そこはまるで幻想的な世界のように切り取られた世界
その世界にたたずむのは似通っているが
異なった色を持つ金色の何か・・・




人はソレを『国』と呼ぶ






「お前、何考えてんだよ。ヨーロッパ中を敵に回すつもりか?」
「・・・ハハ、それも良いかもな」
「ふざけるな。」
「ふざけてるつもりは無いって、ただ・・・俺達は国。上司の命令には逆らえないだろ?」
「・・・ボナパルト、か」
「そう。俺の中に生まれた稀代の天才。奴のおかげで俺はどこまでも強くなれる。」
「・・・・・・・・・」
「それだけじゃない。お前達が何度も突っかかって来てくれるおかげで
 国民の心は一つになってる。そのうち、俺は世界に領域を広げるようになるだろうさ。」




その瞬間確かに空気が変るのを俺は感じた




「粋がるなよ雑魚が。」
「・・・・・・・」
「お前がそのつもりで動くなら」




冷たい瞳に鋭さが加わる




「俺がお前を潰してやる。」
「そうは言うがお前、今まで何度同盟を組んで俺を潰そうとした?」
「・・・お前は・・・・」
「ん?」
「ソレが俺の本気だとでも思っているのか・・・?」



失望の色が隠せない、とでも言うように目の前の男は呟いた



「・・・・・・・どうやら俺はお前の実力を過大評価しすぎていたらしい。」



もはや交渉の余地は無い。
声に出さずとも空気で気付けてしまう音無き言葉


言い終ってすぐ、あいつは踵を返して歩き出した。



「帰るのか?」
「・・・次に会うのは戦場だ。」
「だろうな。」
「せいぜい俺に殺されるまで生き延びてみせろ。」




そう言い、振り返ったあいつは僅かに、
だけど確かに微笑んでいた・・・



「・・・仰せのままに?」






お互い敵として上がもめる以上
俺達国がそれに従うのは当然の事



それでも・・・・





「お前も俺以外にやられんなよ?お坊ちゃん。」
「ハッ、誰に言ってやがる。」







例え殺し合いの最中でも、
お前が生き続けられるならそれで良い。


知らない所で勝手に死なれるくらいなら




「「俺がお前を殺してやる(よ)。」」






これが『国』である俺達の
歪だけどおそらく永久に変らないであろう愛の形






―fin―


一応ナポレオン時代の話です・・・
同盟は対仏大同盟で・・・実はイギリス本人は
そこまで乗り気じゃなかったら可愛いなぁって・・・妄想がすぎますね!

Present from
*テッラさま

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