ドリーム小説
蒼紅華楽 十二




「・・・どういう状況だ?これは」
それは十番隊執務室を訪れたが、無数の書類に埋もれて仕事をしている日番谷を見て言った言葉だった。
逆に言われた日番谷の方は、突然現れてそんな事を言ったの顔を凝視している。
「・・・。何でここに」
日番谷がそういた瞬間、は何故か少し不満気と取れる表情をし、目線を何度か移動させた後、何時もの真顔に戻り目線を日番谷の方に戻して口を開いた。
「なんとなく・・・」
「なんとなくって・・・っていうか、さっきの反応は何だ?」
「さっきの・・・?」
の言葉に呆れ半分期待外れで残念なのが半分になりながら、先程のの反応について尋ねてみるが、本人は首を傾げながら、何の事か解らないという反応を返した。
どうやら本人に自覚はなかったようで、その一言でそれを察した日番谷は声を失ってしまった。
「ところでそっちこそその書類の山は何だ?」
「・・・これは五番隊の引継ぎ業務だ」
「五番隊・・・?」
日番谷が五番隊と言った瞬間、の表情は何故か少し複雑そうなものになった。
一方の日番谷はのその表情には気づかず、しかしこちらも五番隊という言葉ではっとして口を開いた。
「・・・そういえば、藍染が殺された事は聞いたか?」
日番谷からその言葉を聞いた瞬間、は彼が何を言いたいのかすぐに解った。
「・・・ああ」
「こうなると、藍染は白だったんじゃないのか?」
予想通りの言葉には少し黙り込んでしまう。
藍染が生きているという事実をは知っているし、それゆえに白どころか完全に黒だという考えに至っている。
それを日番谷にありのまま話せば良いだけの事なのだが。
「・・・・・そうだな」
が口にしたのは何故か真実とは全く正反対の言葉だった。
そしてまた暫く黙り込んだ後、は常に何時も手放すこと持っている脇差を、鞘にさした状態のまま日番谷の目の前に置いた。
その行動の意味が解らず、目を丸くしながら日番谷は脇差とを交互に見る。
「・・・なんだ?これ」
「・・・・・お守り」
「・・・はっ?」
説明不完全以前の問題とも言える一言だけを呟いたに対し、当然訳が解らないという反応を日番谷は返した。
「大事に持ってて」
「いや・・・だから・・・」
日番谷がますます混乱しもう少し詳しい説明を要求しようとした時、はぴくりと何かに反応し、暫し無言の後日番谷に背を向けて歩き出した。
「って、おい・・・」
日番谷の呼び声も聞かずに入り口の所まで歩いていき、そこでようやく振り返って口を開いた。
「それじゃあまた。冬獅郎くん」
その一言だけ告げ、肝心な事は何も言わずに扉を閉めて去っていった。
後に残された日番谷はが出て行った先を見つめながら、少し呆然となりながら呟いた。
「だから説明・・・それにまた名前・・・・・」
そしてまた暫くしてからが置いていった脇差を見つめ、どうするべきかと思いながら脇差に触れようとした瞬間だった。
「あれ?いない」
入り口の扉が開いて見知らぬ人物が顔を見せたのは。
その人物の突然の出現と、その格好に思わず日番谷は固まる。
深緋色の髪をしたその人物は、見たこともない服装に、目にはいわゆる目隠しを何故かしている。
目隠しをしているため見えていない事は明らかなはずなのに、まるで見えているかのような動作で室内を探る。
そして腕を組んで悩んでいるような素振りを見せる。
「おかしいな〜。確かにここから姫君の霊圧がしてたんだが・・・」
そう言ってまだ室内をきょろきょろと見回していたその人物は、ようやく呆然とこちら見ている日番谷に気づいたようで声をかけた。
「あのさ〜、姫君見なかったか?」
「・・・姫君って誰だよ?そもそもお前は誰だ?」
突然声をかけられた日番谷は逆に彼が入ってきた時からずっと疑問に思った事を口に出してみた。
全くに見知らぬ顔だが、旅禍ではないだろう事は日番谷にも予想がいった。
しかしそれならば余計に目の前にいる風変わりな人物の説明がつかないのだ。
「俺?俺は・・・」
きょとんとしたような反応を示した後、謎の人物があっさりと答えようとしたその時、彼の手によって1度閉められていたはずの扉が勢いよく開かれた。
「や〜〜き〜〜ど〜〜の〜〜〜〜〜」
扉が開いた先には、張り付いた笑顔に黒いオーラを出し、恨みがましい声を上げる、大抵の者なら裸足で逃げ出したくなるような、そんな形相の時雨が佇んでいた。
「は、羽鳴・・・?」
時雨のあまりの様子にさすがの日番谷も恐怖を感じて引いてしまう。
一方の時雨は入ってきた当初は気づいていなかったが、日番谷を見つけた瞬間先程の様子が嘘のように何時もの様子に戻る。
「あ、どうも。お邪魔してます。日番谷十番隊長」
「あ、ああ・・・」
「十番隊長?!・・・はぁ〜〜・・・こんな子供の姿した奴が隊長格とは、今の尸魂界もどうなってるんだ?」
見ず知らずの謎の人物の失礼なその一言に、さすがに顔を引き攣らせ不機嫌な表情を日番谷は作る。
「なんだと・・・?」
「失礼ですよ。夜鬼殿。いいですか、日番谷十番隊長は・・・・・」
日番谷に変わって夜鬼と呼ばれた人物に時雨が反論しようとした瞬間、ふと時雨の目に日番谷の目の前に置かれたの残していった脇差が止まった。
「・・・日番谷十番隊長・・・・・それって・・・」
「ああ、これか・・・良く解らないけど、お前の所の隊長が勝手に置いていった」
日番谷からそれを聞いた瞬間、時雨は目を丸くする。
そしてやがて何かを悟ったように笑ってぼそっと呟いた。
「そうですか・・・それは良い傾向ですね」
「はっ・・・?今、何か言ったか?」
「いえ、何も」
「えっ・・?あれって確か・・・」
日番谷の質問に笑って明らかに誤魔化している時雨に対し、先程の時雨と同じように目を丸くしていた夜鬼が何か言おうとした瞬間、時雨は相変わらず微笑んだ表情のまま素早く夜鬼の口を塞いだ。
「ぐむっ」
「余計な事は言わないで下さい。夜鬼殿」
「・・・・・・・・・・」
夜鬼が言いかけたことも気にはなったが、それよりも相変わらずの時雨の容赦のない腹黒ぶりに、日番谷は無言で顔を引き攣らせなが2人を眺めていた。
「ただでさえ貴方が出てくるとろくなことがないですからね。どうせ許可もなく来られてのでしょう?徹底的にその辺り吐いてもらいますからね」
そう言って時雨は何故か慣れたような手つきで抵抗する夜鬼を簀巻きにし、さらには猿轡まですると準備が整ったとでもいうような表情の後日番谷に向き直った。
「それでは、日番谷十番隊長。俺達は失礼します。お騒がせして申し訳ありませんでした」
「あ、ああ・・・」
最早日番谷には謎の人物である夜鬼の正体も気にせず、そのまま時雨とその時雨に引き摺られて連れて行かれる夜鬼を見送った。
そして2人が出て行った後、少しして疲れたように溜息を吐いて身体の力を抜き、またさらに少ししてから目線を少し前のある方向に向けた。
「・・・よくこの状況の中で寝てられるよな。こいつ」
そう散々な騒ぎの中、1人仕事もせず完全に夢の世界に言っている自分の副官である松本に、とても恨みがましい目線を向けていたのだった。













がいきなり日番谷の所から出て行った理由は簡単だった。
ルキアの捕らえられている四深牢のすぐ近くで、朽木白哉の霊圧らしきものを感じたのだ。
それも臨戦態勢をとるような霊圧だ。
このような霊圧を発する理由は旅禍と接触した以外には考えられないと思い、がさらに霊圧を探ってみたところ、岩鷲と花太郎らしきものの霊圧もすぐ近くでしている。
2人が危ないと読んだはすぐに四深牢に向かい、そして予想通り、否白哉が斬魄刀を解放しようとしている事のみ予想外の展開に、は先のことは考えずにその場に割って入っていた。
解放しようとした千本桜を布で巻き、それを止めた人物に白哉は少し驚いた表情を見せていた。
「・・・どういうつもりだ?
「そちらこそ、相手の力量を見た攻撃をしろ。・・・それとも、朽木家の当主は自分よりも劣るものにさえ、わざわざ斬魄刀を解放せねばまともに戦えないのか?」
の言葉は白哉も当然挑発だと解ってはいたが、解っていても少し白哉はその言葉に反応したようだ。
「手を抜いて戦う相手ではないと判断したまでだ。そういう兄の行動こそ不可解だが・・・」
「・・・旅禍を助けたようには見えないか?」
「し、隊長?!」
が口走った一言に花太郎は驚いて彼女の名を呼んだ。
しかし当のはまったく動じることもなく、むしろ覚悟を決めたかのような様子でいる。
「・・・私はルキアを助けたいのでな。それを助けようとする者達・・・・・いわば同志を助けて何かおかしいか?」
「隊長でありながら旅禍を手助けするのは明らかにおかしいことではないのか?」
「あいにく私はお前とは違う。それに、お前のような義妹の命よりも掟を優先するような奴と同じにされたくはない」
のその言葉に白哉がまた小さく反応した。
その後、暫しの沈黙と緊張が辺りの空間を支配していた。
「白哉・・・に、?!」
突然聞こえてきた声に反応し、白哉ももそちらに振り向いた。
そこにはこの状況事態というよりも、がここにいる事を1番驚いている様子に浮竹がいた。
「・・・浮竹か」
「浮竹隊長!!」
「おーす朽木!少し痩せたな大丈夫か?・・・あと」
ルキアの方を向いて明るく挨拶をした後、少し真面目な顔になっての方を見る。
「なんでまでここにいるんだ?」
「・・・別に。ただこいつが相手との力量も考えず斬魄刀を解放しようとしていたのでな」
のその言葉に驚いて浮竹は今度は白哉の方に向き直る。
「なっ?!それは本当か?こんな所での斬魄刀解放なんて一級禁止条項の筈だぞ」
「・・・戦時特例だ。斬魄刀の解放は許可されている」
「戦時特例!?旅禍の侵入がそんな大事になってるのか!?・・・まさか藍染を殺したのも―――・・・」
浮竹が言葉を続けようとした時、そしてが浮竹が言おうとしたことを察して反論しようと口を開きかけた時、突然隊長クラスのものと思えるような霊圧が感じられた。
そしてその霊圧の感覚にこの場にいる複数名は覚えがあった。
「・・・こ、この霊圧の感覚は・・・まさか・・・」
ルキアが驚いた顔でそう呟いた瞬間、その霊圧の持ち主が空から飛来した。
それは紛れもない一護の姿だった。
その場に降り立った一護は1度ルキアの前を通り過ぎると、花太郎と岩鷲となにやら話をし、その後再びルキアに来て彼女の名前を呼び、ただ一言はっきりと告げた。
「助けに来たぜ」
その言葉にルキアは少し戸惑ったような表情をし、続く一護の言葉を聞いてからその瞳に涙を浮かべる。
「・・・莫迦者・・・!来てはならぬと言った筈だ・・あれほど・・・追ってきたら許さぬと・・・!ぼろぼろではないか・・・莫迦者・・・!」
そのルキアの言葉に一瞬目線をそらした一護だったが、すぐに別の方向に向き直って口を開いた。
「・・・まったくだ。・・・だから後で幾らでも怒鳴られてやるよ」
そう告げる一護の瞳には確かにはっきりと白哉の姿が映っていた。
「あいつを・・・倒した後でな!」
はっきりと宣言をした一護に、やはり心配そうな視線をルキアが向けて何か言おうとした時だった。
一護の頭が盛大に殴られたのは。
「この莫迦者が」
無言のままに殴った後、そう告げたのはだった。
そのの突然の行動に驚いて固まる者多数。
殴られた当事者の一護は目の前のどう見ても自分よりも幼い少女の姿をした見知らぬ死神を睨みつけていた。
「てめぇ・・・いきなり何しやがる!」
「お前が莫迦だから殴ったまでだ」
「なっ・・・」
「お前が朽木を倒す?確かにお前は更木にぎりぎり勝ったが、それでもまだ奴には及ばない。どうせ卍解とてまだ会得していないのだろう?ならば、奴を倒すなど不可能だ」
「卍・・・なんだって?それに、お前誰だよ?」
一護のその一言に、そういえば今まで2回接触はあったが、それは両方とも一護が気を失っている時であって、まともに顔を合わせたのはこれが始めてであることにはようやく気がついた。
「零番隊隊長・。一応お前の姉弟子にあたる」
「零番って・・・・・っていうか、姉弟子?!」
のその言葉に驚いたのは一護当人だけではなく、言った以外の全員が驚いているようだった。
「どういうことだよ?!」
「・・・詳しい話は後で夜姉に聞け。ここで今その事について話していても仕方がないだろう」
「夜姉って・・・」
一護が尋ねようとしたその時、突然彼の腹部の傷に何かが入り込んだ感覚がした。
何が起こったのか解らなかった一護は、驚いて下の方に目線をやると、そこには自分の腹部の傷に手を突っ込んだ状態の夜一がいた。
「夜一!」
「何すんだ・・・夜・・・」
驚いて夜一の名前を呼ぶ浮竹と白哉だったが、それ以上にの驚愕の表情を向け、一護は何故こんなことをしたのか尋ねようとしたが、それよりも早く彼の意識は混濁してその場に倒れこんでしまった。
そしてそのまま夜一は一護を担ぎ上げた。
「・・・薬か」
夜一が取った行動の意味を瞬時に察して、浮竹は彼女に向かってそう呟いた。
「・・・彼を治す気か。夜一」
「・・・浮竹」
「治させると思うか」
浮竹を見ていた夜一は、今度は後ろから聞こえてきた静かな声に夜一はゆっくりを振り向いた。
「させぬ。兄はここから逃げることはできぬ」
「・・・ほう大層な口を吐くようになったの白哉坊。おぬしが鬼事で儂に勝ったことが一度でもあったか?」
「・・・ならば試してみるか?」
そう言って互いを挑発する中、夜一はちらりとの方に目線を向けた。
夜一のその目線の意図をすぐに理解したは、すぐさま小さくこくりと頷いた。
そしてまるでそれを合図にするように夜一が動き、続いてすぐに白哉も動いた。
2人共凄まじい速さではあるが、それでもはそれを眼で追っていた。
「その程度の瞬歩で逃れられると思ったか」
白哉がそう言って夜一を捕らえ彼女を斬ったと思った瞬間、その場にいた者のほとんどの血の気が引いた。
しかしだけはただ冷静に黙って事の成り行きを見ていた。
その理由は次の瞬間、斬られたはずの夜一が白哉の背後に現れた事で理解が出来た。
「その程度の瞬歩で捕らえられると思うたか?」
まるで夜一のその言葉を合図のようにが動いた。
夜一が白哉の傍から離れたその瞬間、は彼の喉下に斬魄刀を突きつけていた。
自分の喉下に刀を突きつけているを怪訝な表情で見つめた後、遥か高い位置に移動した夜一を見上げる。
その白哉の視線ににやりと笑いながら、夜一は口を開いた。
「3日じゃ。3日で此奴をおぬしより強くする」
そして一瞬ちらりとの方を向き、と視線を交わしてお互いに何か意志の疎通をした後、再び白哉に向かって口を開いた。
「それまで勝ってじゃが暫し休戦とさせて貰うぞ。追いたくば追って来るが良い。瞬神・夜一、まだまだお主ら如きに捕まりはせぬ」
そう告げたのを最後に夜一はすぐさまその場から姿を消した。
その夜一が消えた場所をじっと見つめ続けるが白哉から刀を引いたのは、それからさらに時が経ってからの事だった。













零番隊隊舎のある空間、しかし隊舎内ではないその場所で、時雨は謎の人物・夜鬼と話をしていた。
出来ることならばこの人物との会話はもとより、この人物を他の誰にも会わせたくないと思っているためだった。
それこそ零番隊の隊員達にすらである。
「で、今回は何をしに来られたのでしょうか?」
「・・・そんなあからさまに嫌そうな顔しなくてもいいだろうが」
「先程も申し上げましたが、貴方が出てこられると大抵ろくなことがないですので」
笑顔でさらりと自然に毒を吐く時雨に対し、夜鬼は相変わらず腹黒だなと思いながら溜息をついた。
「・・出来ることなら、姫君本人に直接話したいんだが」
「先程、朽木六番隊長の霊圧が四深牢の辺りで感じましたから、隊長はそちらに参られていると思います」
時雨のその明らかに「すぐ戻ってはきませんよ」という意味を含んだ言葉に、夜鬼はまた深い溜息をついた。
「いったい何してるんだよ・・・瀞霊廷は・・・」
「文句ならどこかの何か企んでいる方に言ってください。俺達もいい加減迷惑してるところです」
「・・・・・・・・」
やはり返ってくるのは毒の含まれた言葉ばかりで、夜鬼はもう余計なことを追及するのやめにした。
「解ったよ。お前に話せばいいんだろ?」
「その通りです。隊長にはちゃんとお伝えしておきますから」
「・・・隊長、ね」
時雨のに対する呼び名に、夜鬼は複雑そうな表情をした。
「どうかしましたか?」
「・・・いや、やっぱりその呼び方に妙な違和感があってな」
「そうですか?俺はもう慣れましたが」
「・・・お前もすっかり副隊長が板についてるな。っていうか、俺はお前が姫君の事を『隊長』と呼ぶのが特に違和感があるし」
「どうしてですか?」
「だってお前は、と・・・」
夜鬼が何か言おうとした瞬間、十番隊の執務室で起こったことが再現された。
すなわち、時雨が再び高速の勢いで夜鬼の口を塞いだのだった。
「・・・余計なことは言わないで下さい」
にっこりと微笑んでいるが、やはり背後には黒いオーラが見える。
そして今回はすぐに夜鬼の口から手を外した。
「いきなり何するんだよ?!」
「だから、夜鬼殿が余計な事を言おうとしたからです」
「今回は誰もいないからいいだろうが!」
「俺の気持ちの問題です」
時雨の飄々としたその言葉に、夜鬼はもう何も言うまいと思った。
そして何度目になるか解らない溜息を吐いた後、ようやく夜鬼は真剣な表情で本題を口にした。
「単刀直入に言う。現世で埋められていた、姫君の遺体が消えた」
時雨はその言葉にぴくりとまともに反応した。
「・・・遺体が・・・消えた?」
「ああ、文字通り。突然だ」
「・・・・・そちらで把握していなかったのですか?」
「・・・一応してはいたはずなんだが・・・・・こちらとしても予想外だ」
そう言ってどこか苦々しそうな表情を夜鬼は浮かべていた。
「色々と考えられるが・・・・・考えうる中で1番悪いのは・・・・・」
「・・・よしましょう」
夜鬼は何か言おうとしたが、それを時雨が神妙な顔で止める。
「・・・時雨?」
「それを口にしたら違うのに、本当になりそうで恐ろしいです。ですから、よしましょう」
「・・・解った」
「・・・・・とにかく、この件は俺から必ず隊長に伝えておきますから」
「ああ・・・頼む」
2人がそう言い合ってなんとか冷静さを保とうとする中、冷たい不吉な風がこれからの事を示唆するように吹いていたのだった。













あとがき

ようやく新キャラ・夜鬼を出せました。
実は最初から設定だけはあったのですが、出すタイミングをどうしようかと思っていました。
時雨が敬語使ってたりする理由は今度明かしますので。
が日番谷くんに渡した脇差のこともまた今度。
今回少し不満だったのが、と夜一さんの絡みが思ってたよりもかけなかったことです。
次は琥珀が活躍するかもしれません。







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