人にお馴染みの般若心経です。もともとは仏教の思想を説いたものですが、ここでは後世の日本で信じられていたように、悪魔を遠ざける効果を持つものとして扱います。
《般若心経》を唱えている者は、霊格レベルが術者以下のダーク系の悪魔や術者に害意を持つ悪魔のうち、抵抗に失敗したものから、一切の攻撃を受けることがなくなります。術者は悪魔にとって、「いない」のと同じ状態になるのです。
この呪術の持続時間中、術者は常に「集中」しているものと見なします。少しでも集中を途切らせたり、攻撃的な行動を取ると、ただちにこの効果は途切れてしまいます。
この呪術は本人にしか効果がありませんが、対象の身体に直接経文を書き込んだり、術者本人が書いた経典を読ませたりすることで、他人にもこの呪術をかけることができるようになります。この場合、霊格と呪術レベルは術者のものを使いますが、エネルギーは対象が消費します。
持続:10分 消費:3・2 準備:5秒
早九字(はやくじ) 通常/特殊抵抗
剣に見立てた左手で宙を切り「臨兵闘者皆陣烈在前」と唱えることで、悪魔1体にダメージを与えます。
ダメージは消費エネルギー1点につき1Dで、防護点は無効です。さらに2差以上で抵抗判定に勝つことで、悪魔を朦朧状態にすることができます。悪魔が抵抗に成功すると、この呪術はまったく効果を発揮しません。
対象となる悪魔が特定できているなら、非実体の悪魔や、あるいは人間などに憑依している悪魔に対しても有効です。
持続:一瞬 消費:1〜3 準備:4秒
被甲護身(ひこうごしん) 防御
印を結び真言を唱えることで、目に見えない霊的な鎧を纏います。
この呪術は魔法的な攻撃に対する防御呪文として使用し、一度だけ防護点に+「呪術判定の成功度×「修得段階」レベル」するか、抵抗判定に「修得段階」レベルと同じ値のボーナスを得ることができます。防御呪文と同時に抵抗判定は行うことはできますが、通常の防御判定はできないことに注意してください。
この術者は基本的に本人にしか効果がありませんが、術者を中心とした範囲呪文として使用することも可能です。この場合、術者の「修得段階」は1レベル低いものとして扱われますが、範囲内のキャラクターすべてを守ることができます。
持続:一瞬 消費:3
不動金縛りの法(ふどうかなしばりのほう) 通常/意志力で抵抗
「ノウマクサンマンダ・バサラダンセン・ダマカラシャダソワタヤ・ウンタラタカンマン」の真言をもって不動明王の加護を願い、対象を締め付けます。
この呪術は肉体を持たない対象にも効果があります。抵抗に失敗した場合、対象は「押さえこみ」されたのと同様、その場から動いたり、四肢を動かしたりすることができなくなります。また、次のターンから「窒息」の効果を受けます。犠牲者は5秒ごとに抵抗判定を行うことができ、成功すればこの呪術から逃れることができます。
持続:10秒 消費:4・3 準備:2秒
迦褸羅天小咒(かるらてんしょうしゅ) 通常
一日に1匹の大龍と500の小龍を食うという霊鳥、迦褸羅(かるら)を表す真言「オン・ギャロダヤ・ソワカ」によってその力を借りる法です。
この呪術により、目標が影響を受けている毒1種類を消すことができます。毒物の種類が特定できていなくてもかまいません。毒の効果が魔法的なものであったりきわめて稀なものであったりした場合、攻撃者の呪術レベルや毒の作成者の技能レベルなどとの即決勝負が必要です。
また、この呪術の持続時間内、目標は毒の効果を一切受け付けなくなります。魔法的な毒による攻撃を受けた場合、やはり即決勝負を行ってください。
持続:一瞬または1分 消費:5・2 準備:2秒
愛染明王敬愛法(あいぜんみょうおうきょうあいほう) 通常/意志力で抵抗
愛欲や煩悩を昇華させ、衆生を悟りへと導く愛染明王の力を借り、対象を魅了します。
抵抗に失敗した者は、術者または術者の選んだ人物に対する「熱狂」の特徴を持っているものと見なします。
敬愛法の真言は「オン・マカラギャ・バザロシュニシャ・バサラサトバ・ジャクウンバンコク」となります。この修法は夫婦や親子関係に悩む者などにも利益があるといいますが、それらはロールプレイにかかわる問題です。
持続:1分 消費:6・3 準備:3秒
護法童子(ごほうどうじ) 特殊
仏道を歩むものを守護する「護法童子」を招来、使役する術です。
護法童子のデータは霊格3レベル、能力値は体力15、敏捷力14、知力12、生命力14、ヒットポイント15/45、意志力14、知覚力12です。また、「痛みに強い」「戦闘即応」の特徴と任意の武器技能(もしくは<格闘>)3種を14レベルを持っています。武器や盾は術者の任意によるものを3種までと、文明レベル2以下の防具をはじめから装備しています。彼らが力を貸してくれるのは基本的に戦闘に関すること、それも術者を守るための戦いのみで、普通は戦場を脱すると姿を消してしまいます。
「護法童子」とは、彼らが童子形をしているために付けられた呼び名です。この呪術にクリティカルで成功すると、彼らはその本来の姿「護法神」として現れます。この姿を取っていると、能力値や技能のレベルがすべて1点ずつ上昇します。
持続:次の日没または日の出まで・維持できない 消費:8 準備:1分
光明真言(こうみょうしんごん) 通常
一切の迷いや煩悩を払い、死者の罪障を消すという光明真言「オン・アボキャ・ベイロシュノウ・マカボタラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラハリタヤ・ウン」を唱えることで、目標を惑わすもろもろの原因を消滅させます。
この呪術は主に呪術や薬物などによって精神に異常をきたしているキャラクターにかけますが、人々を惑わす幻影などにかけることも可能です。
いずれにせよ、判定の方法は同じです。呪術を消す場合はその呪術のレベル、魔界魔法や抵抗判定の存在する「特殊攻撃」「特殊効果」なら攻撃者の意志力と、それぞれ即決勝負を行ってください。その効果が自然な手段(技能や薬物など)によるものなら、即決勝負は不要です。
持続:一瞬 消費:3 準備:3秒
摩利支天咒法(まりしてんしゅほう) 通常
「オン・マリシエイ・ソワカ」の真言によって摩利支天の加護を得、対象の姿を見えなくします。隠形の法として、中世の兵法や忍術にさかんに取り入れられました。
この呪術の影響下にあるものは、あらゆる存在・感覚に対して「透明」であると見なされます。相手が積極的に探そうとしている場合、あるいは情報呪文などを使用した場合にのみ、視覚判定やそうした呪術などと《摩利支天咒法》レベルの即決勝負を行います。
隠れている者は自由に移動することができますが、わずかでも攻撃的な行動を取ると、この呪術の効果はただちに途切れてしまいます。
持続:1分 消費:3・維持も同じ
不動行者加護(ふどうぎょうじゃかご) 範囲
不動明王の力を借り、範囲内に全天を覆う炎の結界を作り出します。
範囲内に侵入する、あるいは脱出するものは、かならず「術者の霊格」と同じ数のサイコロを振ったダメージを受けることになります。この結界を越えて射撃武器を使用する場合、視界による4点のペナルティを命中判定に受けるうえ、投射物自体も上記のダメージを受けてしまいます(これによって投射物が破壊されるかどうか判断がつかない場合、射撃武器によるダメージを、上記ダメージぶん減らすことにすればいいでしょう)。
持続:1分 消費:2・維持は半分(最低4。2倍消費でダメージ2倍)
薬師如来真言(やくしにょらいしんごん) 通常
真言「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」によって薬師如来の力を借り、一種類の病気を癒すことができます。
この呪術の判定には、病気の程度によってペナルティが加えられます。簡単な風邪程度ならばペナルティはありませんが、通常の手段では不治かつ致命的な病気の場合、−15ほどになります。病がなんらかの呪術や「特殊効果」などによるものである場合、ペナルティはそれらの病を引き起こした者の呪術レベルや意志力の成功度になります。エネルギー消費は呪術判定へのペナルティを2倍にし、そこに1を足した値です。
病とは言えないような、ちょっとした心身の不調(頭痛腹痛、短時間の目くらまし、朦朧状態など)も癒すことができ、この場合は消費エネルギー2点、準備1秒となります。
持続:永久 消費:説明参照 準備:30秒
帝釈天雷霆真言(たいしゃくてんらいていしんごん) 範囲
「ナウマク・サンマンダボダナン・インダラヤ・ソワカ」の真言によって帝釈天の加護を願い、激しい稲妻を呼び出します。
雷は範囲内の敵すべてに自動的に命中し、術者の霊格レベルと同じ数のサイコロを振ったダメージを与えます。防御側は「よけ」のみが可能です。
この攻撃に対し、霊格を持たない金属鎧の防護点は1しか効果がありません。1以上の霊格を持つ金属鎧の場合、防護点は5分の1(最低1)として扱います。この呪術によってダメージを受けた場合、実際に受けたダメージ3点ごとに−1をペナルティとして生命力判定を行わなければなりません。失敗すると朦朧状態になります。
消費:3(最低6) 準備:3秒
降三世明王咒(ごうざんぜみょうおうしゅ) 通常
あらゆる煩悩を打ち砕く降三世明王の強力な呪力を借り、対象を呪殺します。真言は「オン・ソンバ・ニソンバ・ウン・バザラ・ウン・パッタ」。
抵抗に失敗した対象はただちに「心臓発作(『ベーシック』p.407)」状態になります。成功すれば、何の効果もありません。
消費:9 準備:5秒
大聖歓喜天咒法(だいしょうかんぎてんしゅほう・至難) 通常
「オン・キリ・ギャク・ウンソワカ」の真言をもって歓喜天の利益を願います。歓喜天は聖天(しょうてん)などとも呼ばれ、大変に功徳のある仏として有名です。一方、その荒々しい気性でも知られており、誤った修法を行ったり、誓願を違えたりすると祈願者の命を取るとまで言われています。
目標は一時的に「幸運」の効果を得ることができますが、呪術判定に失敗すると「不幸」の効果を得てしまいます。
この呪術は「儀式魔術」として使用することでより強力なものとなり、成功すれば「超幸運」の効果を一時的に得たり、命運を1D点を増加させたりといった効果を得ることができます。その他、ゲームバランスを崩さない限り、あらゆる効果を望むことができます。一方、このとき失敗すると「呪い」の効果を得てしまいます。
どれほど呪術レベルが上昇しようとも、この呪術の判定値が12を越えることはありません。13以上の目はかならず失敗となります。
持続:1日、または効果が発揮されるまで 消費:6
吉祥天百福咒法(きっしょうてんひゃくふくしゅほう・至難) 防御
幸運の神・吉祥天の加護を受け、一度または1ターンだけ、術者の霊格レベル以下の攻撃による、あらゆるダメージや悪い影響を無視することができます。他者を守ることもできますが、呪術判定に目標までのヘクス数と同じ値のペナルティを受けてしまいます。
真言は「オン・マカシリエイ・ソワカ」となります。
消費:8
一字金輪法(いちじきんりんほう・至難) 範囲
すべての仏の功徳を集約した「ボロン」の一字を唱え、一切の霊的・魔法的な効果を無に帰す結界を張ります。
効果範囲内にはたらく呪術・魔界魔法のうち、術者の霊格以下のものは直ちに効果を失います。術者の霊格を越えるものであっても、《一字金輪法》レベルとの即決勝負に負けると効果を失ってしまいます。
同様に、この呪術の持続時間内は、術者自身も含めて一切の魔法を使用することができなくなります。術者の霊格を越えるキャラクターであっても、呪術や魔界魔法の使用の際には《一字金輪法》の成功度ぶんのペナルティを受けてしまいます。
真言は「ノウマク・サンマンダ・ボダナン・ボロン」。一字金輪とは一切の真言を成就させる「ボロン」の種字を指しますが、ここでは、そのあまりの功徳のために周囲の修法が力を失ってしまうという副次的な効果を表現しています。
持続:1分 消費:1(最低18)・維持は半分 準備:3秒
胎蔵大日如来咒法(たいぞうだいにちにょらいしゅほう・至難) 範囲
大日経に描かれる悟りの世界「大悲胎蔵曼荼羅」を地上に現出させる、マントラ最高の秘術のひとつです。真言は「ナウマク・サンマンダボダナン・アビラウンケン」。
範囲内にいるキャラクターはヒットポイントおよび疲労点、自然の原因による怪我や病気、毒、精神的な不調などがすべて回復します。毒や病気などが魔法的な原因によるものである場合、効果はまったくありません。
持続:一瞬 消費:3(最低15) 準備:1分
金剛大日如来咒法(こんごうだいにちにょらいしゅほう・至難)
金剛経(金剛頂経)に描かれる悟りの世界「金剛界曼荼羅」を地上に現出させ、宇宙を遍く照らすという大日如来の光明によって敵すべてを撃ち滅ぼします。真言は「オン・バサラダト・バン」。
この呪術が完成した瞬間、周囲は目も眩まんばかりの光に包まれます。術者の味方およびディーヴァ神族に関わりの深いものを除いたすべての敵は、術者の「マントラ」の修得段階×6Dの焼きダメージを受けます。さらに、ダメージの有無にかかわらず、5点のペナルティを受けて生命力判定を行わなければなりません。失敗すると、同様の判定に成功するまで朦朧状態となります。「視覚保護」の特徴があれば、この判定にはペナルティはありません。
この呪術の効果範囲は特に定まっていません。術者が認識できる周囲の敵すべてへの攻撃が可能です。
消費:14 準備:7秒
マントラについて
「マントラ」とはサンスクリット語で言葉や音を意味し、漢訳では「真言」の字が当てられます。言葉それ自体が力を持つ呪文のように言われたり、仏の言葉を指したりと様々に解釈されますが、ここでは仏教の特に呪術的な側面を取り上げてデータ化したものとして扱っています。
こうした呪術的な面を強く持つ仏教としては、インドやチベットを源流とし、空海や最澄によって日本へと伝来した「密教」があります。一般に密教は、現世利益に主眼を置き、高度に象徴化・神秘化された儀礼を重んじます。結果的にそうした儀礼(修法といいます)は非常に複雑なものとなり、ごく限られた者のみに伝えられることになります。それが密教の大きな特徴であり、一般的な仏教(大乗仏教)が衆生の救済を目指し、分かりやすい教義を説くのと大きく異なる点であると言えます。
もっともゲームの中では、こうした違いをそれほど気にする必要はありません。仏教は神道と同じく、宗派の別なく我々にとって馴染みの深いものです。細かな違いにこだわるより、プレイヤーの持つ仏教や僧侶への漠然としたイメージを優先させた方が、生き生きとしたロールプレイが生まれるでしょう。
データとして見ると、直接的かつ強力な呪術が多くなっています。霊的な存在への攻撃力も申し分なく、間違いなく戦闘で主力となれる能力です。
一方で、味方の補助を行ったり、情報収集などに対するアプローチは弱くなっています。また高位の呪術になればなるほどその消費も激しく、未熟な術者では一度の行使が限界、ということも多いでしょう。「儀式魔法」のルールが重要になるはずです。