The star of fake fate
4:Invitation
創方の十の守人 『治癒の守護者』 『法典の博雅』 『清音の操手』 『天弓の聖臣』『謀賢の佐官』 『剣侠の帝』 『花霊の精身』 『白銘の勇者』 『戦捷の姫君』
『星対の妃神』 これらを束ねしは『真なる主』すなわちは『創命の絶対者』
十の守人を従え、救命と洗礼の剣を携え、記録の板を所有して、全を葬る葬方のもの者を滅し、全てを導くであろう 全ては運命に等しく、運命と同義に
「まさか、これがアイス達の世界の言葉とはな・・・・・」
「あっさり読んでみせた時は本当に驚いたよね・・・」
大総統府に提出した例の遺跡の壁に書かれていた文字を複写したもの、それをさらに複写して手元に残していたそれを、アイスがあっさりと読んだ時ののことを思い出して苦笑いをこぼした。
あの遺跡はこの『世界』の創生に深く関わりのあるもののため、アイス達の『世界』の言葉で書かれていてもおかしくない、むしろ当然だろうということだった。
しかしエド達にはそれでも納得がいかない部分があった。
それはなぜアイス達の『世界』の言葉であることが当然なのかという事である。
それをふまえたことを聞くため、現在アイス達がこの『世界』で仮の住居にしている家にきたのだが。
その家を見た瞬間一同は立ち尽くしていた。
「・・・・・でかいな」
誰かがそうぽつりと一言呟いた。
その言葉のとおり、その家は半端でなく大きかった。
中央の一等地というだけで半端ではない額になるはずなので、家の場所を聞いただけで驚いていたのだが、さらにこの大きさでは立ち尽くして半ば呆然とすることも当然である。
とても別の『世界』からついこの間来た人間の住むような家ではなかった。
「・・・まさか、なにか犯罪行為とかしてないよな?」
「ま、まさか・・・それはないでしょう?」
「金を出す魔法があるとかではないだろうな?」
「・・・それは多分ないかと」
魔法についてはよく解らないが、アイス達が使っていた魔法をいくつか見ただけでも、御伽噺にでてくるような類の魔法ではないことは解る。
「まあ、ここで立ち話してるのもなんだしよ。本人達に聞くのが1番手っ取り早いだろう」
もっともな事を口にしながらヒューズはベルを押した。
しばらくしてぱたぱたという可愛らしい足音・・・ではなく、どたどたという明らかに勢いのある足音が聞こえ、これまた勢いよくそのドアは開いた。
そしてドアが開かれた先には、エド達が予想していた5人の誰でもない、見知らぬベージュのツインテールに茶色の瞳の少女だった。
少女は少し呆気に取られている一同をまじまじと見つめた後、満面の笑みを浮かべて口を開いた。
「いらっしゃい☆」
その少女の言葉に一同ははっと正気を取り戻した。
「え、えっと・・・こんにちは」
「ここって、アイス・・・って奴が住んでるところだよな?」
知っている5人の誰でもない見知らぬ少女であったため、アイス達が滞在しているのがこんな大きな家であることがまだ信じられないため、エドはあえて疑問系で尋ねてみた。
すると満面の笑みと共にこくりと大きく頷いた。
「うん、そうだよ☆皆のことは聞いてるから、入ってもいいよ♪」
そう言うと少女はエド達を中に入るように手招きした。
その事実が未だ少し信じられなかったが、とりあえずエド達は少女に導かれるまま家の中に足を踏み入れたのだった。
「よく来たな」
リビングのソファに腰掛けながら何かの本を読んでいたアイスは、入ってきたエド達に平然とそう言って見せた。
ブリックを始めとする見知った他の面々もソファに座り、各々寛いでいるようだった。
「シエナご苦労様」
「うん☆」
アイスにシエナと呼ばれたエド達の案内をした少女は、片手をあげて自分の仕事が終わったことに満足そうな笑みを浮かべていた。
「なあ、この家・・・どうしたんだよ?」
アイスに目線で促されて向かいのソファに腰掛けた後、エドが今まで疑問に思っていたことを口にした。
「ああ、なんでこの『世界』の・・・それもついこの間来たばかりの俺達がどうやってこんなところにすんでるのかって?」
アイスのその適切な言葉にこの『世界』の人間は全員こくりと頷いた。
するとアイスは簡単な事とでもいうように涼しげな顔と口調で言って見せた。
「上等の宝石5・6個も出したら、結構簡単だったぞ」
「宝石って・・・そんなものどこから」
「実家から」
けろりと言われたその一言に、「どんな実家だ」とこの『世界』の人間は全員心の中で呟いていた。
「こんな家どうにかできるくらいの宝石ぽんと出せるなんて・・・・・お前の家って相当な金持ち?」
「まあ、金持ちといえば金持ちやな・・・」
エドの言葉にブリックが引きつり笑いをしながらそう答えた。
その意味ありげな言葉がなんだか気になる。
しかしその疑問は次のシエナの一言であっさりと解決されることとなった。
「王子〜〜!お茶持ってきたよ〜〜☆」
「ああ、サンキュ」
その呼称を口にしたシエナが楽しげにお茶を並べるのを見ながら、エド達この『世界』の人間にはその呼称がずっとエコーのように耳に残っていた。
「「「「「「王子〜〜〜〜?!」」」」」」
驚きのあまり一斉に叫び声をあげることを予想していたか、はたまた『知っていた』のかアイスはその瞬間耳を塞いでいた。
「奈落の第一王子にして王位継承者。それが今皆さんの目の前にいらっしゃるアイスリーズ=パズトゥール様です」
驚いてアイスに目が釘付けになっている一同に、にっこりと微笑み、ケーキを運んできたラヴェンダーの髪に緑の瞳の少年がそう答えた。
「えっと・・・・・」
「初めまして。テールベルト=ホーソンと申します。テールとおよび下さい。こっちはシエナ=ヒイラギです」
「シエナだよ〜♪よろしくね〜〜☆」
おそらく正式にシエナが挨拶していなかっただろうことを察し、テールは自分のついでにシエナのことまで改めて紹介して見せた。
「・・・・・王子様ね。それにしては結構慣れ慣れしいのがいるけど?」
エドのブリックを見ながらの問いかけにテールは苦笑いをしながら答えて見せた。
「それは・・・面目次第もありません」
「テール・・・そないな言い方するか?」
「僕達の親は全員陛下と王妃様・・・・・ようするにアイス様達のお父上とお母上の側近である8人の高官のうちの1人なので、失礼ながら昔から親しくさせて頂いているんです」
テールの言い方に冷汗を流しながら反論しようとしたブリックだったが、綺麗に無視されてなんだか空しい気持ちになる。
「・・・幼馴染って奴?」
「まあ、そうだな」
「あたしは違うけどね〜」
笑いながらそう言ったルシアにエド達は首を傾げた。
「どういうことですか?」
「んとね。あたしはこの間高官の1人の娘になったばかりだから」
「所謂養女ですよ。もっとも、ルシアだけでなく、僕達高官の子供は全員、養子や養女ですけどね。ルシア以外は赤ん坊の頃から」
にっこりと笑いながらそう言ったテールが逆に痛ましくなり、どう返していいのか解らずエド達は複雑そうな顔をする。
「別に悲観したことじゃないですよ。むしろ、そうでなければ僕達はこうしていられなかったわけですしね」
エド達の心情を察したテールが心の底から嬉しそうにそう言った。
その言葉に同意するようにブリック達もこくこくと頷いていた。
「さてと・・・家庭事情の話などはあとでゆっくりしたければすればいいとして、お前達をここで呼んだ本題の話をしようか」
軽く溜息をつくとアイスはじっと目の前に座るエド達全員を一通りどこか観察するかのような目で見た後口を開いた。
「奈落、奈落、火、水、風、地・・・・・ってところか」
順番にアル、エド、ロイ、ホークアイ、ヒューズ、アームストロングを見ながら呟いた言葉である。
そのあまりに端的過ぎる言葉にエド達は怪訝そうに首を傾げる。
「・・・なんのことだよ?」
「お前達に適用している属性だよ。魔法には相性ってものがあって、相性の良い属性でないと習得できないんだよ」
アイスのその言葉で勘の良いホークアイが真っ先にアイスが本当にいいたいことに気が付いた。
「ひょっとしてあなた・・・・・私達に魔法を教えるつもり?」
ホークアイの言葉に驚いたようなに目を見開くエド達に向かって、アイスは肯定するようにこくりと首を縦に振った。
「いくら俺達が守るといっても、もしもということがある。だから、高位の魔法は無理でも、呪文詠唱なしでも発動できる結界系の下位くらいは教えておくつもりだ」
「・・・・・良いのか?」
「良いも何も、その方がより安全なんだ。しておくにこしたことはない」
あっさりとそう言い切るアイスに対し、エド達は驚き半分、魔法に対する好奇心半分といったところだった。
奈落属性のエドとアルはアイス。
火属性のロイはシャルト(ブリック付)。
水属性のホークアイはシエナ。
風属性のヒューズはウォール。
地属性のアームストロングはテール。
以上の組み合わせでレクチャーしていくことになった。
魔法指南に対する一通りの説明が終えられたところで、ふとエドは頭に浮かんだ今まで疑問に思っていたことを尋ねてみることにした。
「そういえば・・・なんで、あの遺跡の文字がお前達の『世界』の文字なのがあたりまえなんだ?」
「ああ、そのことか・・・・・それは」
「あああああっ〜〜〜〜〜〜!!」
アイスがエドの問いかけに応えて説明しようとした時、リビングの入り口付近から絶叫に近い声がして一同はそちらを一斉に見た。
だからその時、アイスがげっそりとした表情で額を抑えているのを知っていたのは、それをあらかじめ予想していたアイスと同じ『世界』の面々だけだった。
「アクラ・・・・・・」
アイスが少し引きつったような声でその名前を口にした。
それに気がつきもせず、入り口の金髪に青目の少女は声を荒げていた。
「なにあたしに内緒でケーキ食べてるのよぉ〜」
「あ、あの・・・アクラ様のもありますから」
「当然でしょう!」
宥めようとするテールを逆にキっと睨むと、アクラと呼ばれた少女は一直線にソファに迎い、そしてアイスの隣までくるとそのまま勢いに任せて腰をおろす。
その間テールは逃げるようにアクラのケーキを取りにリビングを出ていった。
「・・・お前が寝すぎてるのが悪いんだ」
「なら起こしてくれればいいじゃない!」
「起きない上に、余計な被害出すだろうが!お前は!!」
言い合って赤と青の瞳が互いに睨み合い、周りが見守る中、暫くして溜息とともに先にその状況を打破したのはアイスだった。
「お前相手に不毛だから、これ以上はやめておく」
「何よその言い方〜〜!」
アイスの言葉にアクラは頬を膨らませる。
まるで小さな子供が癇癪を引き起こしているかの様子に、その光景をはじめてみる者達は少し呆然としていた。
そしてその様子を見たアイスが溜息をつき、少し眉間に皺を寄せた状態で、今エド達がもっとも聞きたいであろうことを告げた。
「紹介する。こいつの名前はアクラフレーム=パストゥール。名前で解るかもしれないが・・・俺の妹だ」
アイスのその言葉にエド達の瞳が大きく見開かれ、アクラを凝視する。
髪の色、瞳の色、さらには容姿までアイスと似てない、というよりも正反対のアクラはとてもアイスの妹には見えなかった。
しかしこの驚いている中に、さらにブリックによって信じられない事実が増やされた。
「ちなみに、双子やで」
「う・・・そ・・・・・・」
「嘘といわれても本当だし」
「・・・アクラは髪の色以外父上似、俺は髪の色以外母上似だからな」
それ以外のも事情はあったのだが、この『世界』、というよりも錬金術の常識観点から言って、さらに混乱を招きそうだったのであえてアイスは口にはしなかった。
暫くしてテールがアクラ用のケーキとお茶を持って現れれると、先程までの不機嫌さが嘘のようにアクラは上機嫌でケーキを頬張りだした。
それを見ながらアイスはまた溜息をつくと、顔を真剣な表情に戻して先程の話を改めて始めた。
「簡単なことだ。あの遺跡に書かれた十の守人とそれを束ねる者は、俺達のことだからな」
「・・・・・・はっ?」
「『星対の妃神』と『白銘の勇者』は、俺達が探してる『星妃』と『白勇』のことだぞ」
複写した紙を取り出し、改めてそこに書かれている2つの名前を見てみると、確かに『星妃』と『白勇』であってもおかしくない2つ名だった。
さらにアイスの言葉は続く。
「『治癒の守護者』は『癒護』、『法典の博雅』は『法博』、『清音の繰手』は『音繰』、『天弓の聖臣』は『弓聖』、『謀賢の佐官』は『賢佐』、『剣侠の帝』は『剣帝』、『戦捷の姫君』は『戦姫』・・・・・」
次々に口を滑り出てくるその言葉はまるで一種の呪文のようにも聞こえた。
「順番に、シャルト、テール、ルシア、シエナ、ウォール、ブリック、アクラの事だ。ちなみに『花霊の精身』こと『花精』は見つかっているが諸事情により別行動」
「・・・・・ってことは、お前は」
今まで上げられた名前はすべて見つかっている者、そして『星妃』と『白勇』の見つかっていない2人を除いてアイスに当てはまるものはただ1つのみ。
「『創命の絶対者』・・・『創命主』は俺だ」
「ちなみに、『創命主』でいらっしゃるアイス様は、『世界』の創造主である自然始祖よりも立場は上です」
「せやから、今回ちっとばかり無茶するのに、この『世界』の始祖を脅したりしてな」
「それって・・・・・・」
苦笑を浮かべながら言ったブリックの一言に、実際この『世界』の始祖である『真理』にあったことのあるエドとアルは正直尋常な状態で入られなかった。
自分達があれほど恐怖し、畏怖さえも感じた覚えのある存在を、脅すことのできる者など想像ができるだろうか。
普通はできるはずない。
だが実際に目の前にる少年はやってのけているというのだ。
「なんだかしらねーが・・・凄いんだな、お前」
「いや!凄いだけで片付けていいことじゃないって!!」
ヒューズのごく一般人的発言に、思わずエドは焦って突っ込みを入れてしまう。
そんなエドとアルの異常なまでの狼狽ぶりに、アイスの行ったことが普通でないと認識できているロイ達ですら呆然とする。
「ま、この文章の中心になる俺の『世界』の文字で書かれていても、少しもおかしくはないってことだ」
なんだか色々とはぐらかされたり、適当に簡潔された気もするが、とりあえずエド達はこれ以上の混乱を事故回避するため、こくりと頷き無理やり納得することにした。
一通りの話が終わった後、エド達はそのままテール手製の夕飯を食べていくことになり、現在その食べ終わった後片付けを、テール、シャルト、シエナ、アル、ホークアイの計5人で行っている最中だった。
「すいません。お客様なのに手伝わせて」
「気にしないでください」
「アルフォンスくんの言う通りよ。あんなおいしいご飯食べさせて貰ったのだから」
そう言って微笑み合っている人間が後片付けをしているキッチンは、とても和やかな空気で満ちていた。
「まあ、ただ量が・・・ちょっと多かったですけど」
「そうですか?普通だと思うのですが・・・」
実際には『ちょっと』程度の多さではなかったのだが、それを普通に平らげていたテールを気遣ってアルが言った言葉をものともせず、テールはこれまたけろりと爆弾発言をして見せた。
「胃袋ブラックホール・・・」
そしてそんな片づけをしている一同の後ろで、ブリックがぼそっと顔を引きつらせながら呟いた。
「なんですって!」
キッチンでの和やかな空気と打って変わり、アクラの大声が家中に響き渡った。
「いや・・・そこまで驚かれても・・・」
「驚くも何もないわよ!兄上も何か言ってやってよ!!」
「予測して然ることだ」
「兄上〜〜〜!」
慌てるアクラとは対照的に、お茶を飲みながら至極冷静なアイスに対し、アクラが恨みがましそうな表情と声を向ける。
「どないしたん?」
「ちょっときいてよブリック!立ち入り禁止で、パーティがあって、近くで守れない、エドが〜〜!」
「・・・・・ウォール頼む」
「ようするに、明後日国家錬金術師のみでのパーティがあるので、一般人は基本的に立ち入り禁止のため、エドを傍で守れない、と仰りたいんですよ」
「・・・解説サンキュ、ブリック」
涼しい顔でアクラの言いたかったことを正確に伝えるウォールに、ブリックは冷汗を苦笑いを浮かべながら礼を言った。
「でもそれかなりまずいな。・・・中止にできへんの?」
「大総統閣下が主催だからな。中止にはできないよ。おまけに全員強制参加」
「ちっ・・・こうなったら、その会場今から行って消し・・・」
「「「やめろ!!」」」
アクラなら容易にできるうえ、本当にやりかねないため、その事実をしっているアイス、ブリック、ルシアは絶叫に近い声をあげて止めた。
「なによ!その方が手っ取り早いじゃない?!」
「とにかく駄目だ!・・・本気で怒るぞ!」
「うっ」
本気で怒ったアイスがどれだけ恐ろしいか身をもって解っているアクラは、不満はあるがとりあえずそれ以上言い返すのをやめ、頬を膨らませて何も言わなくなった。
その様子に安堵、あるいは呆れた溜息をつくものと半々だった。
「・・・一般人は立ち入り禁止でも、例外はあるだろう?」
「うむ。確かにその通りだ」
「よく知ってるな。それも『知詠』とかいう力なのか?」
ヒューズの言葉にアイスは静かにこくりと頷く。
「確かに、国家錬金術師1人につき1人だけ同行可能だが」
「だけど、異性でなければならない」
アイスのその言葉に軍部の一同はこくりと頷いた。
大総統がどういうつもりで取り決めたのか解らないが、パーティはパーティでも一種のダンスパーティ。
よって同行者はダンスの相手役である異性でなければならない。
「なら、こっちからその相手役をお前達に1人ずつつければいい。そんな人の多いところだと狙われやすいから・・・なるべく多くもぐりこませたほうが良い」
「余ったメンバーは?」
「会場の外で待機だ。なにかあってもすぐ動けるように」
「了解」
「で、相手役は誰にするの?」
ルシアからもらされた疑問にアイスがちらりとエドに目をやる。
「エド、お前は男としていくんだろう?」
「ん?ああ・・・まだ大っぴらには男だってばらしてないしな」
「どなると・・・こっち側は全員女ということになるが」
この場にいる国家錬金術師は全部で3人、そのうち2人が男で1人が女。
だがエドが男の不利をしている以上、男としてパーティに行くことになるは当然なのだが、ここで1つ困ったことが発生した。
「・・・1人はアクラで問題ないし、もう1人は・・・ルシア良いか?」
「ん?ダンスがあんまり上手くなくてもいいならOKよ」
「ということは、2人は決まったが・・・・・残りは・・・」
女性陣は全部で4人いるのだが、そのうちパーティに出しても問題なさそうなのはアクラとルシアの2人だけだった。
なぜなら、シャルトは極度の人見知り。
シエナは遊び好きなため表に出るとパーティをぶち壊しかねない。
2人とも性格上の問題でパーティには不向きなタイプだった。
「・・・どーするかな」
アイスの苦悩の理由を察しているブリック達は苦笑いを浮かべながら見守っていた。
その時、今まで不機嫌にしていたアクラがきらりと瞳を輝かせた。
「そうだ!良い事考えた!!」
アクラのその発言に、「どうせろくでもないことだろう」と、アイス達はもちろん今日1日の経験下でエド達も思っていた。
そしてそれは実際、アイスいとってはろくでもないことだった。
「パーティ向きの女が足りないなら、増やせばいいのよ!」
「増やすって・・・・・・」
冷汗を流しなら「そんなことができるわけない」と、ブリックは言おうとした。
まったくの一般人はもちろん、こちらの『世界』のどんな人間でも意味がないし、ましてやアイス達の『世界』の他の人間でも意味がない。
これは今この家の中にいる面々で解決しなければいけないことなのだから。
しかしアクラは自身満々な笑みを浮かべ、そしてアイスの方を見た。
「ちょ〜ど適任な人物がここにいるじゃない」
「「・・・・・・・・ああ」」
アクラの言いたいことを察したブリックとルシアの2人が手を打ち、そしてアクラの標的にされた当のアイスも察してか『知って』か、引きつった表情を隠すことなく前面に表していた。
ただエド達にはアクラの言いたいことがまだ解らなかった。
「というわけで、逃げちゃだめよ。リズ=ルーチェス」
「その名で呼ぶなぁ〜〜〜〜〜〜!!」
全身で楽しげなアクラとは対照的なアイスの悲痛な絶叫が家中に響き渡ったのだった。
あとがき
ようやく全員出せました。
アクラとシエナが出てきたせいでドタバタ度がましました。
ちなみにアクラの最強呪文は大きな街の2・3個は軽くふっ飛ばします;
でも実際にはアイスの方が厄介ですけどね・・・
成長すれば『世界』丸ごと消滅も可能な奴ですから・・・;
『真理』も脅してるし・・・(実際に脅しに行ったのは、白い謎の生命体ですが;;)
魔法の属性についてなんですが、これはロイさん以外は私の個人的な見方です;
はじめは地属性をエドとアルにしようかと思ったんですが、アームストロングさんが水だの風だのはないだろう・・・と思い、アームストロングさんを地属性にしたため、兄弟は奈落属性になりました。
そしてアクラの会場ふっ飛ばし発言のとき、その場にいたにも関わらず、なぜウォールだけ突っ込まなかったのかというと、あれは事実を知らなかったのではなく、奴は基本的に王族のやることなすことには口をはさまない・・・というか全面的に賛成な奴だからです。
ある意味恐いですね・・・崇敬病・・・・・・・;
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