ドリーム小説
四宝神刀




資格を持つものよ・・・
2人の願いを叶えよう・・・
だから・・・



お前の命を救ってやろう・・・・・・






空座第一高校1年3組のいつも通りの朝。
いつものように開かれた扉からいつものように担任が現れた。
そしていつもと違っていたのは、その後ろに見知らぬ少女を引き連れていたことだった。
柳色の髪を翻し、砂色の瞳を楽しげに潜めながら、その少女は現れた。
「えー、急な事で全員驚いているだろうが。今日からうちのクラスに入ることになった・・・」
。どうぞよろしく」
にっこりと微笑んだその瞳は、密かにクラスの中でも一際目立つオレンジの髪に向けられていた。







「たっだいま〜〜♪」
能天気な声と共にアパートに帰ってきたは、おもむろに鞄を放り投げ、制服を脱ぎ散らかしていった。
その様子を見ていた黒猫は顔を引き攣らせていた。
「・・・び・・様」
「ん〜〜?何?夜一」
座ってお菓子を食べながらテレビを見始めたに、夜一は深い溜息をついた。
「こういうことは、あまり言いたくないのですが」
「じゃあ、言わなかったら良いじゃない」
「・・・・・もう少しちゃんとしてください」
「え〜〜〜〜?!!」
夜一の常識的とも言える言葉にの不満の声が上がった。
そして暫くの沈黙の後、は溜息をついて立ち上がっり大人しく片づけを始めた。
「仕方ないわね〜・・・」
「・・・今日はやけに聞き分け良いですね」
いつもならさらりと無視するはずのの意外な行動に、注意した張本人でもあるにもかかわらず夜一は驚きの声を上げた。
「ん〜〜・・・今日は特に私機嫌が良いから♪」
「何かあったのですか?」
「うん♪ちょっと学校で良いもの見つけちゃって♪」
そう言って夜一に答えるの声は、本当に楽しげであり嬉しそうであった。
「さてっと・・・これで良いでしょ?んじゃ、私はちょっと出かけてくるわね」
「どちらへ・・・?」
「ちょっと散歩〜〜〜〜」
ただそれだけを告げて、は外へと出て行った。
その自由奔放である意味いい加減なのいつもの様子に、夜一は何度目になるか解らない溜息を漏らしたのだった。







アパートを出て暫くすると、は何やら人が争っているような声を聞いた。
「(・・・近くでけんかでもしてるのかしら。・・・・・ん?でもこれって)」
はそれに気が付き、曲がり角で足を止めた。
そしてそこから覗き込んでそこにいる人物達の様子を伺った。
見るとそこには3人の少年が1人に対して食って掛かり、1人はすでに気絶して夢の世界に旅立っている。
しかし荒れているのは3人だけのようで、対する1人は冷静というよりも面倒くさそうな様子だった。
普通の人間が見ればそれだけの光景なのだが、はもう1つ別のものも見えていた。
「(あ〜〜あ、やっぱりね。霊圧でそうだと思ってたけど)」
本日転校したクラスで見かけたオレンジの目立つ髪の人物・黒崎一護がいる。
そしてそのすぐ後ろには、他の人物達には見えていない霊の少女がいた。
その霊の少女は様子からするにかなり少年達に迷惑している様子だった。
「ま、お手並み拝見と行きますか・・・」
は一護が少女の霊のために少年達を追い払うつもりだということを察してその様子を傍観することにした。
そして1人、1人を蹴りつけながら一言一言声を上げていっていくその光景を、「無茶するなぁ」とか思いつつ、内心かなり楽しみながらは見続けていた。
そしてどうやら片はついたようで不良達は逃げ去っていき、その後一護は女の子の霊と二言三言会話をした後悠々とその場から去って言った。
「さて、終わったわね・・・」
一護の姿が反対の道を曲がって見えなくなったのを確認してから、はひょっこりと曲がり角から出て少女の霊の元へと歩いていった。
「こんいちは」
「えっ、こ、こんにちは」
にっこりと微笑んで話しかけてくる見知らぬ人物に、少女の霊は少し驚いているようだった。
「あ、あの・・・お姉さんも、私が見えるの?」
立て続けに霊の見える人物に会い、少女の霊は呆けているようだった。
その様子には気にすることもなく、ただこくりと頷いた後少女の額に手を当てた。
「えっ?」
「・・・魂葬」
がそう呟くとの掌から光が溢れ、やがてその光が少女の霊を包みこんだと思ったら、次の瞬間には少女の霊はその場から完全に姿を消していた。
そして少女の霊がいた場所を見ながらは複雑そうな笑みを浮かべながら呟いた。
「せめて・・・あなたが逝く場所が、治安の良い地区でありますように」
そう言って手を合わせた後、はいつもの調子に戻り一護の後を急ぎ追っていた。








窓の外から覗き見る黒崎家は、騒がしいが平和そのものといった感じだった。
「てめぇ!これが必死こいて除霊して帰ってきた息子に対するアイサツか!!」
「やかましい!どんな理由があろうと我が家の鉄の団欒を乱すものには血の制裁を下すのみ!」
そんなかなり体力的にハードな親子喧嘩を見つめながらは密かに突っ込んでいた。
「(っていうか、一護。あれは除霊じゃなくてどっちかというろ浄霊って言うのよ。っていうか、どっちにしろ成仏はさせてなくて、させたのは私だから)」
呑気にそんな事を思いながらどこからか持ってきた菓子パンを食べながら、黒崎家の夕食を少し羨ましそうに見つめていた時だった。
「2人とも、早くしないとご飯冷めちゃうわよ」
懐かしい声が聞こえてきたのは。
その声にはそちらに視線を巡らせる。
そこにはのほほんとした笑顔を浮かべる1人の女性がいた。
「母さん聞いてくれ!一護がぐれた!!」
「誰がぐれたよ!お袋に変なこと吹き込むな!!」
「もーお兄ちゃんもお父さんも早くご飯食べなよ」
「ほっときなユズ。母さんおかわり」
「はいはい」
どたばたしている2人と、それをとめようとする1人、ほとんど動じていない2人。
かなり変わった一家団欒の風景ではあるが、家族仲が良いということはには解った。
その様子になんだかは胸を撫で下ろされるようだった。
「(・・・元気そうでなによりね。真咲)」
思わず笑みが零れてしまうほどは目の前にある事実を心底嬉しいと感じた。
「さて・・・今日はこの辺にしてまた後日・・・・・・」
一通り見て満足したのかはその場から立ち上がり帰ろうとした。
しかしその時ある感覚を感じ、そのまま虚空を厳しい目で見た。
「この気配は、虚・・・・・それに少し離れた所に死神の気配・・・・・・・」
さらに感覚を研ぎ澄ませてはその2つの気配の動きを追う。
「・・・2つとも移動してる。しかもどうやら目的地はここのようね・・・」
そして瞬時には嫌な予想をした。
「・・・・・狙いは、多分一護ね」
ちっと舌を鳴らしては帰るわけには行かなくなったことを確信した。










夕食の片付けも終わり、部屋に戻って洗濯物を片付けていた真咲は窓をたたく音に気づいた。
ちなみに一心は明日の準備で室内にはいない。
「誰かいるの?」
そう言って疑いもせず窓に近づく真咲がカーテンを開けて窓の外を見てみれば、笑顔で手を振っているがいた。
そのの姿を見た瞬間、真咲は目を丸くしてすぐさま窓を開けた。
「あ、貴女は・・・」
「やっほーー!真咲。息子達と元気に楽しくやってる?!」
先ほど見た限りではそうだったと解っているが、とりあえず社交辞令的には尋ねてみた。
そしてそのの言葉に、真咲はみるみる満面の笑顔を浮かべて答えた。
「はい。貴女のおかげで」
「そう、それは良かったわ」
「それにしても・・・どうしてここへ?それに前に会ったときと姿も雰囲気が違うような・・・」
「ああ、これは仮の姿だし、この姿の時まであんな堅苦しい喋り方したくないのよ〜」
和気藹々と世間話を始めるかと思われたが、しかしすぐにが話を切り替えようとした。
「まあ、久しぶりにあんたや一護に会えたのは嬉しいんだけど」
「あの子とはもう会ったんですか?」
「そ、実は今日転校して同じクラスに・・・じゃなくて、また話がずれそうになった!」
また話がずれそうになった事にあわてて気づいてはまた方向修正する。
「真咲。あんたすぐに一護達を連れてここを離れなさい」
「えっ?どうしてですか?」
「・・・虚がここに近づいている。狙いは・・・・・霊力の高い一護よ」
「・・・えっ?」
がそう言った瞬間、真咲は信じられないといったように大きく目を見開いた。
そしてそれと同時に何かを思い出しているようだった。
その事を察しても複雑そうな表情になる。
「とにかく、すぐに・・・」
言いかけてはすぐ近くに死神と虚の気配が既に近づいていることに感づく。
話に夢中で今の今までそちらへの注意がどうやら薄れていたことに舌打ちすると、部屋の外でなにやらごとっという音がした。
真咲もその音に気がついたようで慌てて部屋の外に飛び出していく。
もすぐに窓から部屋に入って真咲の後を追い、すぐに部屋の外に出てみるとそこには血まみれの一心がいた。
「あなた!」
「真咲か・・・無事でよかっ」
慌てて駆け寄ってきた真咲の無事を確認するとそのまま一心は気絶したようだった。
「あなた、あなた!」
「大丈夫。気を失っただけで命に別状はないわ」
そう言うとは一心の傷口に手をかざして治癒の霊力を流し込み、すぐに傷口を塞いでしまった。
「それよりも心配なのは一護のほうね。霊力がずば抜けて高いせいで間違いなく虚のターゲットにされるわ。一緒にいる死神もどこまでやれるか・・・」
がそう言うと真咲は不安そうな表情になり、すぐに一護を助けに行きたいが、気絶したままの夫を方って置けないというような思いで混乱しているようだった。
そんな真咲にふわりとは穏やかに微笑んだ。
「安心しなさい。一護は私が絶対守ってみせるから。それよりもあんたは、旦那についててあげなさい」
そう言って真咲と一心に背を向け歩きながらはひらひらと真咲に手を振る。
「・・・それがあんたの願いだったからね」
そういい終わるとがぐっと足に力をこめた瞬間、あっという間に彼女の姿は真咲の目の前から塵のごとく消えうせていた。










一護の所に行く途中発見した一護の妹達の怪我を治して時間を少し食ったがようやく辿りついた場所で見たのは、死神であるルキアが一護の胸に斬魄刀を付きたて死神の力を譲渡している現場だった。
それを見たは瞬時にまずいと思い、2人の間に割って入り強制的にそれを途中でやめさせた。
そしてほっと溜息をつくとは反面、一護とルキアは驚いてただ呆然と眼を見張っていた。
「あ〜〜・・・ ぎりぎり何とか間に合ったわね。それにしてもあんた!自分より霊力高い奴に力譲渡なんて無茶する?!もし私が止めに入らなかったら、霊力強制的に全部持ってかれてたわよ!!ぎりぎり半分ですんだけど」
「えっ、えっ??」
「お、お前・・・・・今朝の転校生・・・・・」
呆れた声で説教するに対し、まだ混乱しているらしい一護とルキア。
「ま、それにしてもなかなか死神姿にあってるじゃない。一護」
「なんで・・・」
「まあ、私の事が気になるのは仕方ないけど。今はあちらさんの相手をしてあげるべきじゃない」
にそう言われて一護は今の状況を思い出した。
そしてのことはとりあえず置いておくことにし、斬魄刀を構えて虚へと向かっていく。



虚は一護の巨大な霊力を物語るような一護の構える巨大な斬魄刀にあっという間に真っ二つにされてしまった。
そしてそのまま初めて使った力に疲れきったかのようにその場に倒れこんでしまった。
「一護!」
「大丈夫よ。気絶しただけでしょ」
焦るルキアに対し、冷静にはそう告げると一護の傍に近づいていく。
「お疲れ様一護」
とても優しい目で一護に対してそう言ったは、一護の身体の傷を治すとすぐに一護の魂魄を身体に戻した。
その光景を半ば呆然としてルキアは見ていた。
「さてと、これで大丈夫ね。まあ、一護が死神になっちゃたのは予想外だけど・・・とりあえず全員無事ってことを真咲にしらせなきゃね」
そう言って一護を担ぎ上げて家の中に向かう途中で、はくるりと振り返ってルキアに告げた。
「あ、あんたはそこで待ってなさいよ。後でちゃんと治療してあげるし。何より幾ら全部持ってかれてないとはいえ、そのままじゃ尸魂界なんか戻れないでしょ。良い義骸貸してくれる奴紹介してあげるから、ね」
そう言い捨てるとは今度こそさっさと家の中に入っていった。
後に残されたルキアはただ呆然としてが消えた先を見つめながら一言呟いた。
「・・・一体、なんなのだ?あの者は」









あとがき

もう1つの原作沿い夢始動でございます。
それも「蒼紅華楽」とは違って1話からの始動となります。
この「四宝神刀」はいわゆるifストーリーとなります。
つまり「原作でもしもこういう展開だったら」という話です。
ぶっちゃけ管理人の願望小説とも言えるお話です;
その第一弾が、「真咲さん生存」となります。
もしも真咲さんが生きていたらどうなっていたんだろうということですね。
まあ、さすがに一護とかの黒崎家の性格は変わりませんが;;
でも真咲さんが生きてたらグランドフィッシャー関係どうするんだというお声が聞こえてきそうですが、一応そこらへんも考えてますので・・・
ちなみに主人公は「蒼紅華楽」の主人公よりも最強かもしれません;
夜一さんに敬語使われたりと謎がありますが、ちゃんと明かしていきますのでよろしくお願いします。






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