鬼の形態の歴史を辿れば、初期の鬼というのは皆女性の形であり『源氏物語』に登場する鬼とは怨霊の事だが、
渡辺綱の一条戻橋に出てくるように、初めのころは女性の形で出てくる。
呼び名の変化に関していえば侍に対応する形で出てくる女(オンナ)であり、
怨(オン)、女(オンナ)になり、オニナ、鬼(オニ)へと続く等、
女性の恐ろしい怨念、怨霊からやがて鬼へと変化していく様子が推論される。
古い鬼に関していえば、鬼の背後の象徴である大国主命は、大地の精霊であり元はものを生み出すという所から、
女性であり蛇であった。また同様に川の精霊も蛇であり、そしてその蛇から龍(ドラゴン)等のさまざまの形象が生まれ、
大地の神も同様に女性と考えられており、それが最終的に山姥などの鬼の1種へと変化する。
女の本質は鬼であり、また母親が持っている、自分の子供を戦争で傷つけたものに対する憎悪のようなものが読み取れ、
その怖さに合理性がかいま見えてくる。
February,2009