The star of fake fate
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自分と弟の身体を取り戻して1ヶ月という月日がたっていた。
16歳になったエドは目的を果たした今でも国家資格を返上せず、弟共に今は各地を気ままに旅していた。
以前から国内中を旅して回っていたものの、それはあくまでも自分達の身体を元に戻すための忙しない錬金術づけの旅であり、ゆっくりとしている暇など到底なかった。
そのため今度は改めてゆっくりと観光として旅をして回ろうということだった。
そしてつい先日まで師に身体の事を報告したついでに見て回っていた南部を後にし、2人は中央に帰ってきていた。
2人は今その中央の軍施設のとある1室であることを告げられていた。



「遺跡の調査?」
あまりにも予想外の事を告げられてエドはその言葉を反復した。
「そうだ。北部のある荒地で先日遺跡が見つかってね。それの調査命令がきたのだ」
「・・・んなこと、考古学者の分野だろうが」
それがなぜ錬金術師である自分に回ってくるのかが解らないと、予想通りの疑問を抱いている様子のエドの言葉に、ロイは少し溜息をつきながら答えた。
「確かにこれは鋼のの言う通り、錬金術よりも考古学の範疇だ。実際、遺跡が発見されて考古学者が調査にすぐさまあたったのだよ」
「でもね。その考古学者全員がお手上げ状態なのよ」
ロイの言葉を引き継ぐように、近くにいたホークアイがそう告げた。
「それで、その考古学者達が言うには、遺跡には何かの文字が彫ってあって、それがどうも錬金術に関するもののようなの」
「それが錬金術関連のものと解ったのは、調査にいった考古学者の中に多少錬金術を齧ったものがいたらしくてな。だが・・・」
「その程度の知識じゃそれが錬金術関連としか解らなかった。それで国家錬金術師に白羽の矢がたった、と?」
エドの言葉に前もって事情を知っていた2名はこくりと頷く。
それを見てやれやれとエドは深い溜息をつく。
「で、その遺跡の調査に、現在とりわけ暇な俺を回そうってのか?」
「君だけではない。私もだ・・・」
ロイのその言葉にエドは驚いて目を見開いた。
それもそのはずである。
現在のロイは大佐から階級が1つ昇進して准将となっている。
将官となった今、その忙しさは半端ではないはずだ。
そんな大佐であった時よりも明らかに忙しい中、しかもたかだか遺跡の調査ごときで、なぜ彼にまで声がかかるのかが理解できなかった。
「気にの言いたい事も解る。私とて文句を言いたいんだ」
そう言ってちらりと自分の机の上に詰まれた、大佐時代とは比較にならない書類を盗み見て溜息をつく。
「しかし文句を言いたくとも、相手が大総統では仕方がないのだよ」
ロイの『大総統』という名にエドは思わず固まり、それを見計らったかのようにホークアイが1枚の書類をエドの前に出した。
それはその大総統からのこの遺跡調査に関しての命令書だった。
そこにははっきりと『鋼』と『焔』の名前が記されていた。
「・・・・・なに考えてるんだよ。あの人」
「それは私も是非聞きたい・・・」
2人の国家錬金術師はそのあまりの事実に、げっそりとした表情を同時に浮かべていた。
なにやら楽しそうに笑む彼の人物の顔をやはり同時に思い浮かべながら。








執務室での話が終わったエドは、一先ずアルと一緒に必要物資の調達を行っていた。
しかしエドが時折もらす溜息に、アルは心配そうに声をかけた。
「兄さん大丈夫?」
「う〜〜ん?まあ、なんとか」
「そんなに遺跡調査が嫌なの?」
「っていうか、大佐と一緒ってのが・・・」
その言葉を聞きアルは心配から一転呆れながら、「本当は嬉しいくせに」と心の中で溜息をついていた。
今現在でも女ということを公には隠しているエドも、れっきとした年頃の女性である。
ましてや自分の想っている相手と一緒に仕事ができるとなれば、平常心を保っていろという方が無理な注文である。
しかし内心は嬉しいくせにそれを無理して抑えようて隠そうとするのも年頃の心理と言うやつで、そのせいで今現在のエドの頭と心の中は正常とはいえなかった。
「別に2人っきりってわけじゃないでしょう?大総統の命令状には僕やホークアイ中尉達の同行も許可されてるんだし」
「うん・・・」
なんとか吹っ切らせようとしてアルがかけた言葉にもエドは上の空だった。
そのエドの様子に重症だとアルは深く溜息をつく。
そして溜息をついた瞬間前に身体が少し倒れたせいで、紙袋の中に山済みにしていれていた物のうち1つの果物が袋からこぼれて石畳を転がった。
「うわっ!ま、まって・・・」
アルがそう叫んで追いかけようとした時、前を転がっていたその果物を掴んで拾い上げた人物がいた。
歳はだいたい自分達と同じくらいだと予想できる、銀髪紅眼の少年だった。
黒を基調とした服装をしている彼は、女性と間違えるような顔立ちをしていた。
その少年にエドとアルの2人は一瞬そろって見惚れていた。
そして2人が見惚れて動きが止まっている隙に、少年は2人に近づいて拾い上げた果物を元あった場所であるアルの紙袋の中に無言で収めた。
「あ、ありが・・・」
「・・・遺跡には行くんじゃないぞ」
礼を言おうとしたが少年が言ったその言葉に2人は目を見開いて一瞬硬直した。
暫くしてしその硬直がとけた2人は、そのまま立ち去り曲がり角を曲がった少年を追ったが、少年の姿はまるで最初からなかったかのように消えていた。
その事実に2人はまた呆然とした。
「・・・なんだったんだろうね。あの人」
「・・・さあな・・・・・だが」
一瞬エドは声に出してその事実を認識することを躊躇したが、結局は自然と声に出してしまっていた。
「なんで・・・遺跡に行くこと知ってるんだ?」









瓦礫の上に腰をおろし、足をぶらぶらと揺らしていると誰かが近づいてくる気配がした。
「ブリックか」
「大当たり。っていうか、疑問形やなくて、すでに肯定やな」
それでもブリックも予想していたというように笑むと、彼の後ろに立って同じ景色を見渡す。
「で、どうやった?」
「・・・とりあえず寝覚めが悪くなるから忠告だけはしたけどな。でも無意味だし」
「無意味って・・・」
「だってどの道あいつらが遺跡に行くのは解りきてるし」
「あのなアイス・・・」
「『知詠』でそういう未来を『知ってる』んだから、仕方がないだろう」
あまりにもあっさりとしたアイスの物言いに、ブリックは少々顔を引き攣らせたが、アイスはアイスで軽く溜息をついてみせた。
「さすがにまだ『運命歪曲』はできないしな〜」
「そのためにもさっさと見つけんとな〜」
「うるさい・・・」
ブリックがにやりと面白そうに笑って言ったその言葉の意味を察し、アイスは少し不機嫌な表情を作った。
しかしそれは実際に不機嫌なのではなく、単に照れからきているものだということが、アイスのうっすらと赤い頬と、長年の付き合いによってブリックにはよく解っていた。
「ま、使命云々とは別に皆楽しみにしとるんやしな。特に陛下と王妃様なんかは」
「・・・ご期待にそえるように頑張るよ」
ブリックの言葉に少しぶっきらぼうに投げやりのようにそう告げたが、次の瞬間にはアイスの表情は真剣なものに変わっていた。
「・・・・そのためにも、まずはここで起こることを解決しないとな」
そう言ったアイスとブリックの見つめる先には、真っ赤な夕日の色に染められた自然の雨風に晒され壊れた古代の廃墟が存在していた。



3日後、この場所をエド達は訪れることになる。











あとがき

はい、ついに始めてしまいました。
鋼の錬金術師+Apocripha/0お子様のパラレルです。
私はどうやらアポクリのお子様の四季の連中を相当気に入っているようです。
こいつらばっかでパラレルしてる気が・・・;
親ばかと呼んでくださって結構です。(実際そうです;)
鋼ファンでお子様のこと解らん、と言う方々はどうぞ設定の方をご覧ください。
簡単に説明させて頂いています。
この話のエドは女性化させようかさせまいか悩んだのですが、話の流れの都合上女性化させました;;
ええ、それがどうしてかは次で解ると思いますが。
できればこの先も見捨てずよろしくお願いします。
そして今回少し短かったことが悔やまれます・・・;



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