Lost
Mise〜失われし約束〜
一章
朝食を食べ終え、適当に屋敷内を散策していたプラチナはある扉の前で立ち止る。
中から聞こえてくる声・・・
そのうちの一つにきき覚えがあったからだ。
扉を開けるとそこには予想通りの人物と他に知らないものが2人ほどいた。
「・・・何をしている?ロード」
中はどうやら図書室のようで新しいものから古いものにいたるまで無数の本が置かれていた。
そこで自分の学友と赤い髪の青年が楽しげに話をし、青い髪の青年が疲れたように肩を落としていた。
「お!プラチナ。体のほうはもう良いのか?」
「なんや?噂の次期御当主様かい?」
「・・・・・誰だ?そいつらは?」
答える気もないという意思表示で強引に自分の質問をする。
それなりの長い付き合いでそれに気づいたロードは諦めて2人に自己紹介するように言った。
「カロールです。ここの司書をしています。・・・で、こっちが・・・」
「ルビイ。一応この屋敷の庭師や。よろしゅう、プラチナ」
「・・・ルビイ!そんな言い方プラチナ様に失礼ですよ!!」
「別に良いやん。それにアレクも『あんな奴に敬語使う必要ない』言うとったし」
その何一瞬プラチナは反応する。
ルビイの話す内容を聞く限りではやはり相当嫌われているようだ。
それにアレクが屋敷の人間に人望があるという話も本当のようだ。
「プラチナ様に対してだけでなくアレク様に対しても為口なんですね、ルビイ」
振り返った背後にいたのは何か企んでいそうな笑顔を浮かべたジェイドだった。
「ジェイド、お前どっから現れたんだ?」
「ちゃんと入り口から入ってきましたよ。それとロード。あなた、一応私の生徒なんですからちゃんと先生って呼んでくれませんか?」
ロードはそれを断固拒否した。
ジェイドはプラチナとロードの通う考古学の教授でもある。
しかし、考古学に興味があって専攻したロードだがその講師であるジェイドとは何故か仲が悪かった。
とくに気にもしていないがとりあえず言ってみた事の答えを聞いてからジェイドはプラチナの目の前にある銀色の物体を取り出した。
それは一つの鍵だった。
「・・・・・なんだ?これは」
「昨夜サフィルスの部屋で拝借したアレク様の部屋の合鍵です」
夜遅くにサフィルスの部屋に行き何をしていたかという疑問は誰も持たなかった。
「先程渡し忘れましたから」
そう言って鍵をプラチナの手に握らせる。
その手のひらの鍵をまじまじと見てからジェイドの目を見て。
「・・・・・これをどうしろというのだ?」
「それはプラチナ様次第です。使い方は色々とあるでしょう?」
笑顔でそう言われてもその時はジェイドの言っていることが理解でいなかった。
その時は・・・・・
現在プラチナがいるのは2階南側の廊下。
すなわちアレクの部屋に向かっているのだ。
それというのも今朝のベリルの忠告通りに仲直りをしようと思ってだ。
しかし、どう話を切り出していいのか解らず、歩きながら考えているうちにアレクの部屋の前に到着した。
どうしようかと暫くそこで悩んでいても考えがまとまらず思い切ってドアノブをつかんだとき中から何かが聞こえた。
アレクの声に間違えはないが声の調子がどこかおかしい。
少し気になり扉を少し開いて中を覗き見る。
そこで見たのは部屋のソファにぐったりと横になり、頬を紅潮させて荒い吐息を吐きながら途切れ途切れに独り言を呟くアレクの姿。
その姿にプラチナの背中にぞくりとした感覚が走った。
勝手に手が扉を開け、足は部屋の中へと進んでいた。
「ん・・・やっぱ・・・体おかし・・・儀式のせ、かな・・・・・えっ!」
気がついたときにはプラチナの姿は部屋の中にあった。
動悸が何故か激しくなり理性の多くがとんでいる。
そして、突然現れたプラチナの姿をアレクは愕然としたように見ている。
「な、んで・・・お前がここ・・・ん!?」
ほんの一瞬の間に傍に来たプラチナにアレクは唇を奪われていた。
最初は浅く口づけ一度放し、今度はむさぼるように深く口付けた。
「ん・・・んん・・・はあ!・・・何する」
解放されて息を整え抗議の声を上げようとするのも束の間、完全にアレクはプラチナによってソファに押さえつけられ、組み敷かれていた。
「ちょ・・・やだ・・・やだあ!」
潤んだ瞳で悲鳴に近い声を上げるがプラチナは聞きいれず、衣服を次々と脱がしていく。
「どう・・・して、こんな事するんだよ・・・?」
「・・・解らない」
今まで黙ってもくもくと作業を続けていたプラチナが始めて口を開いた。
苦しそうな表情で・・・・・
「・・・手が・・・体が勝手に、動くんだ」
「なんだよ・・・それ・・うん!」
アレクの首筋にプラチナの唇が触れる。
それと同時に両の手で軽くアレクの胸を愛撫する。
「ん・・・・・や・・はぁ・・・あ」
片方の手はそのままでもう一方の手をアレクの秘所に這わせる。
そこでアレクが今まで以上に激しく抵抗し抱いた。
「や、やだ!ん・・・やめ・・・ろ!」
「・・・アレク?」
「俺は・・・俺、には・・・・・」
潤んだ瞳でプラチナを睨みつけ、心の底から叫び声を上げる。
何が理由だろうとこれだけは嫌だという思いを込めて。
「俺には、ちゃんと好きな奴いるんだから!!」
アレクのその一言に一瞬プラチナの周りの空気が凍りつく。
やがて何かがプラチナの中で音をたてて完全に崩れていた。
「・・・・・え?・・・・・痛!やぁぁぁぁぁ!!」
一瞬動きが止まったプラチナを呆然と見上げていたのも束の間、アレクの中にプラチナの指がいきなり勢いをつけて乱暴に進入した。
そして、やはり乱暴にアレクの内を掻き回す。
アレクは涙を零しながら悲鳴をあげ、やがてその悲鳴は嬌声へと変わり果てていく。
自分でも何故か解らぬ苛立ちと酷く歪んだ表情を浮かべながらプラチナはその夜、アレクを犯し続けていた。
屋敷の離れに続く中庭に差し掛かっている渡り廊下で一人ぼーと何かを眺めている人物がいた。
その人物に近寄る影が一つ。
「風邪を引きますよ。マスター」
「・・・・・ジル、か」
屋敷専属の医師に話し掛けられてもベリルはそっけない態度を返した。
ただ目で「余計なお世話だよ」と告げるとまた中庭のそれを見始めた。
「・・・綺麗な椿だよね」
ぼそりと独り言のように呟く。
「この木は毎年、こんなに綺麗な花を咲かすのに・・・これを植えた当人達はまったく覚えていない」
「マスター、それは・・・」
「解っているよ」
ジルが何か言おうとしたのを深刻な表情で制止する。
「仕方のない事だって解っているよ。それに半分は僕の責任だ・・・けれど」
それでも彼らの幸せを願っていると心の中で呟く。
しつこくジルに風邪をひくと言われ今度は仕方なさそうに離れの自分の部屋へと戻って行った。
寂しげに咲く椿を最後に名残惜しそうに一目見てから・・・・・
あとがき
あああああああ、やってしまいましたぁ!
つ、ついに裏を・・・(裏になっているのか?)
しかも話し痛いし、プラチナ様ダークだし・・・
誤解のないように言っておきますが私はプラチナ様優しい方が好みです。
そして、アレクとほのぼのラブラブしているのが一番です!
ちなみに今回アレクが大告白した好きな人のことですが、私はプラアレ至上な人間なのでそこの所考えてくだされば解ると思います(わからねえよ)
そして、今回やっと出せたルビイ、カロール、ジルのお三方。
ジル・・・何気においしい所とっています?
・・・殺されそう・・・・・・