ドリーム小説
蒼紅華楽 序章



「なんかさ・・・最近暇じゃない?」
部屋の中にいる誰か1人がそう告げると、また別の誰かがそれに対して応える。
「ああ、確かに暇だよな〜」
「ここ最近、実戦とかしてないしな」
「実戦にでたいよな〜〜」
半ばだれながらそういう彼らのその言葉に、ある1人の人物が溜息をついた。
「そういうことを言うな。大概は表の・・・護邸十三隊で事足りるのだからな。俺達はいつもどおりここで平和に事務処理だ」
「ちえっ・・・つまんねぇ」
「・・・気持ちは解らなくもないが、俺達が出ることはむしろない方が良いだろう」
「まあ、ね」
もっともなその言葉に確信犯的なにやりとした笑みを浮かべて1人が短く同意する。
周りからも何やら意味ありげな含み笑いがもれていた。
そんな中、ふと1人が首を傾げながら何気なく告げた。
「そういえば・・・隊長はどこにいったのでしょうか?」
「「「「「「「・・・・・・・・・・あっ・・・」」」」」」」
その瞬間自分達のリーダーであり、この建物全体の主でもある人物の不在に気づいた一同は、小さく声を漏らすとただ暫く呆然と立ち尽くしていた。







廊下のど真ん中で人が倒れている。
その光景に十番隊隊長・日番谷冬獅朗は我が目を疑った。
幻覚かと思い1度目線を逸らしてから再びそこに目線を戻したのだが、結果はやはり同じで確かにそこに人が横たわっていた。
微かに聞こえてくる寝息から、身体の調子が悪くて倒れたとかではなく、ただ寝ていることが予測できた。
その事実にさらに頭を混乱させたが、とりあえず起こそうかと思い日番谷は近づいていった。
すぐ傍まで近づいたその瞬間、突然寝ていたその人物のとった行動に咄嗟に反応して日番谷は後ろにすぐさま退いた。
彼の驚きで見開いた目には、一瞬のうちに自分に向かって斬魄刀を抜き放ち、今でも鋭い眼光を向ける少女の姿があった。
暫くの間緊張感の走る沈黙の後、少女が眉をしかめて呟いた。
「・・・十三隊の隊長の1人か」
そう言ってまた先程よりも短い沈黙が流れ、そして少女はそのまま何事もなかったかのように再び寝る体勢に入った。
「って、何また寝てるんだよ」
少女のとったその行動に日番谷は思わず突っ込みを入れてしまい、そのままの勢いで少女の身体をつかんだ。
「人に刀向けておいて言うことはあれだけか。大体こんなところで寝るな!」
日番谷のその言い回しに少女は目を開き、淡々と話し出した。
「昨日徹夜で眠い中外に出たら、ちょうど暖かそうなところがあったからつい寝てしまっただけだ」
だからといって廊下で寝る人間もどうかしている。
「それに刀を向けたことに関しては、私の寝込みに近づいたお前が悪い」
「なんだそれ・・・」
「自己防衛本能・・・だ」
少女の言葉に日番谷はわけが解らないといった表情をする。
その表情を暫く眺めていた少女だが、日番谷の手を払いのけるとそのまま立ち上がる。
「まあ、ここで寝ていた事に関しては私が悪いのかもしれないからな。大人しく隊舎に戻って寝なおすとする」
「そうしろ」
そう言って少女が背を向けた瞬間、彼女の羽織っているものに日番谷はようやく気が付いた。
白い羽織の隊長衣。
しかし日番谷は当然、護邸十三隊の全ての隊長の顔は知っている。
あんな人物は今まで1度も見たことがない。
それに何よりも気になったのはその羽織の背に書かれている文字。
「・・・・・『零』?」
聞いたこともない、見た事もないその隊の番号に、日番谷はただ少女の背を見送りながら怪訝そうな表情を作っていた。








日番谷と別れて暫く歩いた先で、少女は周りに誰もいないことを確認するとすっと口を開いた。
「『右に来世を 左に常世を 映せし鏡の色において』」
その言葉を口にした途端、空間が変な風に捩れた。
そして次の瞬間にはぽっかりとまるで空間に穴が開いたようになり、少女の目線の先には先程までなかった景色があった。
少女がそこに足を踏み入れると、自然に空間に開いた穴は閉じた。
それを確認すると、少女は目の前にある建物に向きなおった。
すでにそこは先程までいた景色など存在していなかった。
隊長」
突然呼びかけられてそちらを向いてみれば、馴染みの深い顔が何故かほっとした表情でそこにいた。
「時雨・・・」
「隊長、どこに行ってたんですか?皆心配しましたよ」
「・・・私がどうこうなると思うか?」
少女の言葉に時雨と呼ばれた青年はふるふると首を横に振った。
「いいえ。ただ突然いなくなられると、やっぱり心配なんですよ・・・」
「・・・悪かったな」
時雨の言葉に少女は少し複雑な表情をしながら本当に申し訳なさそうにそう告げた。
その少女の反応に時雨は苦笑をもらした。
「そう思うなら、早く皆に顔を見せてあげてください」
「毎日見てるだろうに・・」
「隊長・・・」
少女の半ば冗談めいたその言葉に、時雨はじとっと彼女に視線を向ける。
その視線の真意を解っている少女はただ1つ溜息をついた。
「解っている。行くぞ時雨」
「はい。零番隊長」
少女の言葉に彼女の名を呼ぶと、時雨はにっこりと笑ってその後に続いた。








あとがき

ジャンプを買う度「BLEACH」にはまっていく今日この頃・・・
しかし通常の2次創作(カップリング小説)は「BLEACH」では書く気はないのですが、何故かドリーム小説などというものを人生初めて書いてみようかなという気になってしまいました;
しかも零番隊設定で主人公最強設定です;;
逆ハー傾向ありますが、メインのお相手は日番谷くんです。
でも主人公の性格上ちゃんと逆ハーになるのかはすでに不安になっています;;


BACK     NEXT