-Travel at time-
スタート前小話
双子(弟)家出編
ND2037
ガルディオス家双子14歳の年・・・
ある日、ガルディオス家のメイドが1通の手紙を発見した。
『拝啓 父上様、母上様、兄上様。
俺はつい先日自分の天職を見つけました。
俺が生まれてきたのはきっと、否絶対このためだったのです。
そういうことなので、俺はその天職に俺の人生の全てを捧げるため、キムラスカ=ランバルディア王国は首都バチカルに行きます。
ぜんは急げなのでいきな出て行きますが心配しないでください。
むこうで落ち着いたら(たまに)連絡します。 敬具
フシャスラ=ワルヤ=ガルディオス 』
ちなみに手紙の文章が何時もと違って敬語口調なのは両親(主に母親)と兄の怒りをなるべくかうまいと下手に出ているためだが、無論そんなことは通用するはずもなかった。
ナタリア「・・・・こんな置手紙1つ残しただけで・・・一体、あの子は何を考えているのですか!?」
ガイ「いや・・・落ち着けよ。ナタリア」
ラグナ「母さんの言うとおりだ!こんな置手紙で、しかもこんな色々とはずいた説明でわかるはずもない!」
ガイ「いや・・だからラグナも・・・」
ナタリア「・・・貴方こそ、さっきからなんですか?こんな手紙1枚だけ残して家を出て行くなんて・・・・・家でも同然の状況でよく落ち着いていられますね!」
ガイ「そんなこといってもな〜。あいつだってもう14歳だし、それに行き先はバチカルって解ってるんだから、そんなに慌てなくても・・・」
ナタリア「もうではなく、まだ14歳ですわ!」
ガイ「・・・あのさ、ナタリア。確か・・俺達と一緒に旅してた時のアニスの年齢13歳だぞ」
ナタリア「だからなんだというのです?アニスは他に私達も一緒でしたのよ。それに引き換え・・・あの子は1人で出て行ったんですのよ!」
ラグナ「母さんのそれはさすがに少し心配しすぎだとしても・・・・・でも父さん、今回は完全にあいつが悪いと思うぞ」
ナタリア「ラグナの言うとおりですわ!私達になんの許しどころか相談もなく、勝手に出て行くなど言語道断です!」
ガイ「・・・・・・おい」
ナタリア「貴方がそういうつもりなら、私があの子を連れ戻してくるまでです!」
ラグナ「母さん、俺も一緒に行くよ。色々とあいつに言ってやりたいことあるし」
ナタリア「ええ、行きましょう!」
ガイ「・・・・・シャスの奴、無事じゃすまないだろうな(苦笑)」
ペール「失礼いたします。あの、旦那様・・・今奥様とウルスラグナ様が物凄い剣幕で出て行かれましたが・・・」
ガイ「ああ・・・気にしなくて良いよ。それより、ぺール・・・例の譜業で繋いで欲しい先があるんだが・・・」
ペール「ああ、あれでございますね。どちらでございますか?」
ガイ「勿論、バチカル」
ペール「承知いたしました。少々お待ちください」
ガイ「とりあえず・・・あいつ等に連絡して、シャスに身の危険を伝えてもらわないとな・・・」
ナタリアとラグナが凄い勢いでシャスの後を追う決意をし、ガイがシャスの身を案じている頃、その問題の根源であるシャスはというと。
バチカル城でアッシュとルークを前に土下座をして深々と頭を下げていた。
シャス「行きなり訪れて謁見していただいて申し訳ございません!しかし、どうしてもお2人にお願いしたい事があって・・」
ルーク「あ・・・あのさ、シャス。行きなり着たことなんて別にいいよ。寧ろお前ら家族はいつでも大歓迎だし」
アッシュ「・・ルークの言うとおりだ。それよりも、マルクトの伯爵家の子息が土下座で頭を下げている事のほうが問題だ。いい加減それを止めろ」
シャス「いいえ!俺に頼みを聞き入れて頂くまでは止めるつもりはありません!」
ルーク「・・・じゃあ、早くそれを言えよ。あまりに無茶な事じゃなきゃ・・・なるべく聞いてやるからさ・・・」
シャス「本当ですか?!」
アッシュ「ルークが言うように内容によるがな。良いから早く話せ」
シャス「はい!・・・俺を、俺をアシャ殿下付きの使用人にしてください!」
ルーク「・・・・・・はい?」
アッシュ「・・・今、なんだと・・・」
シャス「ですから、俺をアシャ殿下の使用人にして欲しいんです!」
アッシュ「・・本気で言っているのか?」
シャス「勿論、200%本気です!」
アッシュ「・・先程も言ったが、お前はガルディオス伯爵家の子息だ。それほどの地位のものが、幾ら相手が一国の王子だろうと、使用人になるなどとありえんだろうが」
シャス「ですが、親父・・・父は陛下と王妃様の使用人を勤めていた事があると聞きました!」
ルーク「それは・・・その頃はその・・・ガルディオス家が実質なくなっちゃってたような状態だったし・・・それに、ガイの正体も知られてなかったし・・・」
シャス「それでも父が陛下と王妃様の・・・ファブレ家の使用人だったことに変りはありません!だったら、俺もアシャ殿下の使用人になってもいいはずです!」
アッシュ「いや・・・しかしだな・・・」
シャス「俺は・・この間殿下に命を救われました。その時の殿下の言動の全て・・・・・俺は、あの時俺の天職は殿下に生涯お仕えする事だと悟ったんです」
ルーク「・・・・そうなのか〜」
アッシュ「待て、ルーク。そこで納得するな」
ルーク「いや、だって実際納得できる理由だし。それになんか・・もう了承するしかないと思うぞ。ほら・・・シャスのあの目見てみろよ」
アッシュ「・・・うっ」
ルーク「すっごい・・・期待に満ち溢れた眼だよな・・・」
アッシュ「しかし、ガイやナタリアになんと言えば・・・」
ルーク「というよりもナタリアだな。・・・怒るだろうなぁ。ガイは結構放任主義みたいだし・・・」
アシャ「・・・そのガイラルディア伯爵から通信がきてるってさ」
ルーク「アシャ」
シャス「アシャ殿下!」
アシャ「・・・なんで、そんなに嬉しそうなんだ?シャス。しかも敬称つけて」
ルーク「はははっ・・じゃあ、俺ちょっと席外すから、アシャはアッシュと一緒にシャスの相手してやってくれ」
アシャ「え・・・うん」
シャス「光栄です!」
数分後・・・
ルーク「・・・ただいま〜。シャス、ガイから伝言」
シャス「なんですか?」
ルーク「・・・『ナタリアとラグナがバチカルに向かってるけど、あの2人を相手にしても希望を叶えたいか?』だってさ」
シャス「お、お袋と兄貴が?!」
アッシュ「・・ナタリアはともかく、ラグナまでとは。・・シャス、お前何と言って家を出てきたんだ?」
シャス「・・・置手紙だけ」
アシャ「はっ?それじゃあ、ナタリアさんもラグナも怒って当然だろ」
シャス「殿下〜〜〜」
アシャ「だから、なんで敬称付けなんだよ?」
ルーク「・・・で、シャス。ガイの言葉に対するお前の返答は?」
シャス「・・俺は、俺は本気です!例え、お袋と兄貴を敵に回しても・・これだけは絶対に譲れません」
ルーク「よしっ。じゃあ、決まりだ」
シャス「へっ?」
ルーク「ガイからもう1つ伝言・・・『あの2人を相手にしても良いくらい思えることなら俺はもう何も言わない。お前の好きなようにしたら良い』だってさ」
シャス「親父・・・・・」←感動
ルーク「というわけだ。アッシュ」
アッシュ「・・仕方ない。ガイが・・・ガルディオス伯爵本人が息子がそうなる事を許したなら、もう俺達からは何も言う事はないな」
シャス「じゃ、じゃあ」
アッシュ「フシャスラ=ワルヤ=ガルディオス。只今をもって、お前を我が第一王位継承者・アシャワヒシュタ=レイ=キムラスカ=ランバルディア専属の使用人に任命する」
アシャ「はあっ?」
シャス「あ、ありがとうございます!この恩は決して忘れません!」
ルーク「まあ・・ナタリアだけはちょっと怖い気もするけど」
アッシュ「うっ・・確かにな・・・」
アシャ「いや・・だから・・・俺本人には話が見えないんだけど・・・」
シャス「殿下!これからよろしくお願いします。俺、誠心誠意、生涯かけてお仕えさせて頂きますので!」
アシャ「だから、なんでそんな話になってるんだよ?そもそもお前、自分の家はどうするんだよ?」
シャス「家は長男が継ぐものだから(勝手な認識)、兄貴に任せれば大丈夫です」
アシャ「・・・そうだろうけど。やっぱり、ラグナ・・・尻拭いか・・・」
ルーク「そうだ、シャス。使用人になったからって、公式以外は別に今までどおり敬語使わなくても言いんだぞ。お前の父親もそうだったんだし」
シャス「いえ、そういうわけにはいきません。父は父、俺は俺です」
アッシュ「・・・さっきと言っていることが違うが・・・」
アシャ「・・・・・使用人になるのはこの際諦めるとして・・・その敬語はなんか、調子狂うからやめて欲しい・・・」
ルーク「ん〜・・・無理っぽいな」
アッシュ「・・・そうだな」
アシャ「・・はぁ」
結局、アシャはこの数日後何とか妥協してシャスの敬語に慣れることにした。
ナタリアとラグナがシャスに説教するべくバチカル城に到着したのは丁度その日のことだったという。
あとがき
解りにくいところがあったかもしれないので、今回は小話なのにあとがきつけます;
『例の譜業』というのはシェリダンで開発された現代で言うところの電話とか無線機みたいなものです。
ちなみに置いてあるのは、シェリダン(ギンジ邸)、バチカル(バチカル城国王夫妻自室)、ダアト(神託の盾本部アニス自室)、グランコクマ(グランコクマ宮殿ジェイド自室)、エンゲーブ方面領(ガルディオス邸)、ユリアシティ(ティア邸)。
ようするにゲーム本編のパーティメンバー+ギンジのところにあります。
ちなみにシャスが置手紙してから早々とバチカルに到着したのは、この譜業使ってギンジに連絡して頼み込みアルビオールで送ってもらったからです。
ナタリアとラグナは怒り状態だったためそこまで頭が回らず船でバチカルに行ったせいで到着までに間が空いたという事です。