ヴァイオレット奇譚2

Chapter11◆「聖なる夜とヴァンパイア─【7】」




 物を知らぬ第一世代へ。
 心の脆弱な第二世代へ。
 大いなる疑問に立ち尽くす第三世代へ。
 望まれぬ終わりの第四世代へ。
 血の途絶えた第五世代へ。

 すべての兄弟へ。すべての同胞へ。

 腹は、満たされただろうか。

 我らはひととき、確かに幸せだっただろう。
 そうであったと、言って欲しい。
 君たちはまた飢える。幾度も幾度も飢えてしまう。腹は、永遠に満たされない。
 それでも我らはひととき、幸せだっただろう。

 そうであったと、言って欲しい。

 全ては予定調和なのだとしても、やりきれなくて、眠れぬ夜がある。
 全てが予定調和だと知っていても、私は後悔を繰り返す。

 クレア。あの日私が投げかけた問いの、答えが欲しい。



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