Lost Mise 〜失われし約束〜
序章・後


白・・・・
一面の白・・・・・
それが押し寄せてくる
何か・・・
何かが聞こえる・・・・・



その音で目を覚まし、窓からさす陽の光に眩しそうに目を細める。
音の正体は・・・・・
自分の携帯の着信音だった。
「あ!おきたです〜」
音がやむと同時に聞こえてきた声に反応してプラチナは起き上がった。
ピンクの髪に頭には犬の耳をはやしたメイド服の人物が携帯を持って立っていた。
「お前・・・誰だ?」
まだ少し眠たげな声で尋ねると楽しげにその人物は答えた。
「プラムです。このやしきのメイドなのですよ〜」
「・・・・・携帯なっていなかったか?」
「ほえ?ここけんがいですよ」
「・・・・・まさか、お前が鳴らしていたのか?」
「はいです〜。どんな曲があるかとおもって」
そんな趣味があるのかと思いつつもなぜここにいるのかという疑問の方が強い。
するとプラムはプラチナの表情を呼んで悟ったのか単に思い出しただけなのか、とにもかくにも要件を告げる。
「ベリルさんがいっかいの居間にきてほしいそうです」
ベリル・・・
その名前は昨日何度か聞いた名ではあるがプラチナには思い当たるふしがない。
(誰だ?)
「それではボクはこの辺で」
「おい、ちょっとま・・・」
こちらの言葉も聞かずプラムはさっさと部屋を後にした。
「・・・仕方ない。直接会えばすむことだしな」
しかし、ここで一つの問題点に気がついた。
居間の場所がわからなかったのだ。


着替えてから部屋を出ていっかいに来たまでは良かった。
しかし、そこからが問題で居間の場所がまったくわからず広い屋敷内を延々とさまよう・・・・・ところだった。
居間を探している途中ジェイドを偶然見つけ案内させたのである。
「随分疲れているようだね」
「居間の場所が解らずに探し回っていたそうです」
「・・・案内を忘れるなんて、そそっかしいなプラムは」
「あのヒト以前はいませんでしたよね?」
「うん、2ヶ月ほど前にルビイが森で見つけて・・・」
「おい・・・・・」
すっかり自分の存在を忘れ去ったかのようには話を続ける2人にプラチナは声をかける。
その声に反応して少し微笑みながら見た目は水色の髪の少年がプラチナの方に向き直った。
「ごめん、ごめん。すっかり話し込んでしまっていたね」
「・・・・・お前は誰だ?」
プラチナにはまったく面識のない人物である。
といっても、5歳のときにこの屋敷を出たプラチナには自分の身内の記憶すらほとんどありはしない。
多少ジェイドから自分の家族や屋敷にいる人物の特徴は聞いてはいるが、その誰にも当てはまらない。
「彼は先代の当主・・・つまり貴方のお父上様の従兄弟にあたる方ですよ」
「ベリルだよ、よろしく。一応、今この屋敷の最高責任者って事になってる。もっとも、君が当主を継いだら即厄介払いだけどね」
「先代が亡くなったと聞いてわざわざ分家から出て来たそうです」
楽しそうに説明の付け加えをする自分の教育係をじっと不信な目で睨む。
「お前・・・やけに詳しいな」
「そりゃぁ、昨日貴方が倒れて姉上様に看病してもらっている間に大体の事情は聞きましたから」
「そのことなんだけど。サフィルスに聞いた話ではドジったそうだね」
ベリルの言っている言葉の意味が解らずプラチナは小首を傾げる。
その様子にしばしの間をおき、ベリルはひょっとしてと言葉を紡ぎだした。
「何も聞いていないのかい?」
「?なにを?」
「・・・・・ジェイド、説明して」
「ええ!私がですか?」
「だって、君が話して連れてくるはずだったんだろ?」
じと目で見つめてくるベリルに耐えかねたのか、一つ溜息をついてジェイドは事情を話し始めた。
「先代の当主の遺言で・・・プラチナ様と姉上様の結婚が取り決められたそうです」
一瞬・・・そう、ほんの一瞬。
プラチナはジェイドが何を言っているのか解らずにその場で呆然とした。
しかしすぐに正気に戻ると信じられないといった声を出した。
「・・・姉弟どうして結婚だと・・・そんな、馬鹿な話が・・・」
「ここにあるんですよ。まあ、一族の血を強めろ為・・・といったところですか」
「お前・・・なんでそんな大事なことを前もって言っておかない!」
「だって前もって言ったら、プラチナ様帰ってきましたか?」
「・・・・・・」
返す言葉もない。
確かにこの話を知っていたら、いくら後を継がなければならなくてもおとなしく帰ってはこなかっただろう。
「ちなみに、昨日が『初夜の儀』だったんですが・・・ね」
そこでプラチナは何となく理解ができたような気がした。
あの服装はそのためのものだったのかと・・・・・
「まあ、その件に関してはアレクの方も嫌がっているけどね。『弟と結婚なんかできるか』って。それに加えて昨日のあれじゃ・・・・・」
はあ、と何か疲れたようにベリルは方を肩を落とす。
「とにかく、結婚するしないにしてもこの屋敷にいる以上はアレクと仲直りだけはしといたほうが良いよ。アレクは屋敷内の人間に人望あるからね」
疲れたような態度から一変、まるでいたずらでもするかのような表情を作る。
まるでプラチナを試しているかのようなそんな笑顔を。
「・・・解った」
どちらにしろ帰ってきた以上これからは一生この屋敷で生活することになるのだからと、プラチナは一人自己完結した。
「あ!でも、今すぐは無理だと思うよ。アレクは朝と夕方に仕事があるからね」
仕事・・・・・?
彼女がするような仕事があるのかとプラチナは少し疑問に思った。
だって彼女はおとなしく仕事をきちんとするような性格では・・・・
・・・・・?
プラチナは何かがおかしいと思った。
今自分は知りもしないことを知っていたような気がした。
それがなんだったのかはほんの一瞬の間に忘れてしまった。


「プラム〜。プ〜ラム〜!」
「はいです〜。およびですか〜?」
「朝食の準備できてる?」
「はいです」
「それじゃあ、プラチナの部屋に運んでくれる?」
「はいです〜。りょうかいでしたのです」
了承するなりまたしても即座にプラムは部屋を後にした。
ぽんとベリルの手がプラチナの方におかれる。
「とりあえず、朝ご飯食べておいで」
にこりと微笑まれながら言われた言葉に従い自室に戻り朝食をとる頃には、すっかりその疑問すらも忘れ去られていた。





あとがき

ああああああああ〜〜〜!
やってしまいました〜〜〜〜〜!!
裏といいつつ、今回ぜんぜん裏じゃないですよ!
って言うかプラアレすら成立していない?!(アレク出せなかったし)
次あたりからがんばっていこうと思うのですが・・・・
大丈夫か?
ルビイとカロールとジルまだ出てきてないからそっちも書かなければならないし。
って言うかその3人今回も出せなくてごめんなさい!(土下座)
指摘にプラムのメイドがおいしい味だしてます。
すいません、すいません(以下無限)
お許しくださいませ〜〜〜!!
終わり方もわけ解らないし・・・・・

           



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